↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
欠片たち   作者: siki


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/73

31 ちいさなお家①

 お肉は量り売りか、スーパーのパック入り。

 野菜、果物は種類別に、季節を問わず、必要なものが並んでた。

 魚は切り身で買うのが当たり前で、一匹さばくときは魚屋さんにおろしてもらってた。めんどくさいときは、骨抜きの調理済みの煮魚買ってきていた。


 買い物に行くのは、お母さんで、料理するのも、そうだった。


 卵焼きひとつ上手に作れなくて、焦がしていた私が、今は、解体もできて、料理もできるようになりました。拍手。


 さばき終わった魚、部位ごとにきり分けた肉の山をみて、腕を組んで、うなずく。


 我ながら、頑張ったよ。


 最初、素材そのまんまの獣や、まるっと一匹の大魚をみて、涙目で無理無理といってた頃が、ずいぶん昔のことのように思える。


 無理だろうが、なんだろうが、生きていれば食べなければならないわけで、こんな森の中に、コンビニやスーパーなんてあるわけがない。


 なければ、どうする?

 狩って、解体して、調理するしかない。


 追放仲間の先輩たちに、経験にもとづくサバイバル術教えられて、ずいぶんとたくましくなったと思う。


 全部が全部、原始的に、やってたわけでもない。

 私たちは、この世界に召喚されて、魔法や固有のスキルみたいなものをあたえられていた。

 火魔法が使えれば、火を起こしする必要はない。

 水魔法が使えれば、水場を探す必要はない。飲水もだせる。 

 

 それぞれの魔法やスキルをいかして、協力しあって、生活している。


 拠点はまだ、完成とは程遠い。


 みんな、専門家じゃない。家の建て方とか、畑の作り方とかわからない。

 スマートフォンとかないし、調べられない。

 試行錯誤して、知恵を出し合い、なんとか建物をつくり、炊事場をつくり、手作り感満載な、拠点をつくっていっている。現在進行形だ。


 最初、ここにあったのは、一軒の家だけだったそうだ。 

 私が来たときには、建物もいくつかできかけていたけど。そのときは、ちいさなお家が一軒だけ。


 ちいさなお家――外壁にツタの絡んだ、すこし年季の入った家。そばに井戸もあった。畑も。外観はたとえるなら、魔女の家?みたいな感じ。くるりと木の塀に囲われている。


 女性が住んでたんだろうなって思わせる、可愛らしいカップや、お皿。ぬいぐるみ。テーブルクロスの刺繍は、花柄で、すこし糸の色があせていた。時の流れを感じさせた。


 ここに、住民はいなかった。

 玄関の木製の扉に、カギはかかっていなかったそう。


『白い霧を越えて、森の中をさまよって、途中からみたことのない獣に追い立てられたんだ。

 ここにたどり着いたとき、カギのかかってないドアノブをまわして、中に飛び込んだ時、ほんと、助かったと思った。その時、助けてくれたと、なんでか、思ったんだ』


『私もよ。霧の中に、あいつらから逃げるために、飛び込んで。でも、越えられないってわかっていても、怖くて。足をとめられなかった。どこをさまよってたのかわからないけど、気がつくと、このドアの前にいたの。可愛らしいドアを開けて、いかつい顔の、この人が出てくるとは思わなかったけど』


『いかついって、ひでーな』


『僕も、つかまりたくなくて、転移魔法連発してたら、ここにきてた。霧? いつ越えたか、わからないよ』


『クソな召喚国の王子をぶん殴ったら、殺されかけて、白い霧こえて逃げ込んだんだよ、おれ』


『みんなそうだね。私も、あのクソヤローの顔面ぶん殴ってやりたいと思って、歩いてたら、ここにきてたんだよね』


 白い霧を越えた場所の特徴や、召喚国の話を聞くと、違う国、違う場所から、このドアの前にたどり着いたようだった。


 ここに来れば、安全だよ。と、導かれたかのようだった。

 この家の持ち主は、かつて召喚された人だったのかな。

 何も、それを示す証拠がないからなんともいえないけど。


 最初は数人だったのが、増えていき、今は10人ほど。

 さすがに、ちいさなお家の収容人数を超えすぎてる。

 みんなで試行錯誤しながら、家というか、小屋にしかみえないものをつくったり、畑をつくったりしている。

 ちいさなお家には、保存食とかはあったけど、それも限りがある。

 必然的に、狩りをはじめた。保存されてた種を植えて、畑をつくった。

 まだまだ、発展途上中だけど、私たちの拠点ができつつある。

 

 いつか、この拠点を中心にして、この森というか、果てのない大森林のなかを、探索したいとみんなは言う。


 いろんな場所から召喚者がこの白い霧の中に捨てられている。

 まだ、いるはず。

 この世界は、安易に召喚するみたいだから、絶対、たくさんいる。


 この大森林は世界の中心にあり、果てがないという。

 拠点どころか、年月を経て、街や村になっているところも、この大森林のどこかにあるかもしれない。


 そして、もしかしたら……帰れない、戻れないといわれたけど、方法を知っている異世界人も、いるかもしれない。

 この小さな家の人だって、帰れたから、空き家なのかもしれない。


 みんな、いろんなことがあって、ここにたどり着いて、いろんな思いを心に秘めている。


 幼なじみも、先に、召喚されてるから、落ち着いたら、探しに行きたいんだという人もいる。


 散々な目に遭わされた人もいるから、復讐を考えているかもしれない。


 私たちは、それぞれの場所で召喚され、仲間ではあるけれど、それぞれの心の内を語りあうほどの、仲ではない。


 私を、いらないと否定したあのおきれいな顔を、ぶん殴りたいとは思う。

 

 でも、まだ、手が届かない。 


 根本的に、白い霧から向こうへ戻れるのかもわからない。

 わからないこと、だらけだ。


 だけど、うじうじ考えすぎるのは、性に合わない。

 下を向いたら、次は上を向くだけ。


 とりあえず今は衣食住の、充実を目指したいと、思う。

 卵焼き食べたいなぁ。今ならうまく焼けそうなのに。 

 卵……。とりあえず、にわとり、いるのかな。まず、そこからだ。


 安全地帯のような小さな家周辺を一歩でれば、魔物、獣、虫などのオンパレードだ。


 卵。このさい、ダチョウサイズでもいいから、いないかな。


 とりあえず、解体道具片付けたら、探しに行こう。

 

 

 


 

 

 




 


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。