第67話 スポンサーという道
「今日は、皆さんに、少し大きな話をしたいと思っています」
役員クラスのスタッフを集めた会議で、僕は、そう切り出した。
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「『VICTOR』という総合格闘技団体の、スポンサーになろうと思っています」
その発言に、会議室の空気が、一瞬、静まり返った。
「唐突ですみません。ただ、これには、僕にとって、とても大切な理由があるんです」
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僕は、これまでの経緯を、順を追って説明した。
高校時代のいじめの制裁、大和という存在の大きさ。誘拐未遂事件で、彼が全てを失ったこと。そして、今回、僕の会社を守るために、彼が、再び全てを賭けてくれていたこと。
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「桜井大和という人物が、これまで、二度も僕の命を救い、そして今回、僕らの会社そのものを、守ってくれていました」
僕は、そう締めくくった。
「彼は今、その代償として、服役しています。出所後、彼に、もう一度、輝ける場所を作ってあげたいんです」
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会議室は、静まり返っていた。誰も、すぐには、言葉を発さなかった。
「代表」
やがて、経理担当のスタッフが、口を開いた。
「その話、正直、感動しました。私たちが、今、こうして働けているのも、ある意味、その桜井さんという方のおかげなんですよね」
その言葉に、他のスタッフたちも、次々と頷いた。
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「反対する人間なんて、ここにはいないと思いますよ」
別のスタッフが、そう言った。
「代表の恩人を救うためなら、会社として、できる限りのことをするべきだと思います」
その言葉に、僕は、胸が熱くなった。
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「ただ、正直に言うと、事業としてのリスクも、考えなければいけません」
経理担当が、冷静な視点から、そう付け加えた。
「スポンサー契約の規模、費用対効果、そして、桜井さんご本人の出場が、実現するかどうかも、まだ分からない状況ですよね」
その指摘は、もっともだった。
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「その通りです」
僕は、頷いた。
「正直、リスクはあります。桜井が、出場を承諾してくれるかどうかも、まだ分かりません。それでも、僕は、この賭けに、挑戦したいと思っています」
僕は、皆の顔を、一人一人、見渡した。
「もちろん、事業として、無理のない範囲での投資にします。ただ、この件に関しては、僕個人の強い意志で、進めさせてほしいんです」
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「分かりました」
最終的に、スタッフ全員が、この決断に賛同してくれた。
「代表が、そこまで想いを込めてる話です。私たちも、全力でサポートします」
その言葉に、僕は、深く頭を下げた。
「ありがとうございます。皆さんの協力が、本当に、心強いです」
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会議が終わった後、僕は、一人、しばらく、その場に立ち尽くしていた。
これまで、皆で築き上げてきた会社。その皆が、今、大和のために、力を貸してくれようとしている。
その事実が、僕に、大きな勇気を与えてくれていた。
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「大和、待っててくれ」
僕は、改めて、そう心の中で呟いた。
この計画を、必ず、成功させる。
その決意を胸に、僕は、次のステップ――格闘技団体との交渉へと、動き出す準備を始めた。




