第83話 連勝
デビュー戦の勝利から、大和の快進撃が始まった。
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二戦目の相手は、団体内でも、テクニシャンとして知られる選手だった。
「組技も、そこそこできる相手だったんだけどな」
試合後、大和は、そう振り返った。
「距離さえ支配できれば、怖くねえって、今回、はっきり分かったよ」
結果は、二回に入ってすぐの、TKO勝利だった。
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三戦目、四戦目と、大和は、着実に、白星を積み重ねていった。
どの試合も、共通していたのは、**「組ませない距離感」と「一撃の重さ」**だった。
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「桜井、今回も、危なげなかったな」
トレーナーが、そう評した。
「本人も、自信ついてきてるみたいです。前は、組まれることに、過剰に怯えてる感じがあったけど、最近は、落ち着いて対処できてる」
その言葉に、僕は、大和の内面の変化を、改めて実感していた。
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「なあ、最近、楽しそうだな」
ある日、僕がそう言うと、大和は、少し照れくさそうに笑った。
「楽しい、っていうのとは、ちょっと違うかもな」
「じゃあ、何?」
「なんだろうな……。自分の力で、また、何かを積み上げてるって実感が、久しぶりにあるんだよ」
その言葉に、僕は、深く頷いた。
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五戦目は、団体内でも、上位にランクインする選手との対戦だった。
これまでで、最も苦しい試合になった。
「正直、あの試合だけは、ヒヤヒヤしたよ」
大和は、そう振り返った。
「相手も、距離感、うまかったからな。何度か、危ない場面もあった」
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それでも、大和は、最終的に、粘り強く、相手のミスを誘い、カウンターで、勝利を掴み取った。
「あの試合が、一番、自分の成長を感じられた試合だったかもしれない」
大和は、そう振り返っていた。
「苦しい展開でも、冷静に、自分の武器を信じて戦えた。あれは、ボクシング時代には、なかった経験だった」
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六戦目、七戦目も、危なげなく勝利を重ねた。
連勝を重ねるごとに、大和の名前は、「VICTOR」のファンの間で、確実に、知られるようになっていった。
「元ボクサーの、逆境からの復活劇」
メディアでも、そんな見出しで、大和の物語が、度々、取り上げられるようになった。
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「なんか、こそばゆいな、こういうの」
自分の特集記事を見せられた大和は、少し困ったような顔をしていた。
「有名になるの、苦手そうだもんね、大和」
僕がそう言うと、大和は、苦笑した。
「まあな。でも、悪い気は、しねえよ、正直」
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連勝を重ねる中で、大和は、着実に、団体内での地位を、確立していった。
そして、その快進撃は、やがて、国内だけに留まらない、大きな注目を集めることになる。
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「実は、桜井選手に、海外の団体から、興味を持たれているという情報があります」
黒崎代表から、そんな話が届いたのは、七戦目を終えた、少し後のことだった。
その報せに、僕と大和は、これまでとは、また違う種類の緊張感を、覚えることになった。




