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新訳 東方紅魔記  作者: グレ
紅魔記・狩(咲夜外伝)
19/29

愛か偽りか

『すまぬ・・・私はそれしか言えぬ』

『私は、お前にならその手で殺されても良い。・・・日光に焼かれろと言うなら喜んで焼かれよう』


『・・・』


『・・その代わり・・今の話を、信じてほしい』


『・・貴方?本気?』


『・・・ああ、本気だ。それに、お前は父に良く似ている。その気質。素質。まるで昔の十六夜の様だ。そんなお前の願いなら喜んで受けよう』


『・・・日光でなんて真っ平ごめんだわ。貴方は私がこの手で殺すのだから』


『・・・では、どうする?お前の銀のナイフで私は倒せぬ』


『・・・』


沈黙が続く中、主が口を開いた。


『・・・私の正室にならないか?』


ッ・・・!?


『なにを言ってるの!?なるわけないでしょ!!』


何を言いだすかと思えば、まさかの求婚だった。そんなもの、姉が受けるはずはなかった。主は父の仇なのだ。しかも吸血鬼。万が一にも可能性はない。しかし、主は


『・・・私は、お前の気質に惚れたのだ。今のやりとりでお前がどういう奴かも分かった。・・・お前の父と瓜二つだ』

『あ、いや、別にお前の父が好きというわけではないぞ?勿論、罪滅ぼし等でもない。純粋に惚れてしまったのだ』

『十六夜の為にも幸せにしてやると約束する。間違っても嘘などではない!』


『・・・お断わりよ!』


そこには吸血鬼と吸血鬼狩人でもなく、仇と仇討ちでもなく、男と女のやりとりが繰り返されていた。

頼みこむ男。渋る女。そんな感じだ。私は、その光景をただ唖然と見ていた。


その時


ガバッ


・・・ッ!!?


何者かに私は捕まった。


『主様!今のうちです!』


(くっ・・)


私は不覚にも、忍び寄る兵に気付かず、捕まってしまった。


続々と、集まる兵達。


『おのれ!卑怯な!騙していたのね!?』


主に対して、怒りを露にする姉。


すると主が小声で言った。


『これは、私の指示ではない!・・しかし、伯爵ともなると、威厳が必要。このままでは示しがつかぬ。二人共に殺さなければ、スカーレット家が内部崩壊しかねん!だが、私は、おまえを殺したくない!信じてくれ!』


『じゃあ、どうすれば・・・』


『・・・・おまえが妻になるのならば、ここで婚姻を結び、その様を兵に見せれば、弟子のほうも助けることが出来るだろう』


『ッ・・・!くっ・・・・・・本当にこれはあなたの策ではないのよね?』


『高貴な吸血鬼が、このような姑息なことするわけがなかろう?断じて違う!』


・・・・・。


『〜〜〜あー!もう!わかったわよ!その代わり、弟子は必ず助けなさいよ!?そしていつか必ずこの手で貴方を殺すからね!』


主は、小さく頭を下げた。


『いつでも寝首を掻くがよい。・・こんな形ですまん。』

『・・・・・・兵達よ!よく聞け!私はこれより、この女を我が正室に迎える!』


そう言い、姉の首筋を噛み、血を吸った。

そして吸い終わると兵士達に


『無礼者!そこにいるのは、我が妻の従者ぞ!?離れぬか!』


私は自由になった。

・・・しかし姉はこれで主の眷属であり、妻でもある下位吸血鬼になった・・吸血鬼狩人の血筋のおかげか、効果は薄く、2割吸血鬼8割人間といった感じだった。

そして又、私も眷属になり、名前を奪われ従者として生活することになった。


・・・・そして。


すぐにレミリア様が生まれ。私はレミリア様の教育係になった。


姉の子・・・。


目に入れても痛くないとは正にこのことだと思った。姉も主の優しさを受けて、仇討ちの事など忘れていた。

時折、父の昔話を聞いたり、主の言った通り、私達は幸せだった。


・・・そんな時、主が他種族への威厳の為に純血の妃と娘がいると言い、とある吸血鬼が側室スカーレット妃となり、暫らくしてフラン様が生まれた。


・・・・この辺りから、主は変わってきた。



そして、私はスカーレット姉妹の幽閉の話を聞いた。勿論、その事を姉に聞いてみた。


『姉さん!なぜですか!?』


姉は、慌てて口を塞ぎ、赤い瓶を渡してきた。


『まずは、これを飲みなさい』


早く返事が欲しかった私は、それをすぐに飲み干した。


『まず、大きな声で姉さんと言うのをやめなさい。これは内緒のはず・・・』


と、こちらを睨んできた。

・・・が、私はそんなことよりもレミリア様のことが心配でならなかった。


『あの人は、もう昔のあの人じゃないわ。・・・私がなにを言っても駄目だった。でも、最後まで私は反対するわ。だから、貴女も協力してちょうだい?』


当たり前である。そのつもりで進言したのだから。


私は、強く頷いた。


『念の為、これを貴女に託すわ』


姉は懐中時計を取り出して、渡してきた。

これは十六夜家だけが扱える能力・・・。


私は姉の覚悟が分かった。この能力は十六夜家の一人しか使えない。使用者が死ぬまで次の世代は使えないのだ。


・・・姉は死ぬ気だ。

・・・そうはさせない。

姉は死なせない。

レミリア様も救い出す。

私は心に決めた。


それから暫らくして・・。


・・・姉の死を知った。

私のやることは決まった。

一つ目の誓いは守れなかった。

だが、二つ目の誓いは必ず守る。そして真相を突き止め、仇を討つ。

この2つを成す事に命を賭けると決め。一人、内密に捜査をした。


・・・・そして、(十六夜咲夜)この運命の名を[再び]耳にするときがやってくる。

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