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灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
3章 闇と炎は何を紡ぐ

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79.追憶の万華鏡

 週末明け、私はこれまでとは違う想いを胸に登校した。

そして教室に入ってすぐ、それっぽい動きを見せずに周囲の視線と気配を探る。

……まだ、マッドは来ていないようだ。


怪しまれないように自分への視線と気配を探るのは、ある意味私の特技だ。

前世で、朝教室に来るたびに誰かに見られていないかと気にしているうちに、自衛も兼ねて身につけた技術……なのだが、こんなに悲しい特技はない。


十二年間使わずにいたのに、とうとうまた使う時が来てしまったか。この技術を。



 それからしばらくして、マッドが登校してきた。

その時は、私に注意を向けている様子は感じられなかったが、油断はしない。

今はそうでも、今後どうなるかはわからない。


悲しいことに、自分が「アリア・ベルナード」から「鈴木三春」に戻っている気がした。

人を疑い、警戒し、見られていないか?手を出してこないか?とうたぐっている……まさに、前世のいじめられっ子そのものだ。


 ただ、今度は信頼できる仲間がすぐそばにいる。

その意味では、あの時とは違う。

いざとなれば、協力してくれる者がいる……そう思うだけでも心強い。




 さて、結局この日は何もなかったのだが、私は警戒を続けた。


マッドは私に話しかけこそしてこなかったが、時折鋭い視線を一瞬だけ向けてきているのを感じた。

そのことから、やはりニールの言っていたことは嘘ではなさそうだと思った。


 それにしても、一体どういうつもりなのだろうか。

できるものなら直接聞きたいが、今はまだ余計な動きをせず、様子見をしておいた方がいい気がする。


しかしその後、何とも都合のよい魔法道具を授業で学んだ。

「追憶の万華鏡」という、その名の通り万華鏡……なのだが、筒が透明で、中には何も入っていない。


 では、なぜこれが万華鏡と呼ばれるのか?

その理由は、覗き込んで見えるものにある。

何が見えるのかというと……誰にもわからない。

というか、覗いてみるまで何が見えるかわからないのだ。


ただし、見えるものには共通の特徴があり、「過去に自分が見た世界」「過去に自分を見ていた者の世界」「過去に自分が夢見た世界」「過去に自分が理想とされていた世界」のどれか。


いずれにしても自分と関わりのある過去の景色が見えるものであり、それ故に「追憶」とついている。


 で、実際に生徒たちがこれを覗いてみることになり、私も当然覗いてみた。


そこで見えてきたのは、おそらく始業式当日の光景。

講堂に集まり、クラスごとに並び、その前に新たな先生が立って礼をする……クラスの先生の発表のシーンだ。


でも、それは当時私がいた場所とは明らかに違う場所からの視点だった。

ということは、これは私ではない誰かが見ていた光景か?


 やがて視界が動き、列の前方にいた一人の女子生徒の後ろ姿を捉えた。

それこそ、他ならぬ私の姿だった。


そして、視界の主の心の声が聞こえた。


「三春……まだ、気づいてないよな?」


確かに、私はまだ気づいていない。

今だって、この視界の主が具体的に何者であるのか、まだわかっていない。


 しかしその後、場面が切り替わって教室にいるシーンで、それははっきりした。


周囲にはたくさんの生徒。

自身と仲良く話している彼らは、その多くが紫の髪をしている。

その視界の隅に、またも私が映り込む。


この時、視界の主はまた心の中で呟いた。


「奈々たちをやったなら、次はきっと俺だ。そうだろ?そうなんだろ?三春……」


 その直後、隣にいた男子が自分の名前を呼んだ。


「ん?どうかしたか、マッド?」


「あ……いや、なんでもない」


そこで、私は万華鏡から目を離した。

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