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26歳男性の場合 part22

『勉さんへ


あなたが自殺したと聞いて、戸惑いました。


あなたが亡くなってしまったという悲しさと、創を置いてきたという怒りで心の中がいっぱいです。


裁判官の方に手紙なら渡すことができると聞いたので、あなたに送ります。


私の本音は、創と一緒に生きて欲しかった。


私の分も創のことを見守って欲しかった。


私を失って悲しいのはわかります。


でも、創のことは守ってほしかった。


あの子はまだ幼いです。


そんな子が両親共亡くしたらあの子が抱えてしまう悲しみは計り知れません。


どうして?という感情がどうしても心の中から消えてはくれませんでした。


私は今怒ってます。


あってあなたの頭をぶん殴ってやりたいです。


その後に、強く抱きしめてあげたいです。


そうして、私はおそらくあなたの肩の上で「ごめん」というでしょう。


でもそれは叶わない願いです。


あなたと過ごした時間は私の人生で1番幸せな時間でした。


ごめんね。


こんなに早くお別れを言わなくちゃいけなくて。


もっと一緒にいたかった。


創の成長を一緒に見守りたかった。


あなたの記憶がなくなるのは怖いです。


自分が1番愛した人の記憶と1番幸せだった時の記憶ががなくなるわけですから。


判決の内容は聞きました。


あとは、その世界の創との時間を大切にしてください。


ありがと。


最愛の人。


佐久間さやか』


手紙を読み終えた自分は涙と嗚咽が止まらなかった。誰もいない、真っ暗な水族館の中で自分の声だけがこだました。


自分は最後の時間を創と過ごすために水族館の入り口まで全力で走った。いつ終わってしまうかわからない世界の中、自分たちの愛の結晶を見守るために。「ごめんね」を言うために。


入り口を開けると、すやすやと眠る創の姿があった。今すぐにでも抱きしめたいが、起こしてしまってはいけない。自分は創の隣で手を握り「ごめんね」と語りかけた。そうすると創の目から涙が溢れてきた。怖い夢でも見ているのだろうか。自分はそのまま隣で横になって。、起こさないように優しく創のことを抱きしめた。何度も頭を撫でて、何度も「ごめんね」といい、何度も頬を伝う涙を吹いた。


そこから、約1時間ほどだっただろうか少しずつ、気が遠くなる気がした。そろそろ時間なのかもしれない。


「もっと、創のこと見守ってやりたかった。スイミングスクールにも一緒に行きたかった。もっといろんな景色を一緒に見たかった。大きくなって、反抗期が来て、彼女を連れてきて、結婚して。そんな姿を見たかった。もうそれは叶うことはない。僕たちのところに生まれてきてくれてありがとう。もう、会うことはできないし、思い出すこともできないけど、あなたの幸せだけを願ってます。自分勝手な親でごめんね。」


ゆっくりと消えていった世界は涙で溢れていた。


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