↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
3章 闇と炎は何を紡ぐ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/107

88.たとえ、許されなくても

 ルークとジェイルが休み時間にも談笑しているのを見て、ノエルがぽつりと呟いた。


「良かった……うまくいって」


私は驚き、「彼らに何かしたの?」と尋ねた。

すると、「シディクリアを使った」という返事が返ってきた。

最初「シディクリア」という単語を聞いてもピンと来なかったが、ノエルに「勇気の魔法ってやつだよ」と言われて思い出した。


 そうだ、勇気の魔法……今年の誕生日に、母から教わった魔法だ。

確か、「実践したいが勇気が出なくてできないことがある」時に使うという魔法だったはず。


「ってことは、もしかして彼は……」


「本当は謝りたいと思ってたんだけど、勇気が出なくてそれを言えずにいたみたいなの。だから、私が魔法で勇気を出させた。ジェイルの方も悪いと思ってたみたいでね、あっさり仲直りできたみたい」


なるほど、つまり喧嘩の後によくあるパターンというわけか。

お互いに悪かったと思っている、しかし勇気が出なかったり照れたりしてそれを相手に伝えることができない……という、すべきことは簡単だが実践するのが難しい状況にあったわけだ。


「てかノエル、シディクリアなんて使えたんだね」


「今年の五月だったかな、その辺にお母さんから教わってね。さっそく使ってみたってわけ」


「へえ……私は三月に教わったよ。誕生日に」


「誕生日?あ!そういやアリア、三十一日が誕生日なんだっけ」


「そう。ノエルはいつだっけ?」


「四月十日。アリアと十日違い」


 意外と近い……が、実際は一年近くズレがあるため、少なくとも学院においてはかなり遠い。

まあ、私の誕生日は学年で一番遅く、誰から見ても一番遠いのだが。


「十日か……あ、そういえば母さんの誕生日も十日だよ。二月だけど」


「え、セリエナ様が?二月ってことは、真冬か……炎の大魔女なのに、なんか意外」


それは私も思う。だが、母にとって誕生日などはあまり意味のないものだと思う。

私の誕生日は毎年祝ってくれるが、自分の誕生日は私が言わなければ当日も忘れているほどだ。


とは言え、母は三十歳の姿のまま二百年以上生きているらしいので、自分の誕生日がそんなに特別な日だと感じない……というのは、わからなくもないが。


「そういえば、セリエナ様って二百歳超えてるんだよね」


「うん。二百歳の時に私を産んだらしいから、今年で二百十二歳になる」


「すごいよね……魔法を究めて、不老不死の体になった魔女って感じする」


 よく言われるが、それについては少しばかり誤解がある。

母は年を取らず外見が変わらないだけで、不死ではない。

といっても、炎魔法を究めると死んでも生まれ変わることができるらしいので、結果的には似たようなものだが。


「アリア、セリエナ様の娘で良かった?」


「もちろん。母さんは優しいし、きれいだし……何より魔法使いとして誰よりも尊敬できる」


「そうだよね。かっこいいし美人なんだよね、セリエナ様」


 ノエルの天賦は炎ではないが、それでも母のことは尊敬しているという。

そういう魔法使いは意外といる。


「正直、アリアが羨ましいよ。将来はセリエナ様の跡継ぎになることが確定なわけだし」


「いや、そうとは限らないよ?少なくとも、母さんみたいに大魔女になれるかはわからないよ」


「きっとなれるよ。というかなってほしい。前世は辛かっただろうし、今世ではいい人生を送ってほしい」


「……あんたに言われると、なんか腹立つ」


そもそも私が前世で死んだのは、美沙(ノエル)たちのいじめが原因だ。

まあ、今更それに何か言うつもりはないが。


「それを言われると何とも言えないけど……だからこそだよ。私は不幸な人生でもいい。でもあなたには、少しでも幸せな人生を送ってほしいと思ってる」


「あー、そういうこと?まあいいけどさ」


 彼女が反省しているのは、よくわかっている。だから、もう責めたりはしない。

もちろん、前世のことを許したかと言われると何とも言えないが。


「おせっかいかもしれないけどさ、アリアが冒険者になったら、私も一緒のパーティに入りたいと思ってるの。そうして、全力でサポートをしたい。それで許されるなんて、思ってないけど……」


「ふーん……あんたが反省してるのは、もうわかってるからいいけど。まあ、その時を楽しみにしてるよ」


 ノエルは悲しげに笑い、改めて言った。


「ありがとう。本当にごめんね、三春」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。