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19歳男性の場合 part6

「なんでもう少し早く起こしてくれなかったの?」


あれから、自分も寝てしまい、時刻は10時半。もともと9時には出発したかったみたいで、しおりは急いで外に行くための準備をしている。洗面台で長く綺麗な髪を解いている姿に見惚れながら、自分は隣で歯を磨いている。


「あまり見ないでよ。恥ずかしい。」


少し顔を赤く染めるしおりに、


「いいじゃないか。見る分には減るものでもないから。」


「時間は刻一刻と減っていってるの。早く準備して。」


「わかったよ。」


自分は口を濯いで、寝癖を直す。一つだけやたら頑固な寝癖があり、それに苦戦していると隣でヘアアイロンをかけていたしおりに髪を触られた。


「これだといくら解かしてもなおらないからやってあげる。」


そう言ってしおりは自分の後ろに回ってヘアアイロンで自分の髪を整え出す。


「せっかく綺麗な髪の毛なんだから、しっかり整えなきゃもったいないでしょ。ほら動かないで。危ないから。」


ほんの二撫でくらいで、自分の寝癖は治り、自分は服以外は準備万端。しおりにありがとうを伝えて、クローゼットの中を見た。そこには服に無頓着な自分では考えられない量の服があった。その服の前で自分が戸惑っていると、支度を終えたしおりがきた。


「いいよ。私が選んであげるから。」


しおりはクローゼットの中から次々と服を出していき、それを自分に合わせながら、これ、これ、これっと自分に着るように指示し、自分はそれに従った。自分で言うのもなんだがよく似合っていると思う。服のセンスはしおりには敵わないと思った。


しおりも準備を終えるといよいよ出発というときに、しおりに呼び止められた。


「これ、忘れてるよ?」


しおりの手には二つのリングが。


「久々のデートなんだから、忘れないでよね。」


しおりは片方を自らの左手の薬指にはめて、もう片方を自分の左薬指にはめた。


「行こっか。旦那さん。」


ここにきてから、関係性がわかっていなかったが、どうやら結婚しているらしい。しおりは自分に手を差し伸べると、自分はその手を握り、扉の外に出た。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませていただきました。 面白かったです。 自分だったらどんな1日になるのかな? 後、文豪や著名人もみずから命をたっている方々だったらどうなのかなぁ?とか思ってしまいました。
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