26歳男性の場合 part12
入場料を払って、中に入る。中に入るとすぐに大きな水槽の中に色とりどりの綺麗な魚が泳いでいる。創は目を輝かせながら、その光景を見ている。
「パパ。もっと見たいから肩車して。」
自分は創の要望に答えて、創を肩車する。自分の頭をしっかり抱えて、創の身長からはおそらく見えていなかったであろう水槽の上の方までじっくり見渡す。自分たちはそのまま移動する。家族連れが多い週末。その光景を自分はどうしても、目で追ってしまう。自分がすこしぼーっとしながら歩いていると急に髪の毛を引っ張られる。
「パパ。あっちみたいからおろして。」
創が行きたがっていたのは水族館によくある手で触ることのできる水槽だ。そこにはたくさんの子供が集まっている。自分は創をおろす。すると、創は走ってその水槽に向かった。その様子を自分と母さんが見守る。
「あの子、どんな大人になるのかね?」
「わからないよ。いろんなことに興味を持てるから可能性はいくらでもあると思う。」
「幼い頃のあんたによく似ているよ。興味を持ったらそれしか見えなくなって、周りが見えなくなって怪我をして我慢するけど結果的に泣く。いつも心労が絶えなかったのを思い出すねぇ。」
「いつの話してるんだよ。」
「最近そう感じることが多いのよ。さやかさんが亡くなって余計にあなたが幼い頃に戻っているみたいでね。我慢しているのだろうけど見え見えだよ。あの子もきっと気づいてる。さやかさんに似て優しい子だから。」
自分は創の近くによる。すると笑顔で大きめのヒトデを持ち自分に笑顔で語りかけてくれる。自分は精一杯の笑顔を作って創の頭を撫でた。




