第65話 構想
「大和を、もう一度、日の当たる場所へ」
そう決意したものの、具体的な方法は、なかなか見つからなかった。
ボクシング界への復帰は、事実上、絶望的だった。実刑判決を受けた事実、そして、ライセンス自体、すでに失われている。
何か、別の道はないだろうか。そう考えながら、僕は、日々を過ごしていた。
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ある夜、僕は、何気なく、動画配信サイトを眺めていた。
仕事の疲れを癒すために、普段は、あまり見ないジャンルの動画を、なんとなく開いていた。
その中で、僕の目に留まったのが、ある総合格闘技イベントの映像だった。
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映像に映っていたのは、一人の選手だった。
コメント欄を見ると、彼は、かつて少年院に入っていた経験がある、いわゆる「不良」だった過去を持つ人物だという。
その選手が、圧倒的な強さで対戦相手を打ち倒し、観客の地鳴りのような歓声を浴びている。
「更生した不良が、リングの上で輝いている」
そんな煽り文句と共に、彼の半生を紹介するインタビュー映像も、続けて再生された。
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「過去がどうであれ、リングの上で証明すれば、みんなが認めてくれる」
インタビューの中で、その選手は、そう語っていた。
「アメリカの大きな舞台に、いつか立ちたい。過去を全部、力に変えてやりたいんです」
その言葉に、僕は、雷に打たれたような衝撃を受けた。
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――これだ。
僕は、思わず、そう呟いていた。
ボクシングという道は、閉ざされてしまった。それでも、総合格闘技という舞台でなら。過去を背負いながらも、実力で這い上がることができる、この世界でなら。
大和にも、もう一度、輝ける場所を、作れるかもしれない。
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その夜、僕は、眠れないまま、様々な可能性を、頭の中で組み立てていった。
大和には、ボクシングで培った、圧倒的なパンチ力がある。組技や投げ技は未経験だとしても、その武器だけで、十分に通用する可能性があるのではないか。
そして、この物語――「大切な人を守るために全てを賭け、その代償を払った男が、再びリングで輝く」という物語は、きっと、多くの人の心を動かす。
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もちろん、簡単な道のりではないことも、分かっていた。
大和自身が、この提案を受け入れてくれるかどうかも、分からない。畑違いの競技に、彼が興味を示すかどうかも、未知数だった。
それでも、僕は、この構想に、一縷の望みを賭けてみたいと思った。
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翌朝、僕は、改めて、その総合格闘技団体について、詳しく調べ始めた。
団体の規模、運営体制、そして、スポンサーの募集状況。
調べれば調べるほど、この構想が、決して非現実的なものではないという確信が、僕の中で強まっていった。
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「大和、待っててくれ」
パソコンの画面を見つめながら、僕は、静かに、そう呟いていた。
この構想を、必ず、実現させる。
その決意を胸に、僕は、次のステップへと、動き出すことを決めた。




