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灼炎の転生魔女 〜異世界で始めるいじめ復讐〜  作者: 明鏡止水
4章 学院に吹く風

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103/105

103.リーネの閃き

 振り子地帯を抜けた先は、奥に魔物の徘徊するジグザグの通路だった。

こちらも道の両脇は深い谷間となっており、落ちれば終わりだ。


魔物がいるのも問題だが、それ以上の問題をリーネが見つけた。


「この通路、氷でできてる」


「え?凍ってる、じゃなくて?」


「ええ。それもわりと薄めの氷でね」


 なんと、通路が氷でできているという。

妙に火球の明かりを反射しているのは、そういうことだったのか。


試しに足を乗せてみると、当然のごとく滑った。

転びはしなかったが、通路の幅は一メートルほどなので、むしろ転んではいけないだろう。


「シルフィン、こういうところで役立つ魔法ってないの?」


「あるよ!滑らなくするやつが!……ファイマジンド!」


 シルフィンが魔法を唱え、紫の火花があたりに飛び散る。

それだけでは何の変化も感じなかったが、彼女曰くこれで氷の上でも滑らないようになったらしい。


「これで足元事情はいいけど……問題はあの魔物ね」


奥に見えるのは、高さ一メートルほどのタコのような姿をしたゼリー状の魔物。色は水色をしている。


「あれ、スライムってやつだよね?」


「そう見えるわね。ダンジョンに出てくる魔物としては最下級だって聞くけど……」


 リーネの言いたいことは何となくわかる。

スライムは体色によって属性耐性が異なり、水色は氷に耐性があることを示している。

当然のごとく弱点は炎ということになるのだが、炎魔法なんか使ったら通路の氷が溶けてしまう。


スライムはここから見える限り二匹、互いに距離を置いた場所にいる。

弱い魔物ではあるが、人間や魔法使いに対しては攻撃的なため、黙って隣を通らせてくれるなんてことはないだろう。


「リーネは氷だし、私もアリアも炎だし……これ、どうにもならなくない?」


 シルフィンの気持ちはわかるが、私はこう言った。


「いや、そんなことないと思う。これはテストだからね。きっと何か打開策があるはず」


「そう言われてもなあ……魔物にバフをかける魔法は、スピールくらいしかないし……」


「スピールって?」


「動きを遅くさせる魔法だよ。基本的なものだから、単体にしか効果がない」


「単体かあ……向こうは二匹だもんね。リーネの攻撃はあまり効かないだろうし、かといって私たちがやれば、通路の氷が……」



 頭を捻って考え続けた挙句、リーネが突然「……そうだ!」と声を上げた。


「何か思いついたの?」


「うん!すっかり忘れてたよ……あたし、氷で道を作れるんだ!」


「え、そうなの?じゃあそれを使って……」


「そうなんだけど、ちょっと違う。このままそれを使っても、あいつらに邪魔される。だからね……」




 リーネの計画を聞いて、私たちも「なるほど!」と思った。

その計画はすぐに実行に移した。


まずはシルフィンが、手前にいる方のスライムに「スピール」をかけて動きを遅くする。

それでスライムたちがこちらに気づき、向かってこようとする。


 そこで、私が「ソロファイア」を唱える。

ただし、狙いはスライムたちではない。その足元にある氷の通路だ。


火球が命中すると、その部分と周辺の氷だけが瞬時に溶けた。

それにより、スライムたちは二匹仲良く谷底へと落ちていった。


その後すぐにリーネが「ヒャダラート!」と唱え、氷の道を新しく作る。

結果として、たった今溶けた氷の通路が修復された。


「……うまくいったわね!」


「うん!リーネのおかげよ!」


 私の炎魔法、シルフィンのサポート、リーネの氷魔法……私たち全員の力を合わせた、完璧に近い作戦だった。

実際のダンジョンでもこんな立ち回りができればいいな……と思うと同時に、この作戦を思いついたリーネに、私は敬意を示した。

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