↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何があっても、友でいてくれ  作者: 中原九尾
第3部 すれ違いと危機編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/93

第53話 半グレの影

 これも、後になって、大和自身の口から聞いた話だ。


 あの頃、大和の周りで、ある噂が囁かれ始めていたのだという。


     *


「なあ、大和、お前の友達って、あの『Suki』ってやつ、作ってる人だろ」


 健吾たちとの飲みの席で、そう切り出されたのだという。


「ああ、そうだけど。それがどうした」


「いや、ちょっと聞いた話なんだけどさ」


 健吾は、声を潜めて続けた。


「あのサービス、結構な規模になってるだろ。そういうところに、良からぬ連中が、目ぇつけてるって話、聞いたことあってさ」


     *


「良からぬ連中って、どういうことだよ」


 大和が、そう問い詰めると、健吾は、少し言い淀んでから答えた。


「詳しいことは、俺もよく分かんねえけど。フロント企業使って、儲かってる会社に、じわじわ入り込んでくる連中がいるんだと。表向きは、投資とか業務提携とか、まともそうな話で近づいてきて、気づいたら会社ごと乗っ取られてる、みたいな」


 その話に、大和は、半信半疑だったという。


「お前の友達の会社が、そんな話に巻き込まれてるって噂、ちらっと聞いてさ。まあ、噂だから、本当かどうかは分かんねえけど」


     *


「最初は、正直、大袈裟な話だと思ってたんだよ」


 大和は、そう振り返った。


「お前、忙しそうにしてたし、羽振りも良さそうだったからさ。まさか、そんな裏で、危ない橋渡ってるなんて、想像もしてなかった」


 それでも、大和は、その噂が、頭から離れなかったのだという。


     *


「でも、なんとなく、引っかかってさ」


 大和は、健吾を通じて、その筋に詳しい人間から、少しずつ情報を集め始めた。


「お前に直接聞くって選択肢も、なかったわけじゃねえんだよ」


 大和は、そう説明した。


「でも、もし噂が本当だったとして、下手に騒ぎ立てたら、相手を警戒させるだけかもしれねえ。それに、もし噂が外れだったら、お前を無駄に不安にさせるだけだし」


 その慎重さは、大和なりの気遣いだったのだと思う。


     *


 調べていくうちに、噂は、次第に、具体性を帯びていった。


「後から分かったことだけどよ」


 大和は、そう前置きしてから、当時調べていた内容を、僕に説明してくれた。


「お前の会社に、業務提携とか投資の話で近づいてきてた企業の中に、実態のよく分からない企業が、一社混じってたんだよ。登記上の住所行っても、もぬけの殻だったりしてな」


 その話を、僕は、事件が全て終わった後になって、初めて聞かされることになる。当時の僕は、そんな調査が進められていることすら、知る由もなかった。


     *


 この頃、大和は、一人で、静かに、危険の正体を探り始めていた。


 僕には、何も知らせないまま。


 その慎重さと不器用さが、この先、彼を、より大きな危険へと導いていくことになるとは、この時の大和自身も、まだ分かっていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。