101.それぞれの役目
そのまま進んでいくと、通路を塞ぐ氷の塊、通り抜けられる壁などのギミックが出てきた。
氷の塊は私が炎で溶かし、通り抜けられる壁はシルフィンが「サームド」という魔法で見破った。
ちなみにこのサームドという魔法は、要は「見えないものを見えるようにする」という魔法で、通り抜けられる壁はその奥にある通路を見えるようになることで、その壁がフェイクであることを見破れるようになっていた。
これ以外にも、通路を進んでいると突然道が途切れ、その先に底の見えない谷間が広がっている……ということがあった。
ここでもシルフィンの「サームド」が活躍し、まっすぐに伸びる見えない通路を見えるようにしてくれた。
「しかしまあ、通るのにずいぶんと勇気がいる通路ね……」
リーネの言う通り、シルフィンのおかげで見えるようになった通路は、幅三十センチほどの一本道がまっすぐ伸びているだけで、その周りは下の見えない谷間。
結構な高さがあるし、下を見ると進めなくなりそうだ。
ただし、シルフィンの示した通路は白く光っているので見やすい。
バランスを崩さなければ、歩くのは難しくない。
そしてその通路を渡り切ると、毒の沼地ならぬ毒の水たまりが現れた。
いかにもな紫色の水たまりで、ポコポコと泡が噴き出している。
「これって……毒の水たまりだよね」
ちょうど一ヶ月ほど前、授業でやった。
ダンジョン内のギミックの一つで、足を踏み入れると徐々に体力を奪われるエリア。
特殊な靴を履くか、エンチャンターかヒーラーの魔法でそれを無効化できる。
「そうね!ようやくあたしの出番ね!」
リーネは嬉しそうに、全員に「ウォークス」という魔法をかけた。
彼女によると、これで水たまりに踏み込んでもダメージを受けないという。
恐る恐る足を踏み込んでみたが、確かに何ともない。
続いてリーネ達も踏み込んできたが、やはり何ともないようだ。
「すごい……!リーネのおかげだね!」
シルフィンに言われて、リーネは誇らしげにした。
「でもさ、シルフィンでも……エンチャンターでも、似たようなことができるよね」
「そうだけど、彼女は他のギミックにも対処しなきゃないでしょ?魔力のことを考えたら、あたしが魔法を使った方がいいじゃない」
それは確かにそうだ。
ここまでに一番魔力を消費しているのはシルフィンだし、これからもその機会があるだろう。
もっとも今回の場合、リーネが活躍したかったというのもあるのだろうが。
毒の水たまりを超えた先には、私達の身の丈ほどもある草が生い茂ったエリアがあった。
ススキのように葉が平たくて硬いタイプの草ばかりで、まともに入ったら手や顔を切るのは明らかだ。
そこで、私が前に出た。
切断魔法の「ゼルディクト」を使おうかとも思ったが、範囲が広すぎるので別の魔法にした。
「パーク・トロイド」
杖を振るい、目の前の草を一気に焼き払う。
この魔法は、広範囲の草刈りやゴミ処理のために使われている……そんな魔法があったのは驚きだが、こういう時にはありがたい。
草を全て焼き払うと、地面には焼け跡だけが残った。
根元すらも残さず全て焼き払い、平らになったので歩きやすくなった。
「おおー!いい感じじゃない!」
リーネが拍手し、「あたしには、こんなことできないな」と羨むような目で私を見てきた。
そんな目で見られると、照れてしまう。
「今、ちょうど半分くらいまで来たね。ここを越えて、その先の長い通路を抜ければゴールだよ!」
シルフィンの言葉で、モチベーションがさらに回復したような気がした。




