決闘(後半)
ローズが覚醒した。
しかしまだ足元が凍ったままだ。
「光の力!光加熱の原理」
光の熱で足元の氷を溶かしてしまった。
僕と海は呆気に取られてしまった。
その隙に、覚醒したローズは攻撃の手を緩めない。
「これでおしまいよ!光の力!超・閃光」
キィィィィン...。
バトルフィールドは眩しすぎて、目も開けられない場所になった。
「目が見えなきゃ、あなたたちはおしまいね」
目を開けても、さっきの光のせいで真っ暗だ。
「決めちゃうわ!さらば!青春の光線!」
「ローズさんの眩しいだけの閃光攻撃はもう防げるのよ」
「な!なんだって!?」
自信のある攻撃を防がれたことに、衝撃を受けたローズはたまらず技をキャンセルした。
「闇の力!文明の利器」
「闇の力文明の利器...だと...」
「そう。これを使えば太陽を見てもへっちゃらなのよ。蓮の視界が真っ暗なのはこれを使ったからよ」
「あ、目がやられたわけじゃないんだ」
「まあ、いいわ。たかが眩しくなくなったくらい、どうだっていいのよ。光の力。光線・乱撃」
「それだけじゃないぜ。文明の利器は進化する」
「は?」
「闇の力!防弾瑠璃」
進化した文明の利器は、防弾ガラスの役割を果たし、ローズの攻撃を跳ね返した。
「面白い技ね。もうそろそろ決め切るわ。力の使いすぎになってきた」
ローズの息が上がってきた。
あと一歩でローズを倒せるかもしれない。
「今度こそ!さらば!青春の光線!」
「蓮!行くよ!」
「おう!」
『氷の力!闇の力!水の力!複合!三位一体』
2つの光の筋は激しいかぶつかり合う。
どちらが押し切るか。互角の勝負。
「うぉぉぉぉ!!」
ローズも本気だ。もう手を抜いちゃいない。
「光の力!脚光・新」
この技は自分に脚光を浴びせることで、声援を受け自分の攻撃力を上げる技だ。
つまり力のバフ。
「やばい!押し負ける...!」
僕と海も最大出力だが、どんどんと押し負けている。
「まだまだ!同時発動!氷の力!永劫神力雪華凍風!」
同時発動!?
同じ力の技を2つ同時に発動させるなんて...。そんなことできるのかよ。
「同時発動とは驚いた。まだ質が悪いわね。でもここまでできるなら上出来よ。けど、本物を見せてあげる」
ま、まずい!
「同時発動!光の力!薔薇光線!」
海のおかげでようやく押したと思ったら、ローズの同時発動のせいでまた押し戻される。
「もう、無理だ!」
押し合いに負けた僕らは、ローズの技をくらった。
* * * * *
ハッ!!
いつの間にか眠っていた。気がつくとローズの家のリビングに横たわっていた。
「あ、よかったぁ。起きないかと思ったよ」
ローズの安堵した声が聞こえてくる。
「今日の訓練良かったね。久々に本気出したよ。...なんだよ。ポカーンとして」
「いや、死んだのかと」
「大丈夫。いくら私が本気を出したとはいえ、死ぬほどまで本気は出してないよ。それにしても最後の力の複合。あれはなかなかいい攻撃だったね。自分たちで考えたの?」
「そうです。オフの日に2人で作戦を立てたんです。ローズさんの光の力の練度がすごく高くて、僕たちの力を合わせないと互角にならないと思って」
「よくぞたどり着いてくれた。私がたどり着いて欲しかった場所はそこ、『力の複合』なの。この複合は魔王を倒す鍵となるわ。さらに海は『力の同時発動』も覚えたみたいね。これも魔王を倒す鍵となるわよ」
「魔王を倒す鍵...」
「一度魔王を倒した時、神力の全てを使って倒したのよ」
「へぇ。そうなんですね」
「ってことはローズさんは、魔王を倒したことがあるんですね?」
『わぁ!!』
突然海の声がして僕とローズはびっくりした。
いつの間に起きていたんだ?
「やっぱ海ちゃんは鋭いねぇ。私はねぇ、200年前に魔王を倒したブラウンのパーティの一員だよ」
「え?」
僕も海も空いた口が塞がらない。
「え?私冗談で言ったつもりなんですけど。失礼ですけど、ローズさんおいくつですか?」
「私は今221歳よ」
「???」
あ、ありえない。人間がここまで生きていけるわけがない。
「あっ。わかるよその気持ち。なんでこんな長生きしてんだこいつって思ってるでしょ?わかるよ。私も不思議だもん」
「え?長生きしてる理由も知らないんですか?」
「知ってるよ?」
「???」
ますます謎めいていくのだが...。
「私が魔王を倒した時に、回復のポーションと間違えて延命の薬LV.99を飲んでしまってね。この薬は大体、人間の平均寿命の6倍延命できるとされているわ」
「ここの平均寿命は?」
「大体70歳くらいじゃない?だから今、私、人生の折り返し地点にいるの」
「とんでもない...。他のパーティの人たちはどうなったんですか?」
「ブラウンはLV50の薬だったから3倍延命したね。つい最近亡くなっちゃった。他にも2人いたんだけど、2人は人間の寿命の長さがちょうどいいって言って飲まなかったから、もうとっくの昔に亡くなっちゃったわ」
まさか、ローズさんが英雄のパーティーの一員だったなんて...。そりゃ勝てない訳だ。
「ちなみに私が山奥に住んでるのは、みんなとっくのとうに死んでると思ってるからよ。死んだはずの勇者パーティの一員がみんなの前にいたらパニックになっちゃうでしょ?」
「なるほど。だからこんな山奥に」
「まあ、そんなことは置いといて、2人はよく頑張ったわ。まさか私の修行を耐え抜くなんて、思いもしなかったわ。これからあなたたちを立派な勇者として認める」
「ありがとうございます!」
「これにてローズの修行を終わります!下山してよし!」
「はい!!」
僕らは身支度を済ませて、冒険へ向かうことにした。
〜出発の日〜
「ローズさん。お世話になりました」
「なんか寂しくなるわね」
「僕もローズさんと離れるのは寂しいです」
「私も寂しい。またここに戻ってきてもいいですよね」
「えぇ。いつでも帰ってらっしゃい」
「じゃあ!お元気で!」
「気をつけるのよ!くれぐれも死なないでね」
そう言ってローズは僕らの背中を押した。
ローズは僕らが見えなくなるまで、見守ってくれた。
* * * * *
「はぁ。2人とも見えなくなっちゃったわ」
ローズはぶつぶつと独り言を呟く。
「私、初めて親の気分になったかも。あっ。そういえば弟のこと言ってなかったな。まあいっか」




