99.ダンジョンのテスト
もうすぐ夏休みに入るという七月の上旬、他のジョブの授業を専攻している生徒たち共々冒険者のテストという課題を行った。
これは、要するにこれまでの進路に関する授業で学んだ技術のテストだった。
その内容は「三人でパーティを組み、学院側が用意したダンジョンをクリアする」というもの。
一つのパーティ内には、最低でも二種類のジョブがいなければならない。
私はリーネ、シルフィンと組んだ。
リーネはヒーラーだが、シルフィンは意外にもエンチャンター専攻らしい……確かに、これまでの授業でシルフィンを見かけなかった。
エンチャンターは味方の強化、ダンジョンの仕掛け解除、後方からの攻撃支援と多彩な仕事ができるジョブだが、魔法職の中では最も難易度が高いという。
それを裏付けるように、他のパーティを見回してみても、エンチャンターの生徒がいるところは少なかった。
というより、エンチャンター志望の生徒自体が少ないようだ。
「なんか意外ね、あんたがエンチャンター志望だなんて」
「私の両親は現役のエンチャンターだからね、私もその後を継ごうと思ってるの。大変だけど、その分頼りにされるジョブだから!」
「それは確かにそうね。でもそれなら、ヒーラーだって負けてないわよ?」
リーネはヒーラーだが、彼女の場合は攻撃や補助の魔法もある程度こなせるので、ある意味ではエンチャンターが二人いるようなものだ。
とはいえ、一応はみんな違うジョブなので、先生のパーティジョブチェックにも引っかからなかった。
そうしてパーティを組んだ後、今回のダンジョンについての説明を受けた。
名前は「テスト用ダンジョン」。
その名の通りテストのために作られたダンジョンであり、教室内に置かれたトンネルが入り口となっている。
内部は洞窟となっているが、どこにどんな仕掛けがあるかはわからないし、魔物もいる。
ただし、いずれもこれまでの授業でやったものであり、対処不可能なものは出てこないらしい……まあ、テストなのだから当たり前か。
最深部には銀の盾があり、これを取って無事に戻ってくるのが目標となっている。
その際、パーティメンバーが一人でも欠けていれば出ることはできない。
命を落とすような危険があるダンジョンではないため、必ずメンバー全員で出てこられるはずだ……と、先生は言った。
「ダンジョン内では、それぞれのパーティにいるジョブによって仕掛けや魔物が変わる。このダンジョンは、全ての生徒に等しい試練を課す。だが、決して難しい試練ではない。自分の持てる力を出し切りさえすれば、余裕でクリアできるはずだ」
マージ志望者の授業の担当であり、今回の担当でもあるメジェラ先生はそのように述べた。
私も、このダンジョンは冒険者を目指す上で避けては通れない試練だと思っている。
リーネとシルフィンと共に、必ずクリアしてやる。




