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灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
3章 闇と炎は何を紡ぐ

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81.異形の本

 それからは何も起きず、時間だけが過ぎていった。

季節が巡り、暑さが落ち着き、木々の葉が紅く色づき始めた頃、ようやく変化が起きた。


発端は、私が図書館にいた時のこと。

その日は、直前の授業でやった「正直者の薬」という魔法薬のことについて興味が湧いたので調べていた。


 この薬はその名の通り、飲んだ相手を正直にさせる薬で、数滴を飲ませればどんな悪人でも秘密としてきたことを白状してしまう……という、いかにも魔法っぽい薬だ。


ちなみに魔法薬の担当はメジェラ先生。

相変わらず厳格な雰囲気の先生だが、実際に魔法薬の調合に成功すれば素直に褒めてくれるし、授業中に笑ったりもするので、最近はみんな若干ではあるが打ち解けつつある。


 で、私が今読んでいた本には、様々な魔法薬のことについて書かれている。

最初の目次で見た限り、その中に、正直者の薬に関する記述もあるようなので、そのページをパラパラとめくっていたわけなのだが……。


該当のページをめくった途端、本がひとりでに動いて私の顔を挟んできた。


「うわっ!」


 何とか引き剥がそうとしたが、やたらと力が強く剥がせない。

悪戦苦闘していると、周囲から他の生徒が集まってくる音が聞こえた。

そんな中、一人の生徒が私を助けてくれた。


「ハイトメリア!」


魔法により吹き飛んだ本は、壁に当たって床に落ち、動かなくなった。

振り返ると、そこにはルークがいた。


「……今のは、吹き飛ばしの魔法?」


「そうだよ。この前やっただろ?標的を吹き飛ばす、シンプルなやつだ」


 私は彼にお礼を言い、本に恐る恐る近づく。

そしてそのページをめくり、もう襲ってはこないことを確かめた。


「何だったの、今の……」


「たぶん、『異形の本』ってやつだ。特定の人物があるページを開くと、本がそいつを襲うようにする闇魔法。ただし、効果があるのは一回だけ。使い捨ての魔法だ」


「そんなのがあるんだ。でも、誰がそんな魔法を?」


「さあな。けど……少なくとも誰かがお前を狙ってることは確かだと思う。学院の本に、勝手にそんな魔法がかかるわけないからな」


 それは確かにそうだ。

でも彼が違ったのは、そこから一歩踏み込んで、犯人が誰なのか突き止めるヒントを見つけてくれたことだった。


「この本、どこにあったやつだ?おれがしまっておくよ。……ん?これって」


「どうしたの?」


ルークが掴んで私に見せてきたのは、一本の紫色の髪の毛。おそらく本に挟まっていたものだろう。

彼は、これが手がかりになるかもしれないと言って、さっき私に襲いかかってきたページを開き、そこに髪の毛を置いた。


「ここに残されたる痕跡よ、真実の鍵を我に示したまえ」


 彼が杖を向けてそう詠唱すると、髪の毛は静かに煙を立て、焼け始めた。

そしてその焼け跡が、何かの形を作り出した。


横に長い楕円の中にひし形があり、そのさらに内側に正方形が書かれた図形。

一瞬意味がわからなかったが、数秒後にピンときた。

……これ、見たことがある。カルディーンの紋章だ。


 カルディーンとは有名な杖のメーカーの一つだが、そこで作られた杖はどれも高級品であり、もっぱら金持ちが使うものだ。

学院にはこれを使っている生徒もいるが、当然ながら裕福な家系の者だけに限られ、数は決して多くない。


「この紋章が出たってことは、カルディーンの杖を使ってこの本に魔法がかけられたってことだ。そして、この髪の毛は紫色……つまり、闇の天賦を持っている者の髪の毛だ」


「カルディーンの杖か……でも、持ってる人そんなにいないよね?」


「だからこそヒントになる。カルディーンの杖を持っていて、闇の天賦を持つ者……その条件に当てはまる奴を探せばいい」


「でも、杖の持ち主はどうやって?」


「カルディーンの杖は、持ち手のところにこの紋章が金色で入ってる……偽造防止のためにな」


 ということは、金色のこの紋章が入っている杖の持ち主で、かつ闇の天賦を持つ者が犯人というわけか。

だが、そんな生徒は学院にいるだろうか?


「無論、生徒とは限らない。先生たちの中にいるかもしれない……まあ、ぼちぼち探してみるんだな」


ルークはそう言って、図書館を出ていった。


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