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笑いの形‐WARAKATA‐  作者: らい
第一部『彼らの日常は日常とは程遠い』
15/16

第十四輪:『新たなる敵はレイラー!?』

またまた大分投稿が遅れました、通常営業申し訳ございません!

今回はとっても悩まされた回となりました。果たして新たな敵とは!?

楽しんでいただけたら幸いです。


 莎子(さこ)達が暮らす家に怪しい影が潜んでいたあの日の一週間前のこと。


?「街に出るの久々ですねー。今日は何の用があってきたんですか? ナイヒト様」

ナイ「行けばわかるよ」

?「そればっかりっすね」

 賑やかな街の喧騒に包まれ、異様な空気を放ち歩く三人。

 一人目の青年は大代真(おおしろしん)。百八十センチの大きな身長のわりに線は細く、声も少年のように高い。右目をさらさらの水色の前髪で隠し、ショートカットかと思いきや襟足から足に着きそうな程長い藍色の髪を束ね揺らしている。目はくりっとしていて瞳は赤く、なんだか軍服の様な格好をしている。

 次に話したのは真が言う限り名前はナイヒトというらしい。身長は真よりも少し低く、髪は左から黄、赤、青と三色に分かれていて、横髪が少し長く、全体は短髪である。

 そして最後に話したのが神野矢鬼(かみのしき)。黒髪で少し長めのショートカットに黒い瞳。細めではあるがしっかり筋肉のある腕が、赤いタンクトップによってより強調されている。

 三人はナイヒトの外へ出ると面白いことがあるという提案に街へと来ていた。何が起こるのかと真と矢鬼はナイヒトに何度か問いかけているが、ナイヒトはにこにことするだけで決して質問に答えることはなかった。



みき「女同士二人だけでお買い物楽しいね、さっつん」

さこ「うん。最近ゆっくり出来てなかったし、みきりんと二人嬉しい」

みき「きゃー! さっつん可愛い!」



ナイ「おや?」

  ナイヒトの視線の先にはちょうど買い物に来ていた未來(みき)と莎子の姿があった。二人を見つけるや否や楽しそうな顔をしてじっくりと観察するように視線を反らさない。

真「どうしたんですか? 可愛い子でもいました?」

ナイ「ボクがそんなことを思うと?」

 にっこりと笑みで返すナイヒトに真は小さくすみませんと謝って静かになる。

矢鬼「なんかあるんすか? あいつらに」

 ナイヒトの視線の先に二人の女の子を見つけた矢鬼はあの二人がナイヒトのお目当ての何かなのかと同じように視線をそちらにやり疑問を問う。

ナイ「そうだね。次の君達の任務に関係のある子達だよ」

真「へー。監視ですか?」

ナイ「細かいことはまた話すよ。あまり見ていると気づかれてしまうかもしれないからね。そろそろ行こう」


さこ「?」

みき「さっつん? どうかした?」

 何かを感じたのかさっつんは突然立ち止まり辺りを見渡す。

さこ「なんか見られてる気がする」

みき「え!? またレイラーを狙ってるやつら?」

さこ「いや、そうじゃない。もっと大きな何か……」

 “見られている”とは言っても大きな街で沢山の人々が行き交う人混みである。何かの間違いかと思い、精神を集中させ辺りを見渡す莎子。

みき「今日はもう帰ろうか?」

 そんな莎子に心配を隠せない未來は少し残念そうな声音と表情で莎子を見た。

さこ「あれ、何も感じなくなった。気のせいだったのかも」

 しかし突然何も感じなくなり、やはり自分の勘違いなのではともう一度辺りを見渡すがやはり気配はしない。

みき「じゃあもう少し見て行ける?」

さこ「うん、大丈夫だと思う」

 莎子の回答に未來は満面の笑みになり、莎子の腕を掴み早く早くと次のお店へと促すのだった。


ナイ「やっぱりあの子達は侮れないね」

 ナイヒトはそんな二人をニヤリと遠目で見るのだった。



 ◆◆◆

 

 それから約一週間後。

 莎子誘拐事件から三日程経っていた。大分落ち着いてきたようで日常が戻りつつあった。

礼央「こら(れい)! すぐサボろうとするな!」

礼「うへぇ、礼央(れお)ママうるせぇ」

礼央「誰がママだよ!?」

さこ「確かに礼央ってちょっとお母さんぽいかも」

礼央「さっつんまでひどいよ!」

 皆はいつものように庭で修行をしていた。

紅龍「ふん、あいつらは強くなる気あるのか?」

みき「こ、紅龍(こうりゅう)。もう降りても良いかな?」

 紅龍は遠目で三人を鼻で笑いながら片手腕立て伏せをしていた。上に未來を乗せて。

一夜「あほかよ」

 一夜(いちや)は木の上で昼寝をしながらその異様な光景を横目で見ていた。

礼「大体なんで修行なんてしなきゃいけねぇんだよ? この前みたいにすとろべるが襲って来たって基本的にレイラーが普通の人間に負けるわけねぇじゃん?」

礼央「それはそうだけど、それこそリレワンは何が起こるか分からないだろ? 修行しておくにこしたことはないよ。それに強ければ強い程色々な状況に対応出来る。リレパが使えなければ腕力だって必要だよ」

 礼央は前回起きた莎子誘拐事件を思い出していた。記憶に新しい、莎子を怖がらせてしまった自分の無力さ。思い出すだけで自分を責めて苦しくなる。自分の弱さに嫌気が差す。

真「そういう心がけは大事ですねぇ。僕も見習いたいです」

矢鬼「嘘つくな。お前鍛えたりしねぇだろ」

礼「うんうん、鍛えるのって面倒くさいよなー……って、うわ!? 誰だお前ら!?」

 その二人は突然現れた。

 全員が気付いた時には庭にあるパラソルの下の椅子に腰をかけ、置いてあった紅茶を我が物顔で飲んでいた。

 その二人とは、街で莎子と未來を見ていた三人組の中の二人だった。一人は水色の髪の高身長、大代真。もう一人は黒髪赤のタンクトップ、神野矢鬼。

紅龍「貴様等、何者だ」

 気配もなく現れた二人に只者ではないと確信した紅龍は、背中に乗せていた未來を降ろし、すぐさま炎のリレパを手に浮かべる。紅龍に続いて他の者も臨戦態勢を整えた。

真「やだなぁ、血の気の多い人達ですね。自己紹介くらいさせて下さいよ」

 と言って真は自分の名を楽しそうに名乗り、そのまま矢鬼の名前も紹介した。

真「あ、あなた達のことは既に把握しているので名乗らなくても大丈夫ですよ。そうですねぇ、僕は──」

 ─カキンッ─

 言いながら何処からともなく取り出した、レイピアにそっくりな剣を莎子に真は突き出した。しかし、間一髪の所で礼央のリレパである蔦が真の剣に巻き付き、更にナイフで止めた。

真「僕は莎子さんと戦いたかったんですが、邪魔しないで貰えますか?」

礼央「さっつんには指一本触れさせない」

真「ははっ、格好良いですね。でも……」

矢鬼「オレもいるんだぜ?」

 真の後ろから礼央の死角になっていた矢鬼が氷の鎌を振りかざした。

さこ「闇の子インパクト!」

 飛び上がった矢鬼の腕と鎌に向けて莎子はリレパを放ち、闇の子達がまとわりつく。

矢鬼「何だこれ、気持ち悪いな」

 まとわりついたぷにぷにの闇の子達を矢鬼は嫌そうに引き剥がして下に捨てて行く。捨てられた闇の子達は言語なのかわからない言葉を発して蒸発して行った。

さこ「六対二で勝てると思ってんの?」

真「僕達が優勢ってことですよね」

紅龍「舐めるな。炎玉(ファイヤー・ボール)!」

 真が不敵な笑みを浮かべると同時に、紅龍の放った無数の炎の玉が真と矢鬼へと向かって行く。

真「遅すぎて話になりませんね」

 不敵な笑みのまま、余裕の表情で炎の玉を剣で斬り払う。

みき「こ、こいつら強い……」

礼「紅龍やさっつんの攻撃が効かないなんて、オレ達じゃ話にならねぇじゃん!」

 チーム内で一、二を争う莎子と紅龍の攻撃が効かず、未來と礼は怯んでしまう。

一夜「腑抜けたこと言ってんじゃねぇぞ。水の龍巻(ウォーター・ドラゴン)!」

 そんな二人の前に木の上からサッと降り、一夜はずかさずリレパを放つ。何処からともなく集まった水が龍の形へと姿を変え、真と矢鬼に襲い掛かる。

矢鬼「一人ずつじゃ無理だって言ってんだろ?」

 矢鬼は鼻で笑い、特にリレパを使う様子もなく、持っていた氷の鎌でいとも簡単に水の龍を斬り付け、消滅させる。

真「つまらないなぁ、もっと楽しませてくれると思ってたんですけどね。もう終わりにしましょう。雷網捕(エレキ・ラヴィーチ)

さこ「-っあ!?」

みき「きゃあっ!?」

 そう真が呟いた途端、莎子と未來が苦しみ、下に座り込む。目視ではほぼ見えないほどの細いぱちぱちとした糸が、二人の身体に纏わりついている。

礼央「さっつん! 二人に何をしたんだ!?」

 突如苦しみだした二人。莎子の元へとかけよるが下手に触ると何が起こるか分からない為、諸悪の根源であろう真を礼央は睨んだ。

真「そんなに怖い顔しないで下さい。僕のリレパは雷なんですけど、雷の糸を紡いだ網でお二人を縛ってるだけですよ。ちょーっと痛いかもしれませんが、慣れてくれば程よく気持ち良いはずです」

 語尾にハートをつけるように可愛らしく真は言った。しかし表情はサディストそのもので、心底苦しむ二人を楽しんで見ているようだ。

礼央「さっつん大丈夫!? 今なんとかしてあげるからね」

さこ「っあ、-っふ、れ、おっ」

  雷の網で痺れている為しっかりと喋れず、しかしこのくすぐったい様な痛みから解放されたい莎子は礼央の方を少し紅潮した顔で見つめ言葉にならない言葉を紡ぐ。

礼央「-っ」

 そんな莎子の何とも言えない表情に、礼央はなんとも言えない気持ちになった。

真「ほぉら、気持ち良くなってきたんじゃないですか? 可愛い顔してますよ?」

みき「-っあ!?」

 指先に少し雷を貯めたまま未來の顎を触ってやると、更に未來は苦しみの声を上げた。

矢鬼「相変わらず悪趣味だな。さっさと片付けてやれよ」

真「何言ってるんですか。絶対に僕達には勝てないってことを分かった上で痛めつけてあげるのが最高なんじゃないですか」

礼「ど、どうしたら良いんだ紅龍!」

紅龍「分からん! 貴様は黙っていろ!」

 苦しむ二人を助けたい男性陣だが、なす術もなく動けないでいた。一夜も今回ばかりは悔しそうに歯を食いしばっている。

真「お二人とも良い反応してくれますし、僕達の仲間になりますか? 男の比率が多くて華が足りないんですよねぇ」

矢鬼「こんな簡単に終わるようじゃやっぱりレイラーは潰すべきだ。仲間を増やす必要ないだろ」

礼「レイラー潰すって、お前らもレイラーだろ? 大体なんでレイラーがレイラーを襲う必要があるんだよ! リレワンの説明にだって、レイラー同士の戦闘なんて書いてなかっただろ!?」

矢鬼「こいつ馬鹿だな」

 矢鬼は拍子抜けといった顔で礼の方を見た。いつも基本的に無表情な矢鬼にそんな顔をさせた礼をくくっと笑って真は話し出す。

真「んー、そうですねぇ。今は特にレイラー同士のバトルとは確かに書いてありませんでした。ですが考えてください? 最大の喜びを何人ものレイラーが手に入れられると思いますか?」

礼「そ、れは……」

真「そう考えるとレイラーを今のうちに潰しておくのが最も有効だとは思います。まぁ、僕達は正直リレワンに興味はないんですけどね」

紅龍「どういうことだ?」

 リレワンに参加しているのにリレワンに興味がない。しかし、レイラーは潰すと言っている。どういうことか全く理解出来ない紅龍は話を促した。

 真は勿体つけるように、にこにことしながら皆の周りをゆっくりと歩き、「そうですねぇ」など適当な言葉を紡いで行く。段々と下を向いて話し、一周した辺りでピタッと止まり、ゆっくりと顔を上げる。


真「全てのレイラーを滅ぼし、レイラーのいない世界を作ることが僕達の目的です」


 そう真はにっこりと曇りのない笑顔で言ったのだった。


─続く─


―次回予告―

真「やっと僕達がちゃんと登場しましたね! さぁ皆さん、僕に跪いて下さい!」

矢鬼「お前といるとオレまで変態扱いされるから、大人しくしててくれ」

真「何言ってるんですか? そんな僕のことが大好きなくせに」

矢鬼「お前そのテンション疲れねぇ?」

真「矢鬼のことも縛ってあげましょうか?」

矢鬼「……次回笑形第十五輪、『芽生え始めた感情』頼むから一人にしてくれ」

真「次回も僕達大活躍! 見てくれなきゃ縛っちゃいますよー!」


2020.02.17

2024/06/08(最終加筆)

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