↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジャック・ポット・チャンス!~幸運転生者の異世界日記~  作者: 天勝金治
第四章 ダンジョンお宝争奪戦
PR
53/128

第49話 古代の秘宝

 光が溢れた通路を駆け抜け、輝く門から大部屋へ飛び出した。

 大部屋もあちこちの模様が光り輝きさっきまでとは打って変わって明るい。

 中央にあった巨人の表面にも光が走っている。


 そして何より…。

「あっ、戻って来たわね! 金治、ローレンス、あなたたち一体何やらかしたのよっ! あちこちからゴーレムが湧き出して大変なのよ!」

 なんとレイラたちがさまざまな形のゴーレムと戦っているのだ。

 さらにゴーレムたちは俺たちが最初にこの大部屋に入った通路の方から次々に入って来る。


「『ホーリーレイ』ッ! ……くっ、相手が多すぎる。こいつら風化してるからか一体一体は弱いけどこう沢山来るとジリ貧だよ!」

 シオンがレーザーを放ち迫って来るゴーレムを粉々にした。

「ああもう、アホなパーティと戦ったせいで魔力が切れそうだって言うのにっ! 『アクセラ・バインド』ッ! こいつら何体いるのよ!」

 ジェリーが呪文を叫ぶと彼女の周りから幾つか光のロープが飛び出し、周囲のゴーレムを縛り付ける。

 俺とローレンスも魔剣を片手に駆けだした。


「お宝何て言ってる場合じゃねぇな! もう誰でもいいから脱出する方法考えろ!」

「えっ、金治が脱出の方法も考えてあるんじゃないの? ジェリーは?」

「私も帰る方法なんて考えてないわよ。あなたたちについて行けば出られるって思ってたんだもの」

 この場には予想以上にポンコツが揃ってる様だな。

 取りあえず俺も近寄って来たゴーレムを手にした短剣で切りつける。

 白い閃光を放ち真っ二つに切り裂いた。




「おい、何か変だぞ! 上から何か…」

 ローレンスが突如叫ぶと壁が光ることで見えるようになった高い天井が爆発して何か大きなモノが落ちて来る。

 砂煙を巻き上げて着地したソイツはガチャガチャと機械音を立てて周りを見回した。

 両手には巨大な剣と斧を持ち、体は他のゴーレムの倍くらい大きい。

 中央に開いた穴には赤い光が一つ目の様に輝いている。

 ……俺はこいつを見たことがあるぞ。

「コイツって確か入口ら辺にいた奴だよな…?」

「ま、マズいよ…。『ロストガーディアン』も復活しちゃうなんて、僕らが敵うようなモンスターじゃないよ! 恐らく『グランドコア』を戻したからこのダンジョン全体の機能が再起動したんだ。あのコアはここのエネルギー源だったんだ」

 赤い一つ目をした古代兵器『ロストガーディアン』。

 周りはおんぼろゴーレムばかりだがもの凄い数だ。

 少なくとも降って来たコイツを何とかしないと間違いなく死ぬだろうな。

 強い奴とは戦いたく無いけど仕方ない。


「こうなったら俺があのデカブツと戦う」

「おい、無茶だぞ金治! 勇気と無謀をはき違えるのは愚か者のすることだ、お前はそんな命知らずじゃないだろ? 俺だってアレには敵うか分からないぞ」

 慌てて止めにくるローレンス。

 彼の言う通りだがここは戦うしかないだろう。

 それに…。

「大丈夫さ。これまでも運でいろんなピンチを切り抜けて来たんだ。今回もコイツに賭けるさ! ……俺が気絶したら運んでくれよな」

 俺は左手に着いた金の腕輪を掲げて見せる。


 この異世界に来てからというもの某女神に見られてることもあり様々なトラブルに巻き込まれて来た。

 平穏に暮らしたいのにファンタジーの王道、ドラゴン退治までさせられる程に。

 だが全てを乗り切って来たのは俺の実力じゃない。

 俺の運がアホみたいに高いからだ。

 腕輪を触り、願いを込めたサイコロを俺は握る。



「頼むぜ、今一番いい目を出してくれっ! ダイスロールッ!」

 ロストガーディアンに向かって走りながら俺はサイコロを投げた。

 確かにどんな目が出ようとアイツには敵わなそうだ。

 でも高い目を出して、強化されたパワーで体当たりをすればすぐ向こうの穴の中へ突き落すぐらい出来るだろう。

 巨人が立っているであろう大穴、ここが肩の高さなんだからとんでもなく深い穴の筈だ。

 俺の前を転がるサイコロが止まる……!

「なっ、何だとぉ! いや待て、1は無いだろ、1はっ!」

 出た目はなんと1。

 サイコロは煙になって消えて行く。

 俺の体は光らないし、これじゃ能力強化無しだ。

 

「金治逃げるんだっ! ガーディアンが迫ってるよ!」

 シオンの叫び声でハッとしたがもう遅い。

 目の前には巨大な斧を高く掲げたロストガーディアンの姿が…。

「う、うわぁああっ! ここでファンブルはねぇだろっ! ちっくしょぉぉぉおっ!」

 思わず腕で顔を覆って目をギュッと閉じる。

 どうやら俺の異世界生活はここで終わりかな。






「ボケっとしてるんじゃないわよっ! 『バインド』ッ!」

 突如お腹の周りにロープが巻き付いて後ろへ力いっぱい引っ張られた。

 ドッゴォォォオン……。

 ハッとして目を開けると前方では振り下ろされたロストガーディアンの斧が床にめり込んでいる。

 床に座り込んだまま後ろを振り向くと手から光のロープを出したジェリーが立っていた。

「あんたの『ダイスの腕輪』は聞いてるわ。でも簡単に命を賭けてるんじゃないわよ! ギャンブラー気取りもいいけどもっと命って言う切り札を大切にしなさい」

「あ、ありがとうジェリー。……ごめん」

 思わず彼女の勢いに謝ってしまった。

 何故かはわからないけど……、この言葉は俺の何かに響いたんだ。


「金治、ジェリー! そこから早く逃げてっ!」

 レイラが叫ぶ。

 再びロストガーディアンの方を見ると中央の一つ目が強く輝いている。

 これはマズいな。

 そう思ったけど言葉を発する暇もなくヤツは仕掛けて来た。


 強くなった赤い光は光線となり俺たちの方へと真っ直ぐ迫った。

 一瞬で俺のすぐ右側に着弾し爆発を起こしたがその爆風で勢いよく吹き飛ばされた様だな、俺は宙を舞っている。

 俺とジェリーはバインドの魔法で繋がったまま巨人が佇む大穴へと落ちて行く。

 先が見えない暗闇へと成す術もなく。

 ジェリーが悲鳴を上げている、コレはもうどうしようもない。


 ……でも死にたくない。

「何とかなれっ! 『ワン・モア』、『ワン・モア』ッ!」

 飛び行く意識の中で唯一使える魔法を叫ぶ。

 俺とジェリーは共に闇へと飲み込まれた。




   ----------




「……きて、…起きて。起きなさいよ金治ッ!」

「おっ、起きた起きたよ…。あれジェリー? そうか下まで落ちたんだな」

 何か前世の嫌な記憶を思い出したように飛び起きた。

 うん、学校とか朝とかホントに嫌な記憶だな。

「何で私たち生きてるのかしら? それともここがあの世?」

 不思議そうなジェリー。

 きっと『ワン・モア』の事は聞いて来なかったんだろうな。

「俺が守りの魔法を使ったんだよ。いや、そんな事よりどうやって上に戻るんだ?」


 周りを見回したが階段とかは無さそうだ。

 コアを戻して魔力が来てるからか周りの壁が青白く光っている。

 流石に地下深いからあんまり供給されてないのか上よりもずっと暗い。

 大きな丸い部屋のような場所に俺たちはいて中央には大きな2本の柱が…。

「柱じゃねぇな。アレ、上で見た巨人の足か」

 ここからじゃ上に登る梯子とか階段を見つけても登りきるまで数時間かかりそうだな。


「ね、ねぇ金治。なんでそんなに落ち着いてられるのよ。今私たちは戻り道がない場所に閉じ込められたかもしれないのよ? それに上ではあなたたちの仲間が…」

 不安そうに騒ぐジェリー。

「確かにそうかもね。でも今は生きてるじゃん。それに俺の仲間なら大丈夫さ、世界一意地汚い奴らが死ぬもんか」

 俺は不思議と落ち着いてたし、自信が湧いて来る。

 実際あの仲間たちなら大丈夫だろう、根拠はないけど信じられるのさ。

「あなたって確か低レベルの『遊び人』よね。一体どんな冒険をしたらそんなに肝が太くなるのかしら、今度お話を聞きたいくらいよ」

「冒険談ならたっぷり聞かせてやるよ。でも今は何かヒントを探そうぜ! 上に居るバケモノを倒す方法とか、もしかしたらお宝があるかもよ」

 俺たちは取りあえず壁に沿って歩き始めた。




 壁際に進んでいくと青白い光のラインが入った扉がある。

 取っ手らしきものに手を掛けて押したり引いたりするが開く様子がない。

「鍵がかかってるわね。ここは私に任せて、魔法の鍵には魔法の開錠よ。『アンロック』!」

 ジェリーが扉の中央に手をかざして呪文を唱えると紫色の光が発生する。

 扉表面の光が点滅したと思ったら自動で左右に開いたのだ。

「凄いね、その魔法って確か昔に禁止された魔法でしょ?」

 女神クロムが適当に覚えていた便利魔法だ。

「ええそうよ。昔犯罪に使われたからって禁止された魔法はたくさんあるのよ。でも正しく使えばこんな風に役に立つでしょ」

 彼女は嬉しそうにそう言いながら開いた扉の先へ踏み込むと振り返って言った。

「それに私ってダメって言われるとやってやりたくなる性質なの! いつか世界中の禁止されて失われた魔法を全部覚えてやるわ」

 笑顔でそう言う彼女の言葉に俺も思わず笑ってしまう。

 コイツ結構良い性格してんじゃん!

「最高の目標じゃねーか! 応援するぜ!」



 俺たちは並んでその扉の先にあった部屋へと踏み込んだ。

 真っ暗だった部屋は俺たちが入った瞬間明るく輝き始めた。

「壁画がいっぱいだ。この部屋、コアを置いた部屋に凄く似てるな…」

 何か大切なものがありそうな部屋。

 直感だが分かるもんだね。


「ねぇ、これって宝箱かしら? 石で出来てるけど強い魔力を感じるわ。でも変な鍵がついてる見たい」

 部屋の中央に置かれた石の箱。

 俺がこの世界に転生してきた時に開けた宝箱に似た大きさだ。

 鍵穴が普通ある部分に石の台座みたいなものがついていて窪みがある。

「この窪みに鍵を置けば開くタイプかな。いや、そんな事しなくてもさっきの開錠魔法で開くんじゃないか?」

「そうね、やって見るわ。『アンロック』!」

 ジェリーの放った紫色の光に包まれるが宝箱はうんともすんとも言わない。

「ダメね、全く効いてないわ。鍵は無さそうだし諦めましょ」


「えぇ~、諦めちゃうの? 何かいいもの入ってそうだし頑張ろうぜ。ほら、砂埃に覆われてるから魔法が効かなかったのかも…、ゴホゴホッ!」

 宝箱の上を徐に払うと埃が舞い上がった。

 こんなになるまで人が来てないって事はきっと中身があるぞ。

「ゲホゲホッ! もう少し丁寧にやりなさいよね……。ちょっと! この紋章って伝説のヤツじゃない!」

 埃が払われて宝箱の蓋に描かれていた模様が見える。

 ジェリーはそれに飛びついて大興奮だが…。

「んな凄いのか? 伝説ならウチのローレンスも持ってるぞ」

「そんな浅い伝説じゃないわよ。この紋章は初代勇者の紋章って言われてるものなの。詳しい文献が残ってない古代の時代に魔王を倒したって言う世界最初の勇者伝説よ。王都の博物館とかで石板を見たことあるけどこんなところで本物を見れるなんて…」


 どうやら凄いものらしい。

 しかし古代の勇者とかこの世界は何かしらのゲームの二作目みたいだな。

「ならやっぱり開けようぜ。初代勇者とやらの剣でも入ってるかもよ。なんか方法ないかな」

 もしかしたら最強装備が入ってるかもしれない。

 歴史は知らないがワクワクするな。

「無理よ。初代勇者の紋章が描かれた宝箱は他にも発見されてるの。でも王都の魔術協会が全力を尽くしても力ずくで壊そうとしても開かなかったそうよ」

 つまり魔法でも力でも正しい方法以外は無駄ってことか。




 でも諦めたくないなぁ。

「こっちの台座みたいなのに何かすればいいんじゃないか? こうやって…、ゴホゴホッ! ……あれ、これって」

 宝箱の鍵部分の埃を払うと拳より少し大きい正方形の窪みには何か見たことがある模様が描かれていた。

 どっかで見たことがある模様。

 見たことあるのはつい最近。

 なんだっけな、正方形の中央に点が一つ。

 ……これってまさか!


「分かったぜ、宝箱の鍵の秘密がっ! 俺はもう今一番いい目を出してたんだ」 

 宝箱に背を向けて壁画を観察するジェリーが慌てて駆け寄って来た。

「何? もしかして開けれるって言うの?」

「ふふふふふっ、これを見たまえジェリー君。この形を君は知ってる筈だ」

 正方形に点が一つついた窪みを指さして言う。

 ジェリーは眉をしかめて考えるが…。

「分からないわ、一体何だって言うのよ?」


「答え合わせだ。きっと鍵はこんな形の筈だよ。出ろ、サイコロッ!」

 俺は左手の腕輪を叩きサイコロを出現させた。

 拳大のサイコロを握り、1の目をジェリーに向ける。

「この宝箱の模様はサイコロの1の目なんだよ! きっと鍵はこういう形だ、これで代用出来るかもしれないぜ!」


 俺の言葉に暫く固まったジェリーは噴出した。

「プッ、アハハハハッ! バッカじゃないの、ダイスで開く宝箱なんてカジノくらいよ! 伝説の勇者の宝箱がダイスで開くなんて…、プハハッ!」

 腹をよじって笑うジェリー。

 悪いけど俺は大まじめだ。

「見てろよ、もしこれで開いたら中身は俺のだからな!」

「いいわよいいわよ、やって見なさいよ」



 俺はサイコロの1の面を押し付けるように宝箱の窪みに置いた。

 その瞬間サイコロは強く輝き、宝箱も光に包まれる。

 蓋に描かれた紋章も強い光を放つ。

 重そうな石の蓋がゴゴゴゴゴッと大きな音を立ててスライドして行き、地面に音を立てて落下した。

 宝箱の中から眩い光が溢れ出る。


「な、何なのよ…。中から何か出て来るわ。光の…玉?」

 口を開けた宝箱から光の玉がゆっくりと浮き上がって来た。

 俺たちの目の高さまでその光の玉は上昇して止まる。

 目の前で浮遊する光球の中にはひし形のクリスタルが浮かんでいるのが見える。



 どうやら俺たちは何か凄い秘密に足を踏み入れてしまった様だな。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。