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灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
2章 新たな友人と共に

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59.三月の大雪

 冬休みが明けた後も、学院での生活は順調に進んでいき、気がつけば三月を迎えていた。


その三月の四日のこと。

この日は週末で学院は休みだったので、私は母と家にいた。


最近は雨が降ったり、少しずつ暖かくなってきたりして春っぽくなってきていたのだが、今日は朝から雪が降っている。

しかも、結構強めに。


 そんな中、私はリビングでストーブに当たりながら宿題をやっていた。

私の部屋にもストーブはあるのだが、今は母が出かけているので留守番も兼ねてここでやっている。


ちなみに、この世界のストーブは薪を使うタイプがメインで、冬になる前に薪をたくさん用意してそれを乾かしておく必要がある……のだが、うちは事情が違う。


何しろうちの場合、薪は乾燥魔法ですぐに乾かせるし、ストーブ自体にも母が魔法をかけているので、薪を1つ入れるだけで丸一日ずっと稼働しているのだ。


 薪を割ったりストーブの中を掃除したりは、その気になれば魔法でもできるが、母の意向で手でやっている。

母は、魔法は便利だが、それに頼ってばかりではよくないと考えているのである。


薪を割るのは言わずもがな大変な作業だし、ストーブの中を掃除するのは週に一度やっているが、こちらもなかなか大変だ。

だが、それで得られる暖かさ、そして上に乗せて暖めた牛乳の味は、何にも代えがたい。


「しかしすごい雪だな……母さん、大丈夫かな」


 そんなことを呟いていると、玄関の扉が開いて母が帰ってきた。

入ってくる前に雪をほろったのだろうが、まだ帽子に雪がついている。


「おかえりなさい」


「ただいま。……アリア、出かけるから準備して」


「えっ?」


困惑していると、母は事情を説明してくれた。


「ゼスメリア大通りで、道の除雪の人手が足りてないそうだから、応援に行こうと思って。あなたも来て、手伝って」


 ああ、そういうことか。

ゼスメリア大通りとは、その名の通りゼスメリアの近くにある大通りなのだが、民家より店が多く、どちらかというと商店街に近い。


そしてこの地域では、数年に一度は大雪となる日があり、家の周りや道路の除雪が追いつかないと悲鳴を上げる人が必ず出てくる。

ゼスメリア大通りも例外ではなく、そのたびに私たちは除雪に向かっているのだ。


「わかった!着替えしてくる!」





 しっかりと防寒着を身に着け、私は母と家を出る。

吹雪の中家の前の道をまっすぐ行くこと十五

分あまり、大通りが見えてきた。


当たり前のようにどこの店も閉まっており、代わりに建物周りの除雪に追われる人たちの姿が目についた。


道路には三十センチあまりの雪が積もっているが、ほとんど除雪されていない……みんな、自分の店の周りだけで精一杯なのだろう。

大雪の日には、よくある光景だ。


「結構積もってるね」


「ええ。みんな道路の除雪までする余裕がない、でも道路をそのままにはできない。いつもと同じよ」


 母は杖を振るい、雪の空に赤い火球を打ち上げて大きく破裂させた。

その演出といい音といい、さながら打ち上げ花火のようだが、これにはちゃんと意味がある。


この火球は、大通りの人たちに「これから道路の除雪をするので、家の中に入って」と伝える合図であり、だからこそ目立つ光と音を発するようにしているのだ。


「それじゃ、始めましょうか」


「うん!」


 私は母の横に立ち、杖を地面の方に向け、魔力を通して詠唱する。


「ロブル・ガローラ!」


たちまち積もった雪が解けて土が顔を出し、それはすぐに乾き、周囲にも止めどなく広がっていく。


これは見た目通り、地面に火をつけて急速に広がらせる魔法。

本来は儀式などで使われていた魔法らしいが、現在では部外者の侵入を防いだり、今回のように地面の積雪を解かすために使われる。


 実は、ゼスメリア大通りには炎の魔法使いがほとんどいない。

そのため魔法で除雪を行うことが難しく、大雪になるとすぐに限界が来る。


だからこそ、冬は定期的に母が大通りの様子を見にきて、必要に応じて除雪を行う。

母の魔力をもってすれば、広大な大通りの道路やその周辺の除雪など容易いことだ。


 私も手伝いに来ているのは、いわばある種の勉強である。

いずれは私がこれを行うことになるかもしれないし、定期的に大通りの人に顔を見せておいたほうがいいという意味合いもある。


除雪の様子を家の中から見ている人もいる。

今もまた、左の手前の家の二階の窓からこちらを見ている若い男性がいる。

まあ、そりゃ見たくもなるだろう……道路と家の敷地が、音を立てて炎上しているのだから。




「そろそろいいかしら」


 その言葉を聞き、母と共に魔法を切る。

後には、雪がきれいに解けて乾いた大通りの道路と、周辺の建物の敷地が残った。


「きれいになった……けど、雪が止んでくれないとまた積もるね」


「だから、今日の夕方にもまた来ましょう。降り続いていればね」


「わかった。それじゃ、花火打ち上げるね」


 今度は私が黄色い花火を打ち上げる。

これは、除雪が終わったことを知らせる花火であり、「もう出てきてもいいですよ」という合図でもある。


ちなみに、今回の魔法で出した炎は人やものは燃やさないのだが、それでも人がいるとその部分の除雪ができないことがあるので、作業前に家の外にいる人は中に入ってもらうことになっている。


大通りの人たちは、この除雪作業を無償でやってくれる母に感謝しており、買い物に来た際もいろいろと便宜を図ってくれたりしている。

他にも理由はあるが。


「さて、帰りましょうか」


「うん。宿題、まだ終わってないし」



 大通りの除雪ボランティアの作業を終え、私たちは家へ帰る。

今回の大雪はちょっと季節外れ、というか遅い時期だったが……あまり長引かないでほしい限りだ。

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