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欠片たち   作者: siki


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21 異世界人


 この世界の大多数の国は、自国が困難に直面したとき、召喚をし、異世界人を呼んで、他力本願で、なんとかしようとする。


 まだ、一人呼ぶくらいなら、マシなほうで。

 ある国など、使い捨ての、簡単に補充できる戦力として、異世界人を、集団で召喚をする。

 

 情に訴える。男女の仲になり籠絡する。贅沢をさせる。さまざまな手を使い、異世界人を自分たちの都合のよい駒にしようとする。


 簡単に、手のひらのうえで、踊らされる異世界人たち。

 いいように使われ、必要なくなれば、処分されるというのに。

 放逐されるか、処分されるかは、その異世界人の、能力次第で。

 普通の枠からでない異世界人は、使い捨てにされ、処分されている。そのことを知るものはそれぞれの国の上層部だけで、一般人は知らない。

 処分できない特殊な異世界人は、白い霧の向こうの場所へ、処分というより追放されていることも、みな、知らないだろう。


 召喚をせず、聖女の力を含め、他者に頼らない帝国にも、白い霧のはる場所はある。


 白い霧のむこうの大森林は、世界の中央に広がり、大多数の国の境界に面している。

 

 この世界の人は、白い霧を通過して、大森林へは入れない。


 測量するのが困難な、広大な大森林には、白い霧のはっていない場所もあり、そこからは異世界人でなくとも、大森林へとはいることができる。

 手つかずの森の恵みを求め立ち入る者は多い。

 ただ、この世界の人が、そこから入ったとして、どれだけそれを目的に探しても、異世界人に遭遇することはない。


 白い霧から入る、はってないところからはいる。そこから通ずるのは、同じ大森林のようであって、そうではないのではないかともいわれている。


 白い霧を通り抜けていった異世界人は、どこへ行ったのだろう。




 

 一読した報告書を、苛立ちまぎれに、投げ捨てたくなった。 


「――また、胸糞悪いことを。クズすぎだ。あの国は。異世界人を、同じ人間とはおもってないね。使い捨てのコマ以下の扱いだわ。本当に、頭がおかしい」

「皇女様。お言葉が悪うございますよ」


 侍女長が私の言葉遣いをたしなめる。

 

「すまない。――気をつけるわ。だけど……」


 わが国が、潜入させている諜報員からの報告書によると、また、あの国は数十人規模で召喚を実行したとのことだ。


 召喚の魔法は、太古からこの世界に存在している。

 しかし、発動するためには、人数に比例して、対価が必要となる。そんな軽々しく行えるものではないのだが、あの国は違うらしい。


 異世界人を戦力として育て、魔族や魔物、時として、対人戦で、矢面にたたせるのが、あの国の常套手段だ。


 しかも、今回は、戦いが始まる、きっかけは、人間側だったようだ。


 魔族の子どもを捕まえて、傷つけた。

 当然、怒った親である魔族が、報復にでてくる。


 魔物と魔族を、一緒にする輩がいるが、それは違う。

 わが帝国でも、本能で生きる魔物との戦いは絶えることがない。姿形は、獣に似ている。


 魔族には知性があり、人と姿形はほとんど変わらない。駆け引きが通じるし、人のように、争いを好まない魔族もいる。もちろん、血の気が多く、戦いを大変好む魔族もいる。

 わが帝国では、基本的に攻められない限りは、自ら、ちょっかいをだし、藪から蛇をだすようなマネはしない。


 あの国は、いったい、何を考えてるのか、本当にわからない。

 時々、思い出したかのように、うちの国境を攻めてくるのも、わけがわからない。

 毎回、こちらが返り討ちをしているが。

 それでも、油断はできない。


 しかし……。

 今回も、使い捨ての戦力として、異世界人が投入された。

 魔族は強い。戦い方を覚えたばかりの、異世界人たちが敵う相手ではない。


 全滅か……。いや、誰か、まだ、生きてるかもしれない。望むなら、わが国に逃げてきてもいい。


 無理やり、異世界に呼ばれ、利用され、使い捨てにされるなど、哀れだ。


 心を偽りの愛情で籠絡されている異世界人は、どれだけ血にまみれても、こちらの手を振り払う者がいて、その場合は、もれなくこちらに剣をむけてくるから、厄介なんだが……。



「父上の許可がでれば、行くか……」

 

 ほおっておけと言われるかもしれないが、知ったからには、目覚めが悪いので、動くしかない。


 ティーカップにのこっていた紅茶を飲み干して、私は立ち上がった。


 


 






 


 

 

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