60 思うこと 願うこと➉
「うん、スーパー、呼び出しできちゃったね。やっぱり、いつもいってたところになるのかな?」
遠慮なく、木々を伐採して、地面を整地して、大開拓した。
風魔法、土魔法も使えてよかった。人力だったら、不可能だったと思う。それでも、範囲が広いし、エリスちゃんとレイくん、二人の様子を見に行きながらだから、4日ほどかかった。
広げた土地に、どーんと出現したのは駅そばの大型スーパー。学校帰りに行くことがあった。。
1階が食品、医薬品、日用品等。2階が、衣料品、雑貨、文具、本屋、他。3階が映画館とゲームセンターになっていた。
外観をみる限り、渡り廊下でつながっていた駐車場の建物は、出現はしていない。
「……でも、屋上駐車場はあるかもしれない。地下は? 要確認かなぁ。
われながら、もう、なんでもありだよね、うん。ドラッグストアとか本屋さんとか、種類かぶっちゃってるの、どうしよう。まだ、今回開拓した土地が残ってるからいいけど。それにしても……」
大型スーパーだけあって建物の高さが、森の木々より高くなっている。
3階建ての建物より高い木々もあるが、目隠しにはなっていない。
夜になれば、灯りもつくだろうし……。
「これって、とっても目立ってしまうよね。ふーむ、どうしよう」
おわん型結界は、しっかりと、新しく広げた場所も含め、覆っている。別結界でアパートの場所も覆っている。安全確保はばっちりだ。
「でも……プライバシーの確保も必要かもしれない。私のおわん型、今は超大型結界になっちゃってるけど、透明なんだよね。丸見え……。
変な人とか、危ない人とか、敵意のある人とか来て、獣とか入ってこれなくても、こちらから姿がみえたり、あっちから見えるのも嫌だなぁ。うーん、どうしよう」
隠蔽とかそういうの、まだ、魔法の勉強不足で、どうしたらいいか、わからない。
「ううむ」
腕を組んで、しばし、考える。
家の周りには、みえないように塀とか、目隠し設置したりするよね。
さすがに、3階建ての建物をみえなくする塀なんて、それって、塀じゃなくて、城壁レベルだよね。
「みえなくかぁ……ん? そうだ」
ぽんっと手をたたいた。
「とりあえず、外からみえなくしちゃえばいいんだよね」
思うこと、願うことが、私の魔法。
「透明じゃなくて、半透明になって、私の結界。外からみえないように」
上から、幕が下りるかのように、透明だった結界が、白く色づいていく。
濃い真っ白ではなくて、うっすらとした白だ。
色がついてわかったけど、私のおわん型結界、巨大だ。
スポーツや、ライブを開催する、ドームより大きい。何個分かな、これ?
それを常時展開、維持している私の魔力は、常に補給されていると、エリスちゃんがいっていた。
私の魔力自体とても多いらしいんだけど、減った分だけ、大森林から可及的速やかに補給されていると教えてくれた。
稀に、自然から魔力を補給することができる者もいると言っていたけど、私のように、自動的に補給されているのは、なぜなのか、よくわからないといっていた。
召喚国にいた時もほかの人より魔力多いかも?と思っていたけど、それでも、癒しの魔法を使いすぎると疲れを感じることがあった。
この白い霧の中に追放されてからは、魔法等魔力を使うことをしても、全く、疲れたり、魔力が減ったとか思ったことはない。
減った分だけ、補給されてれば、そりゃ、感じないよね。
私って、どうなってるんだろ?
自分のステータスとか見れたらいいんだけど、できるのかな?
鑑定、とか? 図書館に、本あるかな?
「知りたいことが、また、増えたかも」
でも、まだ読みかけの本があるから、順番にだね。
何でもかんでも、手を出して、中途半端になってはいけないと思う。
「それにしても……、森の中の巨大な、白っぽい半透明な、結界。目立つし、あやしいよね。うーん、……すくすくと、がんばって、隠してくれるくらい木が……いちばん大きい木と、同じくらい大きくなってくれたらいいのになぁ」
何気なくつぶやいたことが、現実になっていることに気がつくのは、翌日なんだけどね……。結界の周りの木々は、すくすくと巨木に成長して、結界よりも高く、ずらりと並んで、そびえ立ってるんだよ。びっくりしたよ、ほんと。
「アパートの方は周りは塀でかこむかなぁ。そういえば、花壇も作りたかったんだよね」
エリスちゃんとレイくんのいる、自動販売機、アパート、公衆トイレのあるところは、今は受け入れ停止中だけど、もともとは、誰かを受け入れるためにつくったものだから。
「結界は、透明なままでいいかな。塀と花壇は作ろう。お花は、エリスちゃんと一緒に植えたいな。どんな花、色は何系がいいか、きかないとね。ほんとは一緒に買い出ししたいけど、無理だったし」
エリスちゃんを、買い出しに一緒に連れて行こうとしたけど、できなかった。
アパートの結界から外に出ることができなかった。
エリスちゃんは、本来ならこの白い霧の中には、魔族である自分ははいることができないといっていた。
結界から一歩でも外にでたら、たぶん、白い霧の外の世界に、はじき出されるだろうと。
転移魔法を使っても、だめだろうと言っていた。転移魔法を使ったら、同じく、白い霧の外にはじき出されるはずだと言っていた。
なぜ?と聞いたら、
この世界に――白い霧の中の世界に、嫌われているからだとこたえた。
嫌われている、拒否されていることが、なぜか、わかると。
リンがここに招いてくれたから、この場所にだけはいることができたんだよって言ってた。
「エリスちゃんも、連れてきたかったんだけどな。……一人利用の、ショッピングモールって、さみしいかも。便利だから、ぜいたくな望みなんだろうけど」
異世界にいるのに、衣食住に困ることなく、過ごしてるんだから、それ以上望むのは、よくばりだよね。
でも、ちょっと、夜とかさみしい気分になるときもあるから、アパートに、私の部屋も確保するかな。
今はエリスちゃん、レイくんの部屋だけで、部屋数に余裕あるし。
レイくんは、まだ身体が回復しきれていなくて、寝たり起きたりの状態だ。
あんなに大怪我して血も大量に流しただろうから、完全に戻るには時間がかかりそう。
それでも起きてるときは、着替えをしたり、自分で食事をとることができるようになった。
はじめはおかゆを半分も食べることができなかったけど、この頃は残さず食べれるようになった。
「おかゆは、そろそろ、卒業かな。とすると、ごはんはなににするかな? とりあえず、買い出しだね」
メニュー、レシピを思い浮かべつつ、スーパーの1階に歩いていく。
地面はアスファルトだ。
そこだけ見てると、異世界にいることを忘れそう。
「そういえば、入り口そばに、たい焼き屋さん、ドーナツ、たこ焼き屋さんもあったよね。どれにする? ぜんぶ?」
三人でなら、食べ切れるよね。
せっかく、スーパー呼び出したのに、初回は、出来合いのものになりそうだ。
でも、楽しいから、いいよね。
エリスちゃんとレイくんに会えて良かった。
一人より、誰かといることは、とても、楽しくて、幸せかもしれない。




