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何があっても、友でいてくれ  作者: 中原九尾
第5部 その後編

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83/93

第83話 連勝

 デビュー戦の勝利から、大和の快進撃が始まった。


     *


 二戦目の相手は、団体内でも、テクニシャンとして知られる選手だった。


「組技も、そこそこできる相手だったんだけどな」


 試合後、大和は、そう振り返った。


「距離さえ支配できれば、怖くねえって、今回、はっきり分かったよ」


 結果は、二回に入ってすぐの、TKO勝利だった。


     *


 三戦目、四戦目と、大和は、着実に、白星を積み重ねていった。


 どの試合も、共通していたのは、**「組ませない距離感」と「一撃の重さ」**だった。


     *


「桜井、今回も、危なげなかったな」


 トレーナーが、そう評した。


「本人も、自信ついてきてるみたいです。前は、組まれることに、過剰に怯えてる感じがあったけど、最近は、落ち着いて対処できてる」


 その言葉に、僕は、大和の内面の変化を、改めて実感していた。


     *


「なあ、最近、楽しそうだな」


 ある日、僕がそう言うと、大和は、少し照れくさそうに笑った。


「楽しい、っていうのとは、ちょっと違うかもな」


「じゃあ、何?」


「なんだろうな……。自分の力で、また、何かを積み上げてるって実感が、久しぶりにあるんだよ」


 その言葉に、僕は、深く頷いた。


     *


 五戦目は、団体内でも、上位にランクインする選手との対戦だった。


 これまでで、最も苦しい試合になった。


「正直、あの試合だけは、ヒヤヒヤしたよ」


 大和は、そう振り返った。


「相手も、距離感、うまかったからな。何度か、危ない場面もあった」


     *


 それでも、大和は、最終的に、粘り強く、相手のミスを誘い、カウンターで、勝利を掴み取った。


「あの試合が、一番、自分の成長を感じられた試合だったかもしれない」


 大和は、そう振り返っていた。


「苦しい展開でも、冷静に、自分の武器を信じて戦えた。あれは、ボクシング時代には、なかった経験だった」


     *


 六戦目、七戦目も、危なげなく勝利を重ねた。


 連勝を重ねるごとに、大和の名前は、「VICTOR」のファンの間で、確実に、知られるようになっていった。


「元ボクサーの、逆境からの復活劇」


 メディアでも、そんな見出しで、大和の物語が、度々、取り上げられるようになった。


     *


「なんか、こそばゆいな、こういうの」


 自分の特集記事を見せられた大和は、少し困ったような顔をしていた。


「有名になるの、苦手そうだもんね、大和」


 僕がそう言うと、大和は、苦笑した。


「まあな。でも、悪い気は、しねえよ、正直」


     *


 連勝を重ねる中で、大和は、着実に、団体内での地位を、確立していった。


 そして、その快進撃は、やがて、国内だけに留まらない、大きな注目を集めることになる。


     *


「実は、桜井選手に、海外の団体から、興味を持たれているという情報があります」


 黒崎代表から、そんな話が届いたのは、七戦目を終えた、少し後のことだった。


 その報せに、僕と大和は、これまでとは、また違う種類の緊張感を、覚えることになった。

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