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灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
2章 新たな友人と共に

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47.復讐のための準備

 その後、私とユエは下校したふりをして、学院の裏庭の木の裏で話した。

話題は、別に合わせずとも一致した。


「リーネの夢、見た?」


私が聞くと、ユエは「うん、見た」と頷いた。


「どう思った?」


「どうって……まあ、予想通りだなって。あの女、やっぱりクズだよ」


 今となっては、それに大いに賛同する。

いや、元々奈々がクズなのは知ってはいたが。


「あの夢、大方自分の前世が幸せな人生だったから、それを見せてきたんだよね。私たちが何も知らないと思って」


「そうだと思う。だってあいつは、私たちが三春と芽依だってこと、知らないはずだから」


そう、リーネには私たちが転生者であることは話していない。

逆に、リーネが転生者であることは私たちは知らないふりをしている。


「三春と先生がいたから、自分で自分にブレーキ効かせられたけどさ……いなかったらたぶん、あいつを魔法でふっ飛ばしてた。それくらい腹が立った」


 ユエこと芽依は、杖を取り出して震えた。

その震えは、彼女の心の底から湧き上がる怒りと恨み、憎しみ……様々な感情によって、体が衝き動かされた結果だろう。


「気持ちはわかるよ。私だって──ついさっきまで、正直ちょっと揺れてたんだけど、あれ見て振り切った。やっぱりこいつ、許せないって」


「でしょ?それでさ、思ったんだけど……復讐するんなら、今回あいつが私たちにしてきたのと同じ……いや、逆のことをしてやらない?」


どういうこと?と聞くと、ユエは自分の考えをぽつぽつと説明してくれた。

それは、結局は今回学んだ魔法を使うということだったが、確かにリーネがしてきたことの逆ではあった。


そして地味に重要に思えたのが、リーネの身を直接傷つけるわけではないこと。

それをすればあいつと同じだ、というユエの意見もあったが、私としてはむしろこちらのほうがいい復讐になりそうだと感じた。


「でもそれ、ちょっと難しくない?他の人にバレたら面倒だよ」


「いいのよ。表向きは単なる偶然、というかあいつが勝手に夢を見てるだけってことにすれば、バレないと思う。それにそんなことを気にしてたら、復讐なんてできないよ」


 ユエは自信に満ちた表情で持論を展開する。

その姿に、ついこの前まで──ノエルこと美沙に復讐する前までの、私自身の姿を重ねた。


「私たちはあいつとその仲間に殺された。なら、同じようなことしても罰は当たらないよね?肉体的じゃなく、精神的にとなれば余計に」


「それは……まあ、そうね。私たちは、別にあの女を物理的に殺すわけじゃないし、むきろそうしてもいいくらいだものね」





 そうして、私たちの計画は始動した。

だが、その前に準備が必要だった。


私は家にユエを招き、自室でその準備というか練習を始めた。

どちらかが相手に「フェグジレード」をかけ、見せたい夢を思い浮かべる。


見せたい夢とは言っても、その実態はかつての私たち自身の経験、あるいはそれを元にした光景であり、楽しい夢などではない。


 最初は私が魔法を受ける側になった。

ユエの詠唱と共に眠りに落ち、彼女の思い浮かべる夢を見る。


それは前世の学校の教室の後方、自分の席にいて、ひとりぼっちで……周囲から時折ジロジロと見られ、冷たい視線を向けられている、という場面だった。


教室の前方……私が使っていた机には、少しだけ枯れ始めた花が入った花瓶が置かれている。

机には落書きがあったはずだが、それは今は消えていた。


 ……と、そこまで見たところで目が覚めた。

どうやらユエの集中力が途切れたようだが、仕方ないことだろう。

何しろ今のは、かつて彼女が見た景色そのものなのだから。


「ユエ……今のって」


「三春が死んで、一ヶ月くらい経ったころ。なんてことない毎日だったんだけど、ある時ふと気づいたの──私が、周りから冷たい目で見られてるって。そしてその後、あいつらが……」


その先は言われるまでもなかった。

私が死んで標的を失った奴らは、一ヶ月だけ大人しくした後、今度は芽依を標的にしたのだろう。

彼女は、私と同じくらい大人しい子だったから。


「この後のことは……ごめん。思い出せない。いや、思い出したくない。あまりにも辛くて……」


 ユエは声を震わせ、今にも泣き出しそうだった。


「だったらいいよ。無理に思い出せとは言わない。でも、本気で復讐したいって言うんなら……いずれは思い出さなきゃない。このやり方で行くんならね」


「……そう、だよね。この悲しみと怒り、憎しみは……絶対に消えない。なら、それを向ける相手とタイミングも、絶対に間違えちゃいけないと思う」


私は頷き、杖を出した。


「次は私の番。次は私が、あなたに夢を見せる。……大丈夫?」


「うん。辛いものだってことはわかってるし、今更三春の見た地獄を見せられたって、もう傷つかないよ」


 ユエは無理やりな作り笑いをし、私の唱えた「フェグジレード」で眠りについた。

そして見せるのは、私の思い浮かべる夢……かつて、村上奈々に振るわれた暴力の数々。

それを、断片的に切り取ったもの。


私もユエと同様、まだこの魔法自体に不慣れだから、忠実に映し出すことはできない。

だからこそ、こうして二人で見せたい夢を見せ合い、魔法を何度も使って、その技量を上げる。


 傍から見れば、子どもの魔女が二人で魔法の練習をしている普通の光景。

実際それは間違いではないが、その目的はかなり歪んでいる。


かつての人生で受けた、壮絶ないじめ。

その報復として、恐ろしい悪夢を見せる。

物理的にではなく、精神的に傷つける。

三春(アリア)芽依(ユエ)、二人の魔女の心に巣食う魔物を解き放ち、その無念を晴らすために。

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