表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

幕開

「フリージアさん。お世話になりました」

「いえいえ、俺もいい友達ができて嬉しいわぁ。俺も世話になった」


僕らはフリージアさんに別れを告げた。


「いつでも帰ってきていいからな!気をつけてな!くれぐれも死ぬんじゃねぇぞ!」


フリージアは蓮たちの姿が見えなくなるまで見送った。


「フリージアさんの見送り方って、ローズさんに似てるね」


そんなことを笑顔で言う海。


「確かに。言ってることも同じだったような」


俺は平静を装っているが、内心ドキドキしている。

昨日はやっぱり夢だったのかな。頭の中で昨日の出来事がぐるぐるする。

でも好きじゃないとあんなこと言わないよな。でも夢だったらそもそも言われてないのか。

よくわからなくなってきた。


「で、海よ。この道であってるのかい?」

「あってるに決まってる!なんてったって私のナビゲーションなんだから。間違えるわけないでしょ」


村に行くには北へ行かなければならないはずだが...。


「海さん。それ上下逆」

「ぇ?」

「あなたが今、北だと思って進んでる方向は南だ」

「だってSって北じゃ...」

「SはSouthのSだから南だよ」


海はその場に崩れ落ちた。


「私、地理得意なのに」

「この世の中で1番説得力のない発言。片道を戻るだけだから気にしなくていいよ。そこまで進んでないし」

「ごめん。Northが北でNなのか」

「スマホ使ってたからな。地図なんて使わないもんな」


紙の地図を使わない世代というのは不便な世代だ。


* * * * *


「あ、おかえり。もう討伐したのか」

「そんなわけないでしょう。道を間違えて戻ってきたんです」

「そうかそうか。それで魔王は強かったのか」

「話を聞け!あと魔王が強いかどうかくらいわかるでしょう」


かくかくしかじか...。


「あぁ。そうなら早くそう言ってよ」

「だから言ったんですよ」

「海ちゃんもそういうミスするんだね。なんか意外」

「わ、私が強すぎるから!こういうところ抜けてないと不公平だから!」


苦しい言い訳をする海だが、それも可愛い。


「ちょっと揶揄っちゃった。また顔見れたのがつい嬉しくて」

「母性出してんじゃないわよ」


また直接脳内に!?


「ちょっと姉さん!びっくりするからそれなんとかならない?」

「無理無理」

「4文字で否定...」

「まあ、くれぐれも気をつけるのよ。ワシガ村まではちょい強モンスターが出るからね」

「有益情報ありがとうございます!ローズさん」

「海ちゃんはいい子ね」

「姉さんも母性出してるじゃん」

「黙れ」

「じゃ、じゃあ僕たち行きますね」

『了解!気をつけてね。死ぬんじゃないぞ』


ローズとフリージアの声が一言一句揃った。

さすが姉弟。


「じゃあ!行ってきます!」


今度こそ、僕らは冒険へと向かった。


* * * * *


結局地図係は僕がやることになった。


ワシガ村。

そこは人口二千人弱の小さな村。ブルガーさんが町長をやっているあの街の郊外って感じだ。ワシガ村はこの世界有数の狩猟村であり、肉料理が有名である。その肉料理はワシガ村ならではの味が楽しめるらしく、その味はほっぺが落ちるほど絶品らしい。この村の村長は数少ない厨二病の1人であり、魔王を討伐できる力を持っていたらしいが、厨二病と気づくのが遅かったため、魔王討伐に行くことはできなかったらしい。なので今は、村で力を開花させるための道場を営んでいるらしい。


「あっ!蓮!前見て!」

「どうしたの」


海が指差す方を見ると、明らかに悪そうな見た目の人が四人いた。


「あれって敵だよね?」

「うん多分。あんま刺激しないように、すうっと横を通ろう。流石にね」


あれ?海がいない。


「すいませ〜ん。何してるんですか?」


な!?何してるんだバカ!そんな堂々と話しかける奴がおるか!僕は海のすぐそばまで駆け寄った。


「あ?なんだこのチビ?この先は行かせねぇよ。今、我々が慕っているメア様が、粛清しようとしてるんだよ」

「ちょっとどいて?」

「話聞こえてなかったのか?チビ。また遠いのかな?それともチビだから聞き分けが悪いのかな?」


やばい!海がプルプルと震え始めた。


「海!抑えろ!」

「蓮」

「な、なんだい?」

「水の力撃って」

「は、はい。水の力!波濤・弱(ウネルナミ・ジャク)


海の目の前にいるチンピラを、それとなく濡らした。


「つめて!おい!何しやがる!」

「これからもっと冷たくなるよ。準備しといてね?心臓止まっちゃうかもしれないから」

「は?」

「氷の力。冷凍・波(チルド・ヴェレ)


海を中心に衝撃波のようなものが、辺りを駆け巡った。僕は思わず顔を覆った。


衝撃波が通り過ぎたことを確認して、辺りを見渡すと、さっきのチンピラが凍っていた。


「も、もしかして、凍らせたの?」


僕の技で濡らしてから氷の力、冷凍・波(チルド・ヴェレ)を撃つことで、確実に凍らせられるようにしたんだ。


「大丈夫。効果は一時的なものだから、自然解凍で元に戻るよ。ダメージはちゃんと負ってる」

「割と良心的なんだね」

「自然解凍できればの話だけどね。このまま攻撃すればどこかがパキッと折れちゃうかもしれないから、気をつけないとね」

「怖い。てか、さっきこいつ、メア様って言ってなかったか?」

「あっ。言ってた!早くワシガ村に行かなきゃ。こいつらに構ってる暇なんてなかったのに」

「じゃあ、僕に任せて!水の力!波乗(サフィーン)


この技はどこかから現れた水に運ばれることで、早く移動することができる技だ。


もしかしたら今、ワシガ村が危ない状況かもしれない。


* * * * *


「な、なんじゃこりゃぁぁ!」

「蓮よ。その街に来た時に叫ぶのやめなさいよ。心臓止まるくらいびっくりするんだから」

「ああ、ごめん」


ワシガ村の入り口に我々はいる。この村、明らかにおかしい。

家が限界をとどめていないくらいぐちゃぐちゃになっているし、人の気配も全くない。どうしてしまったんだろうか。やっぱりメアがこの村をめちゃくちゃにしたんじゃないのか。そう言った思いが頭を駆け巡る。


「やっぱりおかしいよ」

「もっと中まで行って確認しよう」


僕らは荒れたワシガ村に入った。

波乗(サフィーン)は間違ってません。そういう技です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ