19歳男性の場合 part5
激しい光の中、結果のわかってるはずなのに心の中は穏やかだった。恐怖もない。何かに満足してしまっている自分がいた。
光の中から目を覚ますと、今朝見たばかりの場所だった。自分が下界にいた時からもう数百年経ってる。生きていた頃の記憶はもうないに等しかった。むしろ、生きていた頃よりも、天界に来てからの方が自分を後悔させるにはいい材料になっている。
自分は体を起こすと、隣に違和感があった。人一人分山ができていて、呼吸しているのかゆっくり掛け布団が上下していた。一人暮らしのはずの自分の横に人がいることはまずありえない。誰がいるのかある程度予想がついていたが、ゆっくりと掛け布団を捲った。そこには、幸せそうに寝ているしおりの顔があった。
「やっぱりな。」
自然と笑顔が溢れた。隣にいるのがしおりで少し嬉しかった。自分はしおりの顔を確認すると、横にあるデジタル型の目覚まし時計で日にちを確認してカレンダーに書いてある予定を見た。カレンダーに予定を書いたことがないのに、何も疑問を持たないで自然に確認していた。これが、この世界の自分の習慣なのかもしれない。カレンダーにはデートという文字が書いてある。自分がいるこの世界では、しおりとは恋人関係かもしれない。日付も、少しだけ先の未来を示していた。もしかしたら、自分の裁判が行われなかった場合の未来の世界なのかもしれない。
「おはよう。起きるの早かったね。」
掛け布団が捲られたことで、しおりが起きてしまったみたいだ。
「おはよう。眠かったらもう少し寝てていいんだよ?」
自分はしおりの頭に手を伸ばす。整えられてない寝癖のついた柔らかい髪を解いた。しおりはその手をつかんで、自分の頬に持っていった。
「落ち着く。」
頬から感じる暖かさも本物だった。一瞬、ここが違う世界だと忘れそうになる程、リアルで心の中が満たされる感じがした。少し、難しそうな顔を見せた自分にしおりは手を引き、体をくっつけた。
「いい匂い。暖かくて、好きな匂い。」
しおりは自分の胸に顔をつけて、深く息を吸った。
「その発言変態みたいだぞ。」
「いいもん。本当のことだし。」
いつの間にか抱きつかれていて、身動きが取れなくなっていた自分に、上目遣いで頬を膨らませえた。
「動けないんだけど。」
「もう少しこのままがいい。」
仕方ないので、しおりが満足するまでそのままの体制でいた。しばらくすると、しおりから寝息が聞こえた。その顔を見ながら、今度は起きないように優しく、頬を撫でた。




