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19歳男性の場合 part4

どのくらい時間が経っただろうか。永遠にこの時間が続いて欲しかった。離れたくなかった。でも、そういうわけにはいかなくて。人生の中で最後の愛しい時間。何百年も味わうことのできなかった、人間としての幸せの時間。自分がこの世に残りたいと感じる時間。この時間に別れを告げなきゃいけない。自分は覚悟を持って、しおりから離れた。


「ありがと。じゃあ、行こう。お願いできるかな?」


「わかりました。」


自分はしおりの手を握りながら、ゆっくりと足を進めた。見慣れた装置の前に着くと、いつもとは違った感じがする。この世との別れがわかっている状態で入るのは怖かった。自分はゆっくりと装置に腰をかけた後に寝転がる。


「じゃあ、また。最後の時はきてくれるだろ?」


「もちろんです。」


しおりは装置のボタンを押そうとしているが指が震えていてなかなか照準が合わない。自分はしおりのもう片方の手を握って、少しだけ勇気をあげる。


「頼む。」


しおりの手はボタンをゆっくり押す。自分は手を離して、お腹の上で手を合わせた。


「伯斗さん。あなたに1日だけ差し上げます。自殺したことを悔いてください。」


「わかった。」


白く激しい光に包まれた。自分の人生の最後の時間が始まった。


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