16 いびつな世界①
この世界はいびつだ。
いろんなものがぐちゃぐちゃに入り混じって、そして、異質なものを外から呼び寄せて、ますます、わけがわからないことになっている。
もともと、ゼロから、つくられたわけではなかった。
放棄された世界があった。
創造主である神に捨てられた消滅寸前の、世界。
そこに、なりたての未熟な創造主の一人が、手を出した。
どんな経緯でそうなっているかも考えもせず――土台があるなら、その続きは、自分がすると、安易に、世界をつくり始めた。
それがはじまり。
あれもこれもといろいろ作ったり、いらないかもと消して、やっぱりいるかな? と作ったりして、未熟で後先考えない、世界づくりは続く。
気がついたときには、とんでもないことになっていた。
一例をあげると、上位の創造主の世界から、召喚だなんだといって、本人たちの意思無視の、誘拐、拉致をやらかしてくれていていた――その世界の特権階級の住民たちは。
召喚したものにも当たり外れはあって、すさまじい能力を持つものもいれば、一般人、そして、何も持たないのに望みだけ主張するものもいた。
もう、どこをどうすれば軌道修正できるのか? 素晴らしい世界でなくてもいいから、標準、普通の世界にもどしたいと、未熟な創造主は思った。
そして、あろうことか、自分の世界の者たちがやらかして、迷惑しかかけていない、上位の創造主に、助けを求めた。
拒否され、そして、自分でなんとかしろと、落とされた。
天から自らの世界に落とされていく時、自分が何かに変わっていくのが、わかった。
自分でどうにかしろと言われても、どうにかしようがないんですが。
むしろ、今すぐ、私自身が終わりそうなんですが?
むっちりとふとった短い手足をジタバタ動かして、どうにかしようとするが、どうしようもできない。
まだ、寝返りもできない月齢のようだ。
背中からは、土と草の大地の匂い。
手足をジタバタしても、周囲を取り囲む、魔獣であろう気配は、遠ざかるどころか、近づいてきてる。
おわった……。
転生?してすぐの終わりをひしひしと感じて、観念して、目を閉じた。
ここで、パクンとやられちゃったら、その先私はどうなるんだろう。
近づく気配とともに、獣臭さが鼻に届く。
え? こんなのに、パクンとやられるなんて、イヤだ。
これでも一応、創造主、神だったんだよ。
イヤだ!
「うぎゃー! わあああん! うぎゃああ」
大声で泣き叫ぶ。泣くのに抵抗はない。身体に、思考もあわせてきている気がする。
「うぎゃい。わーん!」
果たして、この泣き叫ぶ声は、誰かに届くのだろうか?
カプッとひと噛みされるのも、イヤだから、助けて。
元、創造主なので、怪我したこともなくて、痛みに耐性ないんです。
「うぎゃああん」
「う?」
なにか、同類――赤子の声が重なった気がしたが、泣くのに必死な私は気がつかなかった。




