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ラブリーキスキス・デスアンドチョコレート  作者: 岩崎シネマ
1章「これを絶望と言わずに何と言うんだ!」
14/20

#1「幸せはシチューの味から」

【6月12日(木) 午後12時10分 / 1年HELL組教室】

ー 今から12時間前 ー


「一・日・千・秋!!今日はついに給食のであるぞぉおおおッ!!」


校内に響く昼休みのチャイム。それと同時に鬼瓦が雄叫びを上げた。


毎月ニ週目の木曜日といえば…そう給食ッ!

月に一度だけの…そう給食ッ!

王輝明学園名物の絶品シチューが食べられる…そう給食ッ!


国王選挙が始まってからというもの授業は一切中止。

退屈な時間を教室でダラダラと過ごすだけだった。


他の教室からは時折、銃声、爆発音、悲鳴が響いてくる。

でも、僕たちの教室は昨日今日とまるで何も起きなかった。

二日前の火曜日のあの出来事がまるで嘘だったかのような退屈。


しかし、そんな退屈で乾ききった僕らの体を、心を、胃袋を満たす…そう、今日は給食の日!


「この世界のありとあらゆる美食を食べ尽くしてきた、高貴な血筋の私からも言わさせてもらおう」


「この学園の給食は絶品であるぞ!」


マーガリートも嬉しそうに鬼瓦の後にそう続くが、デス子が小声で毒を吐く。


「シチューとカレーの違いも分からないくせによく言うよねー」


そして、僕たちは給食の時間のルールに従い、7人一組の班になるように机を移動させ合体させる。

三人並びで向かい合う、一人がいわゆる誕生日席的なポジションになる例のあのフォーメーションだ。


ちなみに、僕の属する班は、ミカン、蛇邪丸、黒幕、冥土、エドガー、辺芸子の7人。


「殺し合い期間中の、一時の癒やしの時間と言ったところですわね」


隣の班のクビキリ―ナが、机を移動させながらそう零す。

普段は氷のように冷たい微笑を浮かべる彼女だが、今の彼女の顔にはどこか温かな笑みが浮かんでいるように見えた。


『そう、シチューは人を幸せにする』


僕らはそう信じていた。いや、そう思い込んでいた。


ーーー給食当番が、給食を運んでくるその時まではーーー


教室の扉がゆっくりと開く。

温かく、甘く、濃厚な香りが教室の中に一気に広がる。

だが、教室に戦慄が走ったのも、またそれと同時のことであった。


「・・・!!」


シチュー入りの寸胴鍋を乗せた給食台を運ぶ、三人の給食当番。

そんな彼らを見て、誰かが呟いた。


「そんな…、こんな偶然…なんでだよ…今月に限って…どうしてなんだよ…」


それはシチュー楽しみに待っていた、ここにいる全員の代弁。


なんたる絶望だろうか…。

純白の給食着に身を包んだ三人のうち二人は、この国王選挙期間中、絶対に給食当番に選ばれてはいけない二人だった。


それでは愉快で陽気で狂気な給食当番を順に紹介していこうではないか。


【給食当番No.1】

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

1年HELL組 男子 出席番号1番 15歳

『磯烏《いそがらす》 亜音《あのん》』


化学クラブ期待のルーキー。

白衣のような制服。ベルトには無数の試験管。

体は弱いらしく、咳の音がすればそこに彼がいる。


趣味は怪しげな薬品作り、及び無理やり誰かに服用させてレポートを取ること。

そして、彼は僕らのことを何故かこう呼んでいる「モルモットちゃん達」と。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「ゴホッ…ゴホッ…モルモットちゃん達お待たせー。ゴホッ…ほーら餌の時間だよー」


寸胴鍋のシチューをおたまで掻き混ぜる彼の仕草は、まるで化学のそれにしか見えない。


実験だ…もはや、あれは化学の実験だ…。



【給食当番No.2】

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

1年HELL組 女子 出席番号18番 15歳

『女苺《めいちご》 毒味《どくみ》』


"歌って殺す"現役学生地下デスアイドルグループ「ラブリーキラーズ」のメンバー。


ちなみに、「ラブリーキラーズ」のメンバーにはそれぞれ殺害方法の担当が決まっており…

クビキリ―ナが切断。

デス子が撲殺・爆殺。

そして、毒味は…「毒殺」


ここまで言えば、もう他に言うことは何もないだろう。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「毒味がいーっぱい愛情込めてよそってあげるから、残さず食べてねー♪」


磯烏が掻き混ぜたシチューを、毒味が一つずつ丁寧に皿によそっていく。


そして、アイドルの癖なのかよそったお皿一つずつに手のひらを向け、おまじないをかけていく。


「美味しくなーれ♪」


「いやいや毒味殿!その仕草じつに怪しい!もう確実に盛っちゃってるんじゃないかって思うほど怪しいから、辞めてはくれないかッ!?」


萌杉を声を上げるが、 毒味はニコリと微笑むだけで、おまじないを辞めることは決して無かった。


「えーでもこうやった方が美味しくなるんだよ―、びっくりして、思わず死んじゃうぐらい美味しくなるんだよー♪」


もう自白だ…。彼女は隠すつもりもなく、はっきりと自白しまっている…。



【給食当番No.3】

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

1年HELL組 女子 出席番号2番 16歳

『隠不流《いんふる》 怨咲《えんさ》』


盛りに盛られたド派手な制服、盛りに盛られたド派手な髪型。

大人気写真投稿アプリ『キルスタグラム』で44万人のフォロワーを獲得している現役学生拡散者。

彼女の愛する言葉は二つ。「盛り」そして「拡散」。


この三人の中では、唯一安全な給食当番と言えるかもしれない。

でも、彼女にも厄介な癖が一つあった。

盛れるものは、所構わずなんでも盛ってしまうという癖が…。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「前から思ってたんだけどさ―、シチューってなんか白くて可愛くないよねー」


そう言って、隠不流は謎の粉が入った小さな小瓶を取り出し、それをシチューがよそわれた皿へとかけていく。

すると、真っ白な輝きを持ったシチューの色がみるみるうちに変色していく。


ある皿のシチューは紫色に、ある皿のシチューはオレンジ色に、そしてある皿のシチューはピンク色に…。


「うわぁ!ヤバっ!めっちゃ盛れてんじゃーん!!」


「ピンクとか超可愛んですけど―!!」


「みんな写真撮っていいわよ!私とこのカラフルシチュー、一緒に撮っていいわよー!」


「そして拡散しなさい!私の魅力をこの国にどんどん拡散していきなさいッ!」


完成したそれは、もはやシチューとは到底呼べない物と化していた。

というかあの粉は一体なんなんだろうか。

人が口にしていいものなのだろうか…。


<シチュー配膳完了>


僕は目の前のそれを眺める。

匂いはシチュー。まごうことなきシチュー。

だが、その色はスカイブルー。

野菜たちがまるで海に浮かぶ孤島のように、青色のシチューから顔を覗かせている。


「これ…誰から食べようか…?」


僕たちは顔を見合わせた。

ミカンは黄色、蛇邪丸は紫色、黒幕は黒色、冥土はピンク色、エドガーは茶色、辺芸は緑色のシチューを目の前にして。


他の班の生徒たちも、まだ誰も口にしていない。

給食当番の三人は除いて…。


「ゴホッ…ゴホッ…いやぁーどうしてモルモットちゃん達は、こんなに美味しいシチューを食べないのかなー」


「このままだと冷めてしまう。あぁ勿体ないね―…ゴホッ…ゴホッ」


磯烏は憎たらしい満面の笑みを浮かべ、赤色のシチューを口へと運んでいる。


「毒入りの可能性は大だな…」


蛇邪丸が呟いた。

確かに給食当番の三人は美味しそうにシチューを既に食べ始めてはいるが、だからといって安全とは決して言い切れない。

むしろ、本当に毒を盛っているのであれば、自分たち以外の皿だけと考えるのが妥当。


「僕の推理によれば、あの三人の誰かがシチューに毒を入れて、ここにいる全員を殺そうとしている」


エドガーは賢そうに顎を撫でて言葉を続ける。


「つまり僕の推理によれば、毒入りの可能性は大というわけだ」


「あ、あの…」


冥土がそんなエドガーに声をかける。


「その可能性については、蛇邪丸さんが、もう既に述べていたと思うのですが…?」


「それに推理も何も、そこまで言い直さなくても、毒が入っていそうなことは、みんな分かっていると思うのですが…?」


「あ!せっかく、色々考えてくださったのに、ご、ごめんなさい!」


冥土に悪意は無い。だが、彼女の純粋さはエドガーのプライドをいとも簡単にひしゃげいていく。


「・・・」


硬直。誰もスプーンを持とうとすらしない。

そんなとき不気味な笑い声を静かに上げたのは黒幕だった。


「クククッ…」


「どうしたんだ、黒幕?」


「いやいや、このままでは誰も食べ始めない。だが、私達は空腹」


「確かにな…」


「なので、ここで一つ提案なんだが、最初に食べる人間を公平にジャンケンで決めるというのはどうだろうか…クククッ」


黒幕の顔の不気味な笑み。

それは物語っているようだ。何か企みがあると…。


だが、ここにいる全員が分かっていた。

彼は本当は何も考えてはいないということを。

そう、これは純粋な彼からの提案だということを。


「よしっ…分かったよ」


僕は覚悟を決めた。

確かにこのままでは埒《らち》が明かない。

あとは神の采配に託すしかない。


全員が拳を前に突き出した。

遥か昔からこの国に伝わる伝統競技「ジャンケン」。


重要な選択をする際、この国の人々は昔からジャンケンでどうするべきか決めていたという。

今までにどのくらいの人間がこの競技によって笑ったのか。

逆にどのくらいの人間がこの競技によって涙を流したのか…。


ジャンケンの歴史の数だけ共に生まれた勝者と敗者たち。

僕は心の中で彼らに願う。


この勝負は絶対に負けれられない…。

どうか勝たせてくださいとーーー。


手のひらに魂を込める。

掛け声は今も昔も変わらない。


「最初はグー!ジャンケン…ポンッ!!」


その結果を見て、思わず蛇邪丸が悪意に満ちた笑い声を教室に響かせた。


「くはははははっ!!流石はクラス一の不幸体質だッ!」


僕は自分の握りしめた拳を恨みがましく見つめていた。


「なんたる絶望だろうか…」


僕以外の6人はパー。そして僕だけグー。

僕の一発負けだった。


「やっぱりお前は最高だよ!乙木迷太ッ!」


「ジャンケンなんてするんじゃなかった…」


思い返せばいつもこうだ。

所詮は確率、所詮は運、誰かがそんなことを言っていたけど、僕の負け体質はそれでは説明がつかない域に達している。

ジャンケンをして勝った試しなんてこの人生でただ一度も無かった。


「クククッ…では乙木君、負けた君から早速食してもらおうか?」


「あぁ…分かったよ…」


しかし勝負は勝負。言い訳はできない。言い逃れも許されない。

僕はスカイブルー色の異様な鮮やかさをもったシチューを少しだけスプーンで掬う。

青色はどうしてか食欲を減退させる。気持ちが悪い。


それに、十中八九、このシチューには毒が盛られている…。


「大丈夫です乙木さん!もし何かあったときは、私が手当しますから!」


なかなかシチューを口へと運べず、スプーンと睨み合いを続けている僕を見かねてか、冥土が優しくそう言ってくれる。


「いや、本当に毒入りだったら、手当てどころの騒ぎじゃすまないんと思うんだけどーーー」


「ねぇねぇ、乙木ん、乙木ん…」


今度は正面に座る辺芸子が僕の腕をポンポンと叩く。


「毒はスリップダメージだから大丈夫だよ!」


「ス、スリップ…ダメ、ダメージ?」


聞き慣れない言葉に僕は首を傾げる。


「そう!ターンが経過するか、フィールドを一歩進まなければダメージは入らないの!」


「しかも基本的にダメージは少量…といっても馬鹿にできないんだけどね」


「でも、毒で即死なんてそんな鬼畜設定、辺芸子見たこと無いし、だから大丈夫だよ!」


辺芸子は可愛らしい笑顔を浮かべながら、僕のスプーンを持つ手をそっと握りながら、そう勇気づけてくれる。


「え、えーと…辺芸子ちゃん…」


こんな可愛い子に手を握られ、勇気づけてもらえるなんて、状況さえ違えば僕のHPは一気に回復したことだろう。


でも、今は状況が違う。というか普通は毒なんて口にしたら即死だ。

ターン経過も、フィールドを歩くこともなく、僕は即死することだろう。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

1年HELL組 女子 出席番号21番 15歳

『ロール 辺芸子《ぺげこ》』


一週間程前、このクラスでは授業の一環で、一人ずつ将来の夢について語った時があった。

ほとんどの生徒が将来「国王になりたい」と夢を語った。

でも彼女は違っていた。

辺芸子は「悪の大魔王を倒し、勇者になることです!」と真剣な表情で言い放ったのだ。


まぁ一言でいえば、ゲームオタク。

しかも異常なまでのゲームオタク。

ゲームをやりすぎてしまったのか、現実とゲームの世界がごちゃまぜになってしまった少し変わった女の子である。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「さぁ乙木、無駄話はここまでだ」


「そろそろ食べてもらじゃないか!そのシチューを一気にいってもらおうじゃないかッ!」


それこそ悪の大魔王のような顔をして蛇邪丸が僕と辺芸子の話を遮る。


「・・・」


確かにこのままではシチューが冷めてしまう。

それでは、せっかくこのシチューを作ってくれた給食のおばちゃん達に失礼だった。

それにもう空腹も限界。

僕は覚悟を決めるーーー。


「…って、ミカン?」


でも、隣を見て気がついた。

ミカンは既にシチューをバクバクと食べ始めていた。


「だ、大丈夫なのか…ミカン?」


周りもそのことに今気がついたようで、ミカンの様子を観察するように眺めている。


「うん、色はあれだけど、美味しい」


「そ、そうか…。でもお前、毒は大丈夫なのか?」


「たぶん」


「たぶんって…」


でも確かにミカンの言う通り、彼女のシチューに毒が盛られている様子は一切無かった。


「それに訓練したから、多少の毒なら問題無い」


「多少の毒なら問題無いって…」


流石は暗殺一家生まれだった。

でも僕はその時気がついた。

あくまでも憶測に過ぎないが…。


「磯烏や女苺がもし本当に僕たちを毒殺しようとしていたなら、"多少の毒”程度は使用しないと思うんだ」


「だって、彼らはその道のプロ。いくら毒にある程度の耐性を持っているミカンでも一撃で殺せるほどの毒物を使用するはずだ…」


「つまりこのシチューは安全だ!」


僕の言葉を聞いて、さっきまで意気消沈していたエドガーが首を横に振る。


「乙木、君の推理は確かにいい線まではいっている。だが重要なことが一つ抜けているね」


「重要なこと?」


「あぁ」とエドガーは勝者の笑みを零す。


「僕の推理によれば、磯烏と女苺のことだ。彼らが本気で毒殺を企んでいた場合、最強の毒物を使用することだろう」


「しかし、シチューを食べたミカンに異変はない。つまりこのシチューは安全なのだよッ!」


や、やばい…。

僕が言ったことと、何が違うのか一つも分からなかった…。


「いただきます」


そんなエドガーはほっといて僕たちはシチューを食べ始める。

見た目はあれだったけど、この学園のシチューはやっぱり格別に美味しかった。


そして、30分後。


給食をそろそろみんなが食べ終えた頃、教室に教頭の二晩がやってくる。


「あー、給食時間中申し訳ないが、二つ皆々様にお知らせしたことがありまして」


「えー、少し時間をいただければ幸いです」


「あー、一つ目は、諸君も噂には聞いているとは思いますが、”首無しカッチャン”についてです」


その噂はもちろん知っていた。

被害者の首を切断し、頭部だけ持ち帰る。そして昆虫の死骸を死体の側に置いておくという、なんというサイコキラー。

通称、首無しカッチャン。


「えー、本学園の生徒ばかり狙う殺人鬼、首無しカッチャンですが」


「あー、昨晩も本学園の生徒「偽善《ぎぜん》 三十路《さんじゅうろう》」君が殺害されました。これで3人目の被害者となります」


確か、一人目の被害者の名前は「大一番《おおいちばん》 不敗《ふはい》」。

二人目は「当面《とうめん》 二郎《じろう》」。

そして、ついに三人目の被害者…。


「えー、今は大切な国王期間中、そのような無関係なことでは死なれないよう諸君も十分注意すること」


そして、ニ晩は二つ目の話をそのまま進めていく。


「あー、もう一つは今夜1年HELL組で特別深夜授業を開催することになりました」


「特別深夜授業?なんだそれ?」


それは聞き慣れない言葉。


「えー、このクラスの者から今朝、申請書が提出され、それが受理され開催されることになったため」


「あー、1年HELL組の諸君は今夜23時30分に、この教室に集合するように」


突然の二晩の説明にデス子が牙を向く。


「23時30分!?なんでそんな夜遅くに集まんなきゃならねえんだッ!?」


それは当然の疑問だった。

なんて、そんな時間にわざわざ集まる必要があるんだ…。


「えー、さきほども言ったとおり、このクラスの者から申請があったためです」


「ゴホッ…ゴホッ…えーと二晩教頭、一つ質問よろしいでしょうか?」


さっきまで元気そうだった冥土が、苦しそうに咳き込みながら手を上げた。

そういえば、彼女が体調を崩し始めたのは、この時ぐらいだったかもしれない。


「その申請をした方は一体どなたなのですか…ゴホッ…ゴホッ」


「たしかに誰だッ!?そんな、かったりいアホみたいな提案したやつは、一体どこのどいつだッ!?」


デス子が怒声を上げながら辺りをナイフのように鋭い目つきで見回す。

しかし、誰も手を上げることは無かった。


「クソッ…見つけたらぜってーデスってやるからな」


「あー、申請者は匿名が故に私にも分かりません」


「分からないって…」


「えー、ただ氏名欄にはこう書かれておりました」


ーーーパンデミックーーー


「ぱんでみっく…?」


「あー、本特別授業は、正式に受理された物のため、参加は必須となります」


「えー、故に欠席遅刻等は国王になる権利、及び投票権利の失効となるので注意してください」


ここからだった。

僕たちの長い長い夜はここから既に始まりを告げていた。

そして、この時の僕たちは気付けるはずも無かったんだ…。


この「パンデミック」と名乗る者が仕掛けた恐るべき罠の正体にーーー。

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