表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第四章 誰もが一筋縄ではいかない

鎮水県衙の巻宗庫は長年管理する者もなく、あらゆる種類の書類が無秩序に積み上げられ、中にはただばら撒かれたままのものもあった。高昇はやむを得ず、全員で全ての書類を大堂の床に広げ、時間をかけて探すことにした。


日が西に傾きかけた頃、数人の役人がとうとう我慢できなくなった。

「旦那、もうすぐ日が暮れます。ひとまず休みませんか?明日の明るいうちにまた探しましょう」


実は高昇も内心少し恐ろしくなっていた。しかし謝半鬼と梅心児は微動だにせず、自分から「休もう」と言い出すのも気が引けた。彼は苛立ったように手を振った。

「行け行け、明日は早く来い」


「旦那、お先に」


あっという間に役人たちは走り去った。高昇は夢中で書類を漁る謝半鬼を見て、仕方なく再び書類の山に潜り込んだ。


日がすっかり暗くなった頃、謝半鬼がようやく伸びをした。

「何か収穫は?」


梅心児は宝物を差し出すように、黄色く変色した古い一冊の本を掲げて叫んだ。

「見て、何を見つけたと思う?『鎮水県志』よ!これによると、鎮水县はもともと怒蛟県って言ったんだって。外の怒蛟河から名前を取ったの。大正二十三年、つまり二十五年も前になるまで、怒蛟河は鎮水と改名され、県の名前も今の鎮水县に変わったんだって」


梅心児は首を振りながら得意げに言った。

「これが一番大事ってわけじゃないの。一番大事なのは、鎮水の長さは九百九十里(約400km)で、県衙は元々怒蛟河の上流にあって、今の県衙から九百里(約360km)も離れていたってこと。五回も移転して今の場所に落ち着いたんだって」


「五回も移転?」謝半鬼も興味を示した。「なぜ県衙を移転しなければならなかったんだ?」


「本には書いてない!」梅心児は県志をめくりながら言った。「でも、とても面白い伝説があるの。伝説によると、鎮水、つまり怒蛟河は蛟竜が巣に帰るための竜の道なんだって。だから百年ごとに川の水が逆流する奇景が見られるんだ。これは蛟竜が餌を食べた後、巣に帰って眠るために、大河をかき回して逆流させるんだって。さらに百年後、蛟竜が目覚めて川を下り海へ出る時は、県全体が何ヶ月も豪雨に見舞われ、川の水は氾濫するんだって。面白いでしょ?」


謝半鬼は眉をひそめた。

「前回、蛟竜が川に入ったのはいつだ?」


「たぶん二百年前に蛟竜が巣に帰った時ね。あれっ?」梅心児はしばらく探して言った。「蛟竜が巣に帰ってから、その後一度も出てきてないみたいなんだけど?」


高昇は能天気にへらへら笑った。

「たぶん死に腐れたんだろう。こういう話は当てにならない。暇つぶしに読んで、気を紛らわせるくらいでいいんだよ」


謝半鬼の顔色がわずかに曇った。

「もっと気が紛れることがもう来ている」


謝半鬼の声が終わらないうちに、県衙内の蝋燭の灯りが突然、幽玄な青い火に変わった。鬼が泣くような風の音が県衙の周囲でヒューヒューと鳴り止まない。


必死に扉を叩く音が突然響き渡った。

「旦那!旦那、大変です!」


県衙の厚さ二寸余りの大戸ががらりと開かれた。門外にいた役人がどれほど怯えきっていたかが窺える。


「旦那……」役人がようやく扉を開けると、暗闇から飛んできた縄がその肩に絡みついた。男の体は後ろに引き倒されそうになり、血をにじませながらも必死に扉の板を掴んで離さなかった。突然、鋭い二つの風切り音が閃いて消えた。役人の両手は手首から切り落とされ、そのまま人ごと音もなく暗い霧の中へ吸い込まれた。


その役人の叫び声、砂利を擦る体の音は半時も経たないうちに何かに断ち切られた。残ったのは、まだ血の滴る両方の手が扉に食い込んだまま、風に揺れていただけだった。


「鬼眼、開け!」


謝半鬼は両手を背中に回し、再び差し出した時には、二つの寒鉄製の鉄爪をはめていた。


鉄爪は虎の爪に似て、人の手の関節に合わせて三つ折りに設計され、爪先は刃のように鋭い。それぞれの爪の背には三つの仕掛けの開口部があり、謝半鬼が指をわずかに動かすと、そこから一尺三寸(約40cm)の細長い刃が飛び出した。二つの鉄爪は蝋燭の灯りの下で冷たい光を放ち、鉄爪に刻まれた符文は明滅しながら、神秘的で不気味な錯覚をより一層強めた。


「絶魂爪?なるほど、金棺神捕・絶魂爪の陳酒の後継者だったのか。一筋縄ではいかないね」


梅心児は笑いながら、さっと二振りの半尺(約15cm)ほどの短剣を手に取り、両手で構えて嬌声を上げた。

「霊眼、開け!」


老銭は高昇が口を開くのを待たずに、上衣を脱ぎ捨て、中に着ていた黒い勁装を露わにした。その上衣を脱ぐ手際の良さを見るだけで、彼が決して非力な師事ではないことが分かる。修為は先天に達しているかどうかは別として、決してただの武者ではない。老銭は衣服の後ろをまくり上げ、腰に差した六本の短筒火銃を露わにし、そのうちの二本を抜き取って両手に構えた。水平に構えて玄関口を狙っている。


高昇の目は飛び出しそうになった。

「鄭家の火器?てめえ、そんな手があったとは知らなかったぞ!」


老銭は怒りで悪態をついた。

「んなことどうでもいいだろうが!てめえは鬼の餌になりたいのか?」


「そうそう!」高昇も自分の衣襟をはだけ、中に鎧のように貼り付けられた大量の霊符を露わにし、さらに腰から三尺余りの長さの金錢剣を抜き出した。「どうだ?龍虎山の品だ。場を鎮めるくらいできるだろ?」


謝半鬼は振り返らずに低く叱った。

「黙れ!」


県衙の外は風も止み雲も息を潜めたが、黒い霧は依然として立ち込めていた。県衙全体が、ぱちぱちと跳ねる緑の灯りの下で不気味なほど静まり返っていた。高昇は外の様子は見えないが、音は聞こえた。鎖が石の地面を引きずるジャラジャラという音が、闇夜の中でゆっくりと県衙に近づいてきていた。鎖の跳ねるチリンチリンという音に混じって、いくつかの微かな足音も響いているようだった。


冷や汗が老銭と高昇の頬を伝って流れ落ちた。一人は両手の銃を構えて玄関口をじっと狙い、一人はすでに手に一握りの銅銭を握りしめていた。何かが姿を現すのを待ちかまえ、即座に迎え撃とうとしている。


しばらくして、敷居のすぐそばに四つの皿が現れた。それぞれの皿には、白飯、一本の鶏もも、一壺の老酒が載せられている。


「お、お、お断りの飯……?」恐怖で引き金を引きかけかけた老銭は、ごくりと唾を飲み込んだ。「奴は我らを死刑囚だと思っているのか?」


「落ち着け」謝半鬼は悠然と腰の瓢箪を外し、仰ぎ見て一口飲んだ。「断ち切りの飯が出されたということは、奴はすぐには殺さない。待て」


高昇は泣き出しそうになった。

「兄弟!お前たちは鬼眼だの霊眼だの。兄ちゃんはまったくの真っ暗闇だ。何とかして俺にも見えるようにしてくれないか。兄ちゃんが見えるようになれば、必ず足を引っ張ったりしないから」


謝半鬼は手近な壺を高昇に投げてよこした。

「これは陰陽水だ。それで目を洗えば見えるようになる。有効時間は長くないし、残りも少ない。節約して使え。なくなったら、嬢ちゃんの天眼符を食べるしかないぞ」


「見えればそれで十分だ!」


老銭は片手で陰陽水を指に取り、自分の目に塗った。

高昇は陰陽水を手のひらに注ぎ、顔を洗った。


しばらくすると、黒い霧の中からぼんやりと三つの人影が浮かび上がった。


「いい加減、旅立つ時刻だ」


青白い鬼の手が一匹、霧を突き抜けて謝半鬼に向かって伸びてきた。


謝半鬼は右手を鋭く振り上げ、絶魂爪を手放した。それは鬼手と激しくぶつかり、蛍光が四方に飛び散る。鬼手は粉々に引き裂かれた。絶魂爪はなおも勢いを失わず、五本の鋼線を従えて霧の中へ突き進み、戦慄を誘う鬼の泣き声を響かせた。鬼の泣き声がようやく聞こえなくなると、絶魂爪は鋼線の軌道を伝って謝半鬼の肩と腕に仕掛けられた機構に引き戻され、再びしっかりと謝半鬼の手にはめられた。


惨绿色の燐光が爪先から滴り落ち、一筋の蛍光となって空中に消えた。


謝半鬼は鉄爪の匂いを嗅ぎ、眉をひそめた。

「どうやら大鬼のレベルに達している。外の陰魂は一筋縄ではいかないな」


突然、鉄鎖が地面を叩く音が一面に響き渡り、重い足音が四方八方から県衙に向かって集まってきた。


梅心児も顔色を少しばかり変えた。

「どうする?陣を張る?」


「いや。上から出る」


謝半鬼の身体は地面から勢いよく飛び上がり、屋根を突き破って屋根の上に立った。下を見下ろして、思わず息を呑んだ。


——(続く)——

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ