↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何があっても、友でいてくれ  作者: 中原九尾
第2部 それぞれの飛躍と挫折編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/93

第34話 メディアの中の自分

 組織としての体制が整い始めた頃、僕は大学を卒業した。


 最初のきっかけは、卒業間近に受けた、あるウェブメディアからの取材依頼だった。「学生が立ち上げ、海外発でバズった話題のSNS」という切り口で、僕自身にインタビューをしたいという話だった。まだ卒業前だったので、このときは間違いなく「学生」としての取材だった。


     *


「緊張しますね……」


 初めての取材当日、僕はスタッフに何度もそう漏らしていた。


「大丈夫ですよ、いつも通り話せば」


 同世代のスタッフが、笑いながら励ましてくれた。


 結果的に、取材は無事に終わった。記事が公開されると、それがまた新たな話題を呼び、次の取材依頼へと繋がっていった。


     *


 それから数ヶ月の間に、僕を取り巻く状況は、目まぐるしく変化していった。


 卒業し、正式に「Suki」の運営に専念するようになってからは、ウェブメディアだけでなく、テレビの情報番組からも出演依頼が来るようになった。「若者に人気のSNSを立ち上げた、若手経営者」という肩書きで、僕は、少しずつ顔と名前を知られる存在になっていった。


「テレビに出るとか、僕には向いてないと思うんですけどね」


 スタッフにそうこぼしながらも、事業を広めるためには、こうした露出も必要なのだと、自分に言い聞かせていた。


     *


 多忙な日々の中で、僕と大和が顔を合わせる頻度は、以前よりもさらに減っていった。


「最近、テレビで見たぞ」


 久しぶりにかかってきた電話で、大和がそう言った。


「え、見たの?」


「たまたまな。にしても、随分と喋れるようになったもんだな、お前」


 からかうような口調だったけれど、そこに、以前ほどの気安さはなかった気がした。


「大和は、最近どう?」


「まあ、いつも通りだよ」


 その返事は、以前よりも短く、素っ気なかった。忙しさにかまけて、僕は、その素っ気なさの理由を、深く考える余裕を持てずにいた。


     *


「今度、飯でも」


 電話の最後に、僕はそう告げた。


「ああ、そのうちな」


 その「そのうち」が、いつになるのか。当時の僕は、はっきりとした予定を決めることもせず、電話を切ってしまった。


     *


 振り返れば、この頃から、僕らの間の連絡は、明らかに質を変えていった。


 以前は、他愛のない用事でも、気軽に連絡を取り合っていた。それが、いつしか、お互いのスケジュールを気にしながら、遠慮がちに連絡を取るような関係に変わっていった。


 悪気があったわけではない。それぞれが、それぞれの生活に追われる中で、自然とそうなっていっただけだった。


 でも、その「自然な変化」の積み重ねが、後になって、埋めがたい距離になっていくとは、この時の僕は、まだ想像もしていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。