↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何があっても、友でいてくれ  作者: 中原九尾
第4部 再起編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
66/93

第66話 選んだ道筋

 構想を固めるにあたり、僕は、まず、あの動画で見た総合格闘技団体について、徹底的に調べることにした。


     *


 団体の名前は、「VICTOR(ヴィクター)」といった。


 国内で急成長している、比較的新しい総合格闘技団体で、若手選手の発掘や、過去に挫折を経験した選手の再起を、積極的に後押しする方針を打ち出していることで知られていた。


「過去がどうであれ、リングの上で証明すれば、みんなが認めてくれる」


 あのインタビューでの選手の言葉も、この団体の理念を、色濃く反映したものだったのだと、調べていくうちに分かってきた。


     *


 調べを進める中で、僕は、自分がこの計画に、どう関わるべきかを、慎重に考えていた。


 選択肢は、いくつかあった。


 一つは、団体側に、直接、大和の出場を依頼すること。もう一つは、自ら新しい団体を立ち上げること。そして、既存の団体に対して、スポンサーという立場で関わること。


     *


「直接、出場を頼み込むだけじゃ、正直、弱いと思うんです」


 この構想を、事前に相談していたコンサルタントに、僕は、そう説明した。


「実績のない、しかも実刑判決を受けた過去のある選手を、いきなり出場させてほしいと頼んでも、団体側からすれば、リスクの方が大きく映るはずです」


 コンサルタントは、頷きながら、聞いていた。


「新しい団体を、一から立ち上げるという手もあるとは思うんですが、それだと、時間がかかりすぎます。大和が出所してから、なるべく早く、次の目標を持たせてあげたいんです」


     *


「だから、スポンサーという立場で関わるのが、一番、現実的だと思っています」


 僕は、そう続けた。


「スポンサーとして、団体の運営に貢献できれば、こちらの提案にも、耳を傾けてもらいやすくなります。それに」


 僕は、少し言葉を選びながら、続けた。


「うちの事業――『Suki』のユーザー層と、格闘技ファンの層は、実は、意外と重なる部分があるんです。内向的で、何かに強く憧れを持っている人たちが、多いので」


「なるほど。事業としての相乗効果も、期待できるということですね」


 コンサルタントの言葉に、僕は頷いた。


「はい。慈善事業として無理に押し通すのではなく、事業としても意味のある形にしたいんです。その方が、社内の理解も、得やすいと思うので」


     *


「ただ、スポンサーになったからといって、必ずしも、選手の出場まで、口を出せるわけではないですよね」


 コンサルタントが、そう指摘した。


「はい、その通りです。あくまで、団体側の裁量が大きいことは、承知しています」


 僕は、正直に答えた。


「それでも、何もしないよりは、可能性がある。だから、まずは、この道を選びたいと思っています」


     *


「分かりました。それなら、契約交渉に向けて、必要な資料を、一緒に整理していきましょう」


 コンサルタントの言葉に、僕は、深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


     *


 こうして、僕は、「VICTOR」という団体を、スポンサーという形で支援するという、具体的な道筋を固めていった。


 直接的な口利きでも、一からの団体設立でもない、この遠回りに見える道こそが、最も確実に、大和を、再び日の当たる場所へ導く手段だと、僕は信じていた。


 あとは、この計画を、実際に、団体側へ提案するだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。