第十二輪:『仲間のピンチを助けるのは』
もう今年一ヶ月も終わろうとしています。とんでもなく早いです。
そういえば最近プロローグに表紙を付けました。
気になる方は是非ご覧下さい!画力は言うまでもない……
今回ちょっと本編長くなってしまったのですが、楽しんで頂けると幸いです。
礼「超いかにもな倉庫じゃん」
礼央「しーっ、礼声大きいよ。奴等に見つかったらまたこの前みたいに全員捕まっちゃうよ」
礼「わりぃわりぃ」
みき「ここがレイラーを売買している組織“さくらんぶる”の下っぱ倉庫なの?」
紅龍「あぁ、そうだ。恐らく奴等はレイラー対策組織“すとろべる”の開発した道具でリレパを封じてくるだろう、気をつけろ」
未來、礼央、礼、紅龍は莎子が捕らえられている“さくらんぶる”の倉庫へと来ていた。
そこはとても沢山の倉庫が建ち並び、恐らく工場地帯だったのであろう。今は錆び付いてその影もないが、一つの組織の下っぱが身を隠すには充分な広さである。錆び付いてはいるが、人が使っている故、少し整備されているようにも感じる。
四人は莎子が捕まっているであろう倉庫の隣の倉庫の二階へと身を隠し、様子を伺っていた。何故そこだと分かったのかというと、その倉庫だけシャッター扉の前に二人、怪しく見張りが立っていたからだ。
礼「どーでも良いけど組織の名前可愛すぎね?」
紅龍「俺が考えたのではないから知らん」
みき「礼央どう? 見えそう?」
礼央「一応中は一部確認できるけど、ここからじゃさっつんは見当たらないね」
二階にある窓から隣の倉庫を伺うが、いかんせん物が多すぎて広くは見えないようだ。
礼央「どうする? リレパを封じられるかもしれないなら、オレの透明の薬もダメだよね?」
紅龍「そうだろうな。……いや、いけるかもしれない」
みき「え? でも結局はリレパを使ってるわけだしダメなんじゃないかな?」
紅龍「俺の知る限りではリレパを封じるのは手錠型と縄のような縛る物だ。しかしそれも外から攻撃すれば壊れる。リレパを跳ね返す、というわけではないのだ。ならば捕まらなければ透明化が解除されることもない」
礼央「透明化してこっそり奴等に近づいてオレの葉花を使えば皆眠って解決ってことかな?」
礼「んだよ、せっかくやる気出して来たってのに出番なしかー?」
紅龍「上手くいけば、だ。俺が知らん発明も当然あるだろう。あまり得策とは言えんな。確実な方法でいかねば、チビ女を人質にされている以上こっちが圧倒的に不利だ」
うーんとその場にいた全員がうなって頭をかかえた。早くしなければ莎子が危ないかもしれないという焦りで一同は中々考えつかない。
しかし難しい顔をして紅龍が口を開いた。
紅龍「俺が囮になる」
礼「おい、紅龍」
紅龍「それしかないだろう。俺が囮になっている間に三人が透明化の薬を飲みチビ女を奪還するんだ。あいつらは基本的にレイラーを見くびっている阿呆どもだ。レイラーである俺が、しかも炎のレイラーの俺が騒ぎを起こせば必ず大勢が捕まえようとこちらへ来る」
礼「でも……」
紅龍「死ぬ気はない。危なくなったら逃げる」
紅龍は礼の肩に手を置き、真っ直ぐと礼を見つめた。
礼「……しゃーねーなぁ。さっさとさっつん取り返して、さっさと逃げれば良いんだもんな」
紅龍「あぁ」
紅龍と礼は拳を合わせた。
礼央「じゃあ行こうか」
微笑ましい光景に一瞬顔を緩ませた礼央だったが、すぐに真剣な表情に戻って言った。
時は同じく“さくらんぶる”下っぱ倉庫。
「威勢の良い女は嫌いじゃねぇなぁ」
さこ「やめっ、近寄るな!」
先程莎子に蹴られたスキンヘッドはニヤニヤしながら莎子へと近づく。また蹴られないように莎子の足を片手で押さえた。“すとろべる”の開発したリレパを封じる縄で縛られ、身動きが取れないのをいいことに、スキンヘッドは莎子の顎を持ち、上を向かせる。周りの男達も早くやれ、行け行けと囃し立てる。
「まぁ、悪くねー顔だな。キツそうなつり目がオレ好みだ」
さこ「はな、せっ……」
さすがの莎子でもこの状況に少し怯えているのか、声が震えている。
「気の強い女が弱ってるのたまんねーな」
ぺろりとスキンヘッドは舌舐めずりをし、莎子の着ている水色のブレザージャケットを縄があるため下ろしきれないので肩まで下ろし、チューブトップのチャックに手をかけた。
その時、
─ドーーーンッッッ─
「何の音だ!?」
大きな爆発音と共に地響きがした。少しすると扉側にいた数人が焦った表情でこちらへと走ってきた。
「突然レイラーが現れて扉をぶっぱなしやがった!」
「多分炎のレイラーだ! あいつは高く売れるぞ! 皆来い!」
さこ「!?」
その呼びかけにほとんどの男達は入り口の方へと向かって行った。莎子の周りに残ったのは数人だったが、スキンヘッドもその場に残った。“炎のレイラー”と聞いて一瞬莎子は表情を変えたが、それは誰にも見られていなかった。
「へっ、邪魔されたが、こっちはこっちで楽しもうじゃねーの」
スキンヘッドはまたさっつんに向き直り、手をゆっくりと伸ばした。
さこ「ーっ」
礼央「触るな!!!」
「かはっ!」
スキンヘッドが莎子のチューブトップのチャックを下ろそうとした瞬間、礼央の声と共にスキンヘッドの首に蔦が巻きつき、後ろに後ずさる。
「なんだ!? 何もねーところから蔦が出てきやがった!」
礼央「あ……」
みき「ちょっと礼央! 何してんの!」
礼「さっつんがあんな格好させられて頭に血上ったんだろうなー」
バレないように礼央の眠らせるリレパ葉花を使う作戦だったにも関わらず、勝手に行動に出た礼央を影から見ていた未來と礼は小声で呆れていた。
「レイラーか! なんか使って見えてねーんだ! おい、あれを使え!」
残っている一人が声をかけ、数人その場からいなくなる。
礼「どうする? 見えてねーわけだから戦ってもこっちに勝ち目があると思うけど」
みき「そうだね、何かされる前にこっちから動いて──」
─ぼふんっ─
そう言って二人が行動を起こそうとした瞬間、何やら鈍く大きな発砲音と共に辺りが煙に包まれた。
みき「けほっけほっ。何これ?」
「おい! あそこにもいるぞ!」
すぐに煙は晴れ、その瞬間に男達が未來と礼の姿まで見つける。
礼「うわ!? なんでバレた!?」
「この煙はリレパを封じる粉を混ぜてあんだよ。それをかぶったお前らは完全にリレパを封じられたってこった!」
未來と礼を四人の男達がニヤニヤしながら囲む。
みき「そ、そんな! じゃあ今誰もリレパ使えないってこと!?」
礼央「葉花!」
礼央は技名を唱えたが、何も起こらない。
「そーゆーこった! 離しやがれ!」
スキンヘッドは先程まで首に巻き付いていた蔦がなくなったので、素早く礼央の方を向き腕を掴んで床に叩きつけた。
礼央「ぐっ!」
さこ「礼央!」
礼央「ーって、てて。大、丈夫だよ」
「お楽しみの邪魔しやがって、分かってんだろうな?」
さこ「っ!?」
礼央「莎子!!!」
スキンヘッドは柱にくくり付けられている縄だけをナイフで切り、莎子を無理矢理立たせ、首に腕を回してナイフを向けた。
「大人しくしてろよ」
◆◆◆
紅龍「炎上!」
「ぐあぁ!」
「あちぃ!」
男たちを炎の柱が取り囲む。
「あいつ強すぎる! 誰でも良いからリレパ封じる縄でも手錠でもはめろよ!」
「それが出来てたら苦労はしてねーだろ!」
外ではリレパを封じる粉は散ってしまうので使えず、二十人程駆けつけた男達は苦戦して半分程になっていた。
紅龍「ふん、この人数で俺一人に勝てんとは、貴様らそれでも男なのか?」
紅龍は鼻で笑い余裕を見せた。
だが、一度に多くを相手にしているため、集中力もリレパの消耗も尋常ではなく、段々と疲れてきていた。恐らくあと半数を倒す程の力は残っていないだろう。
紅龍「……(まずいな。最初に大きな爆発を起こすために使ったリレパが予想以上に身体にきている。これは帰ったら筋トレ倍増だな)」
心の中で紅龍はははっと笑った。
「この数で押せばあいつだって疲れるはずだ! リレパ使えるってだけでオレたち人間と体力は変わらねーはず」
「そうだ! 全員で行くぞ!」
紅龍「俺を舐めて貰っては困るな。よし、良いだろう。全員でかかって──」
余裕の笑みで相手をしようとした瞬間、紅龍の目の前がくらみ、膝をついてしまった。
紅龍「ーっ、いかん、目眩が……」
「おい! あいつ限界だぞ! 今だ行け!」
ここぞとばかりに男達は紅龍に一斉攻撃を仕掛けに行く。
??「水の龍巻!!!」
しかし間一髪の所で、何処からともなく声が響き、龍の形をした水が周りの男達を飲み込んでいった。見事にそこに残っていた十人程の男達は全員床に次々と倒れていった。
紅龍「……この技」
紅龍は後ろを振り返った。するとそこには
一夜「……」
不服そうな顔をした一夜が立っていた。
一夜「だっせーな。一人で行こうとしてたクセに苦戦してんじゃねーか」
紅龍「貴様に助けられるとはな」
一夜「た、助けたわけじゃねぇ。あいつに馬鹿にされたままなのは腹が立ったからついてきただけだ」
けっとそっぽを向きながら一夜は辺りを見回した。
一夜「他の奴等は?」
紅龍「中だ。本来ならもう俺と合流していても遅くない時間だ。恐らく中で何かが起こっているのだろう……。俺はもうリレパを使える体力が残っていない。力を貸してほしい」
一夜「はぁ? お前に貸すわけねーだろ」
紅龍「……わかっている、俺のためではない。中にはデカ女もいるし、他の奴等もいる。俺が憎いのは分かるが、あいつらを助けてくれ」
紅龍はとても真剣な眼差しで一夜を見据えた。
一夜「……まぁ、あいつを見返すために来たしな。別にお前の頼みじゃなくても行くんだからな!」
紅龍「あぁ、助かる。こっちだ」
◆◆◆
「さぁ、目の前でこいつがいたぶられる姿をお前はそこで見てるんだな」
スキンヘッドはナイフとは別の方の手で莎子の頬を撫でた。
礼央「触るな!!!」
「おっとー? 動くなっつったよな? 良いんだぜ? オレはこいつを傷つけても」
そう厭らしい表情で言ったスキンヘッドは莎子のチューブトップにナイフで少し切れ目を入れた。
さこ「!?」
小さな谷間が少しだけ露になる。
「ちょーっと足りねぇけど、まぁこれはこれで」
礼央「ーっ……」
「あっちはあっちで楽しそうにしてんなぁ」
「おいおい見ろよこの女。すげー身体だ!」
男達は未來の豊満な身体に気付くと、とても高揚して厭らしい手付きをしながら少しずつ詰め寄る。
礼「お前らキモすぎ。モテねーだろ?」
礼が未來を隠すように前に出る。
みき「礼……」
礼「リレパ使えないなら流石にオレのが力あるだろ? オレの後ろいて。あ、今の超格好良くね?」
みき「……そう、だね」
未來は感動しかけていたが、最後の余計な一言で一気にやはり礼は礼だなと冷静に思ったのだった。
礼「つーかお前らなんでさっつんがレイラーだって分かったんだ?」
そういえばと思い出したように礼は男達に問いただした。
「あ? そんなの“すとろべる”が開発したレイラーにだけ反応する“ミツケルくん三十二号”でわかんだよ!」
男は自慢げに腕についた金属製の銀色の腕輪を礼に見せる。そしてご丁寧にもその腕輪は相手に触れなければ分からないことまで教えてくれた。どうやら公園で偶然莎子とぶつかってしまい、その時にレイラーだとバレたそうだ。
「お、おい! 勝手に情報流すなよ!」
礼「なんだよ、やっぱり紅龍のせいじゃねーじゃん」
礼はははっと笑いながらほっと安堵のため息をついた。紅龍のせいだろうと、そうでなかろうと関係がないのだが、これを聞けば紅龍も少しは安心してくれるだろうと。
「お、おい。こいつ細いし、見るからに体力なさそうじゃね?」
「リレパ使えなきゃただのガキだ! やっちまえ!」
ほっとしたのも束の間、四人は礼へと一斉に殴りかかる。
礼「うわー!? 四人一気はずりぃって!」
普段から逃げることを考えている礼は避けるのだけは得意なようで、ひょいひょいと男達の拳をかわしていった。
しかし、
みき「きゃあ!?」
一人の男が礼を抜け、未來を捕まえた。
礼「みきりん! お前女の子狙うなんて卑怯だぞ! モテねーだろ!?」
「さっきからモテねーモテねーうるせんだよ! ははっ、こりゃ上物だな」
男は未來の身体に触ろうとした。
一夜「水雨!」
「ぐあっ!」
その声と共に後方から素早い何かの粒が飛び、未來を捕まえていた男の首に当たり、その場へと倒れ込んだ。男の首には水滴が付いていた。
みき「水……」
水の技にすぐにピンときた未來は思いっきり振り向くと先にはやはり一夜がいた。未來は潤んだ瞳で一夜を見つめた。
一夜「……お、俺の水雨はリレパを小さな水粒に凝縮して口から放つ。当たり所と力加減次第では気絶させられることが出来る」
誰も聞いていないのに一夜は照れくさそうに技の解説を始めた。
みき「もう! 遅い!」
ぽこっと未來は軽く一夜の胸辺りをパンチした。
紅龍「どうなっている? 作戦はどうした?」
礼「いやー、それがちょーっとあってなぁ。オレ達変な粉かけられてリレパ使えなくなっちゃっててさー」
一夜「粉? あいつらもか?」
一夜の指を指す方向には莎子と礼央。
みき「そうだよ! さっつん達も早く助けなきゃ!」
「ど、どうする?」
「三人になっちまったしな」
「さっきの粉はあれで最後だぜ!?」
取り囲んでいた男達は人数が増えたことと、リレパを使える一夜が現れたことによって怯んでいた。
一夜「とりあえず粉が取れれば良いんだな? だったら」
一夜は倉庫の天井一辺に水の絨毯の様に張り巡らせた。そして指をパチンとならす。
─ザッパーン─
そうすると水は雨というよりか滝の様に一気に皆へ降り注いだ。
みき「ちょ、ちょっと一夜ー! びちゃびちゃだよー!」
礼「せっかくセットした髪がぁああ!」
一夜「うるせぇ、つべこべ言うな。これで使えるだろ?」
試しに未來はリレパを発動させ、自身に風を纏い、一気に乾かした。
みき「あ、本当だ」
礼「うわ、何それ便利。後でオレにもやって」
全身ずぶ濡れになった礼は羨ましそうに未來を見た。
礼「つーかこれでリレパ使えるわけだし、お前ら分かってるよな?」
みき「覚悟してね?」
礼と未來はにっこりと男達三人を見た。
「ひ、ひいいいいい!!?」
「な、なんだこの水!? どっから降って来やがった!?」
スキンヘッドからは一夜達が後ろの為見えていなかった様で、突然降って来た水に驚いた。
礼央「後で一夜にお礼言わなきゃね。さて」
礼央は両手の指をポキポキとならし、笑顔でスキンヘッドを見た。勿論全身ずぶ濡れ。水も滴る良いイケメンである。
「こ、こいつが人質だってこと忘れんなよ!」
スキンヘッドは莎子へとナイフをかざす。
礼央「リレパが使えれば関係ないよ」
瞬間、素早く蔦が伸び、莎子を捕らえていた方の男の腕に蔦がまとわりついて力強く引っ張った。支えられていた莎子は下に座り込む。次にもう片方の腕も蔦が捕らえる。
「は、離せ!」
礼央「お前だけは絶対に許さない!」
蔦に引っ張られるような状態で蔦を縮めながら、素早い勢いで男へと礼央は近づき、スキンヘッドの顔を一発殴った。その場へと倒れ込んだスキンヘッドは呻く。
礼央「オレはあまり力はないけど、蔦に勢いよく引っ張られる力で殴れば流石に効くよね?」
そして男の首に蔦を巻き付ける。
「ぐっ! やめ、やめてくれ! オレたちが悪かった!」
礼央は一先ず着ていた上着を脱ぎ、莎子へとかけてからスキンヘッドへと向き直る。
礼央「誰に手を出したかわかってるよね?」
「ひぃっ!?」
礼央は笑顔でスキンヘッドを見たが、スキンヘッドからしたらその笑顔は怖く、とても笑顔とは言い難いものだった。
そこでスキンヘッドはあまりの怖さに気を失ってしまった。
礼央「おやすみ」
さこ「……」
そんな礼央を間近で見ていた莎子は、礼央を怒らせない様にしようと強く思ったのだった。
礼央「さっつん! 大丈夫!?」
すぐにいつも通りになった礼央は、とても心配そうな顔で莎子へと駆け寄った。転がっていたスキンヘッドのナイフを取り、縄を切っていく。
さこ「大丈夫、ありがと……」
やはり怖かったのか莎子は少し震えていた。そんな莎子に礼央は気づいた。
礼央「さっつん……」
さこ「れ、礼央?」
無意識だった。礼央は震える莎子を抱き締めていた。莎子は恥ずかしさから、離れようと一瞬戸惑ったが、礼央の腕の中はとても安心して、そのままゆっくりと腕を伸ばし抱き締め返す。
礼央「ごめんね、オレが取り乱したから余計怖い思いさせて」
さこ「礼央のせいじゃない。礼央が来てくれなかったらどうなってたか分からないもん。ありがと」
礼央「上着濡れててごめんね」
さこ「ううん。全身びちゃびちゃで冷たいね」
ふふっと礼央の腕の中で莎子は笑った。笑える余裕が出てきたようだ。
礼央「そう、だね……って、うわぁ!?」
礼央はどうやら自分が何をしていたかようやく気づいたようで、真っ赤になりながら後ろに後ずさる。
礼央「ご、ごめん! オレ何して!?」
真っ赤な顔を隠すように腕で口もとを隠しながら恥ずかしそうに莎子を見た。
さこ「安心させてくれたんでしょ? ありがと」
莎子も少し顔を赤くしながらそっぽを向いた。
◆◆◆
あれから風邪を引かないようにと皆未來に風のリレパを使ってもらい、一瞬で全身を乾かして貰った。そしてほとんどリレパを使っていない莎子が大きな闇の子ちゃんを召喚し、皆は家へと戻ってきた。外はすっかり真っ暗になっていた。
礼「かー!!! つっかれたーーー!!!」
帰って来て早々にソファーにダイブして寝転ぶ礼。
珍しく一夜も談話室に残り、全員が談話室で寛ぎ出す。
礼「あ、そーだ、紅龍。やっぱお前のせいじゃなかったぜ?」
紅龍「何がだ?」
礼「レイラーだってバレたの! “すとろべる”が開発した触れることでレイラーを見抜くことが出来る腕輪でバレたらしいぜ?」
紅龍「そ、そうか。だがしかし、俺といることで狙われやすいことには代わりない」
礼「まーだそんなこと言ってんのかよ?」
礼は紅龍の首を腕で締め上げる。
みき「そうだよ、もう仲間でしょ? 皆で助け合うの! ね、一夜?」
一夜「……」
一夜は無言で紅龍を睨み付けてちっと舌打ちをしてそっぽを向いた。そんな一夜に未來が軽くチョップをくらわせたのは言うまでもない。
さこ「皆ごめん。あたしが捕まったから」
礼央「今回は誰も悪くないよ。レイラーを狙う組織なんているのが悪い。ていうか戦犯オレだし……」
礼「確かに礼央が取り乱すとは思わなかったなー」
礼央「だ、だってさっつんがあんな格好させられて……ーっ!」
礼央は思い出し、赤くなる。
礼「あ、厭らしいこと考えてるだろ?」
礼央「考えてない! 礼うるさい!」
今度は礼央が礼の首に腕を回した。
礼「いででででで! ギブギブ! 死ぬ!」
さこ「とにかくあのリレパを封じられる発明は厄介だし、その触れたらバレる腕輪のせいで迂闊に外に出られないってことだよね? 対策考えなきゃ」
礼「確かになー。まぁ今日は疲れたし、また明日から考えようぜ?」
みき「それもそうだね。今日は早くお風呂入って寝よう。さっつん一緒に入ろ?」
さこ「ん、行く」
みき「お先~」
未來とさっつ莎子はお風呂場へと消えて行った。
礼央「さて、オレも寝る準備しとこうかな」
一夜「明日当番だし俺は先に寝る」
礼央と一夜は部屋へと消えて行き、談話室には礼と紅龍だけが残された。
礼「オレ今日頑張ったし、ちょっとくらい覗いても怒られねーかな?」
紅龍「やめておけ」
礼「へいへい、分かってますよ~」
紅龍に止められ、少しむすっとした礼だったがふらふらとキッチンへと向かい冷蔵庫からジュースを取り出し、ぷはーっと美味しそうに飲んだ。
紅龍「……礼」
礼「ん? 何?」
紅龍はキッチンへと背を向けている。しかし、ハッキリと聞こえる声で言った。
紅龍「ありがとう」
─ガタンッ─
紅龍「な、なんだ!?」
礼「いってー! いや、紅龍がそんなちゃんとお礼言うの予想外すぎてビックリして転んだわ!」
突然の音に紅龍は驚きキッチンの方へと振り向くと礼はおらず、代わりにキッチン台へと伸びる礼の手だけが見えた。
紅龍「き、貴様……」
礼「いやー、マジビビったー」
へらへら笑いながら礼はおしりをおさえ立ち上がる。
紅龍「覚悟は良いな?」
礼「へ? 何? 何で怒ってんの!?」
紅龍「今すぐあの世へ送ってやる!!!」
礼「ぎゃああぁあああああ!!!!!」
─続く─
2019,01,25
2024/06/08(最終加筆)
次回予告
みき「次回はまた日常回に戻るらしいけど、何やら礼央がやらかしちゃうみたいだよ?」
礼央「え!? オレ!?」
みき「ふふふー。意外と礼央ってここまで出番っていう出番ないの知ってる?」
礼央「印象薄いってこと!?」
みき「ははっ! 次回笑形第十三輪!」
礼央「『恋愛事情がちょっとおかしい』オレどうなっちゃうの!?」
みき「次回もよろしく~」




