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灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
3章 闇と炎は何を紡ぐ

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74.毒花と和解

 その後、母は学院に今回のことを報告……しなかった。

理由としては、「今回の敵がどんな存在かわからないから」ということだったが、なぜかものすごくしっくり来た。


さて、私は今日もいつも通り学院で授業を受けた。

森の件が気にならないわけではないが、だからといって授業がなくなるわけでもない。


 その中でも特筆すべきことがあったのは、二時間目の「魔法植物学」の授業。

これは読んで字のごとく、魔法植物と呼ばれる植物について学ぶ授業なのだが、この授業はなかなか楽しい。


動く植物など当たり前で、中には人の顔をした植物、金切り声のような声を出す植物などもあり、どれも個性的で飽きが来ない。


ちなみにこの授業の担当はバートリー=ベルム・クライア先生……深い闇(ディープ)について学んだ「闇に挑む者の授業」と同じ先生である。

というか、この人は元々植物の研究をしていた魔法使いだったらしい。


 で、その授業についてなのだが、今日は「ゼギタリス」という魔法植物の植え替えを行った。


これは先の四月に種まきをしていた植物で、今はニンジンのような葉っぱが出てきてつぼみをつけている。

今日はこれを、今まで植えていた鉢より大きな鉢に植え替える作業をするのだ。


「さて……では、さっそく作業を始めよう」


今日は、先生は「ベルム」……男の方の人格が出てきているようだ。

女性の体に男性の人格も入っている、という特殊な先生だが、まあこういう人もいるだろう。


「だがその前に、注意事項がある。今のこの植物には、ある特性がある。わかるかな?」


 これには私が手を挙げて発言した。


「はい。この植物は薬にもなりますが、全草が有毒なので、肌や目に直接触れさせてはいけません」


すると、先生は微妙な顔をした。


「確かにそうだ……だが、今回言いたかったのはそれではない。他にわかる者はいるか?」


 ここで、ノエルが挙手した。


「ゼギタリスは鮮やかな赤色の花を咲かせますが、この花の香りには遅効性の毒があり、嗅いでから三日以内に手足の痺れ、感覚の麻痺、発汗などの神経系の症状が現れます。場合によっては筋肉が麻痺して動けなくなることもあります」


「その通り。今回のゼギタリスはまだつぼみだから、香りにもそこまで強い毒性はないが、それでも数時間以内に軽い手足の痺れ、失神などの症状が出るだろう」


 何気に、いや普通に恐ろしい植物だ。

でもこの植物、有毒ではあるが使いようによっては薬にもなるらしいので、不思議なものである。


「そこで、だ。今回は作業前に鼻栓を配る」


先生が杖を振ると、私たちの目の前に洗濯バサミのようなものが現れた。

……まさか、これで鼻をつまめというのか。


「これでしっかりと鼻を挟み、香りを嗅がないようにすることだ。幸いこの花の香りは、口から吸う分には害はない。だからこそ、鼻栓はきっちりするように」



 先ほどの注意喚起もあり、クラスのみんながしっかりと鼻栓をした。

そして手袋をつけ、さらに保護メガネのような透明なメガネをつけて目を保護し、万全の状態で作業を行った。


植え替えの手順としては、まず新しい鉢の半分まで土を入れる。そしてゼギタリスの苗を慎重に掘り起こし、新しい鉢に入れて土を追加して埋める……これだけだ。


 一人一つの株を植え替えることになり、私はすんなり終わった。

この植物は、掘り起こしてみると根のあちこちから赤色の液体を流している。

この液体も有毒なので、草自体共々肌に触れさせてはいけないらしい。


この作業、ノエルやライドも上手くやっていたのだが、ルークが問題で、彼は周囲の土を掘る時に「根を傷つけないか」と過剰に心配していたようで、妙にゆっくりやっていた。


 先生に見つかれば注意されそうだったが、なんとそれをジェイルが助けた。

彼は横から手を伸ばし、ルークが掘っている反対側の土を掘ってあげたのだ。


それにルークは驚き、誇ったようなジェイルの顔を見て「こいつ……」という顔をしつつも微笑んで感謝した。


 数秒の短い展開ではあったが、彼らが仲直りしていることが感じ取れる瞬間だった。

それを見て、私もなんだかホッとした。

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