探し物
現実味を出すために試行錯誤しながら書いたのですが、合わないところがあるかもしれませんご了承ください
そんなことを考えながら、俺たちは彼女たちがはぐれたという場所へ車を走らせた。
運転しながら、俺は二人に尋ねた。
「どうやってはぐれたんだ?」
エバが少し考え込むように答えた。
「ライブが終わってホテルに戻ったあと、暴動が起きて避難所へ向かうことになったんです。本当は四人一緒の車に乗る予定だったんですけど、混乱していて二人ずつ別々の車に押し込まれて……。その途中で事故に遭ってしまって。私たちはそこから歩いて逃げて、彷徨っているところをあなたに助けてもらいました」
話を聞き終えた俺は、ふと思いついたことを口にした。
「それなら、ミナとリオはもう避難所に着いてるんじゃないか?」
二人は顔を見合わせてうなずいた。
「……確かに、その可能性はありますね」
俺はニュースで見た避難所の情報を頼りに車を走らせた。
しばらく走っていると、メーターに給油ランプが灯った。
「まずい……ガソリンがもうほとんどない」
俺がそう言うと、カリンが不安そうに聞いてきた。
「車を乗り換えるの?」
俺は少しためらった。
せっかく手に入れたインプレッサだ。できれば手放したくない。
周囲を見回すと、一台の派手に改造されたクラウンが路肩に止まっていた。
「あのクラウンからガソリンをもらってくる」
そう言って二人を車に残し、俺はトランクを開けた。
中には最初から積まれていた携行缶がある。
「前の持ち主も車好きだったのか?」
そんなことを考えながら携行缶を担ぎ、クラウンへ向かった。
給油口をバールでこじ開けた瞬間だった。
キィィィィィィン!
案の定、盗難防止アラームがけたたましく鳴り響いた。
「うるせぇ……!」
急いで燃料を抜こうとするが、一滴も出てこない。
「しまった……最近の車は逆流防止か」
焦っているうちに、周囲から足音が聞こえ始めた。
ゾンビだ。
物音につられ、次々とこちらへ集まってくる。
車の方を見ると、カリンとエバが心配そうな表情で俺を見つめていた。
「くそっ!」
俺は携行缶を放り投げ、そのまま全力で車へ駆け戻った。
助手席のドアを閉めると同時にアクセルを踏み込み、その場を離れる。
息を切らしながら、俺は一言だけ言った。
「……ダメだった」
さすがにこの車ともここまでか。
そんなことを考えながら走っていると、前方に営業中のように看板が光るガソリンスタンドが見えた。
「なんで電気がついてる……?」
違和感を覚えた俺は、慎重に車を止めて様子を見に行くことにした。
店内へ入ると、照明は生きていた。
事務所のパソコンにも電源が入っている。
画面には、
**『非常用電源作動中』**
と表示されていた。
「災害対応のスタンドか……」
思わず安堵のため息が漏れた。
俺は急いでインプレッサのタンクをハイオクで満タンにし、スタンドに残されていた携行缶にも燃料を補給した。
これでしばらくは走れる。
車へ戻ると、俺は二人に言った。
「これで当分は大丈夫だ」
カリンは胸をなで下ろしながら笑った。
「さすがに焦ったわ……」
エバも小さく息を吐き、安心したように笑う。
その笑顔を見て、俺もようやく肩の力が抜けた。
再びエンジンをかけ、避難所へ向かう。
しばらく走ると、目的地だった学校が見えてきた。
だが、人の気配はまったくない。
校庭のフェンスは倒れ、外に張られていたテントは引き裂かれていた。
避難者があふれ、校庭まで使っていたのだろう。
俺は車を降りた。
「何か手がかりだけでも見つけたい」
そう呟くと、二人も降りてきた。
エバが少し怒ったような、それでいて心配そうな顔で言った。
「さっきから私たち見てるだけじゃない。手伝わせてよ。三人で探した方が早いでしょ?」
俺は少し考えてからうなずいた。
「わかった。でも条件がある」
二人は真剣な表情になる。
「危ないと思ったらすぐ引き返せ。ゾンビは俺が相手をする。人間相手は分が悪い。怪しい奴を見つけても近づくな。何かあったらすぐ俺を呼べ。いいな?」
「うん」
二人は力強くうなずいた。
俺たちは手分けして校庭を探し始めた。
テントの中は血だらけだった。
頭や腕、足がなくなった遺体がいくつも転がっている。
感染する前に食い殺されたのだろう。
外を一通り調べ終えた俺たちは、校舎へ向かう。
俺は二人に言った。
「ここから先は危険だ。中では俺から離れるな」
二人は静かにうなずいた。
だが、この時の俺たちはまだ知らなかった。
校舎の中に、本当の地獄が待っていることを。
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