表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末世界で俺は  作者: やまてい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/7

狂人

現実味を出すために試行錯誤しながら書いたのですが、合わないところがあるかもしれませんご了承ください


俺は二人の服を新調させるため、大きなショッピングモールへ車を走らせた。


店に入る前、俺は二人に一つだけ言った。


「服を選ぶなら、噛まれても歯が通りにくいものにしろ。それだけ気を付けてくれ」


「わかった」


二人はうなずき、服売り場へ向かっていった。


その間、俺は一人で館内を見回ることにした。


通路を徘徊していたゾンビを何体か始末し、ついでに以前買えなかった雑貨を探す。


しばらくすると、二人が買い物を終えて戻ってきた。


さすがアイドルというべきか。


終末世界になっても、その服装はどこか華がある。


「……似合うじゃん」


気の利いた言葉は出なかった。


それでも二人は照れくさそうに笑ってくれた。


服を積み込んだ俺たちは、隣のホームセンターへ向かった。


「少し見てくる。車で待っててくれ」


二人を残し、一人で店内へ入る。


工具売り場を歩いていると、一際目を引くものがあった。


スレッジハンマーとバールだ。


どちらも手に取ると、重さも握り心地もしっくりくる。


「試してみるか」


近くを歩いていたゾンビへ向かった。


まずはバールを振り抜く。


鈍い音とともに頭蓋が砕けた。


思った以上の威力だった。


続いてスレッジハンマーを振り下ろす。


一撃で頭が潰れ、ゾンビはその場に崩れ落ちた。


「……すげぇな」


そう呟いた自分に少し驚く。


こんな状況で、武器を試すことに高揚している。


俺は少しずつ、この世界に順応してしまっているのかもしれない。


店を出ようとしたとき、煙草売り場が目に入った。


自衛隊を辞めてから禁煙していたが、ふと一本吸いたくなった。


火をつけて吸い込む。


久しぶりの煙が肺に染みる。


頭がくらくらする。


ヤニクラだった。


その感覚に身を任せていると、灯油缶が目に入った。


「……試してみるか」


灯油を床へ流し、吸い終えた煙草を放り投げる。


一瞬遅れて炎が床を走った。


オレンジ色の火が勢いよく広がる。


その光景を、俺はただ眺めていた。


綺麗だと思ってしまった。


客観的に見れば、今の俺は狂っているのかもしれない。


炎を背に店を出ると、煙の中から現れた俺を見て、二人は不安そうな顔をしていた。


俺は何も言わず車を走らせた。


しばらくすると、一軒のパチンコ店が見えてきた。


車を止め、二人に声を掛ける。


「景品に食料や水があるはずだ。取ってくる」


店内から食べ物や飲み物を運び出したあと、俺はハンマーを持って再び中へ戻った。


目の前には、昔何度も負けたパチンコ台。


自然と笑みがこぼれた。


「今なら文句はないよな」


思い切りハンマーを振り下ろす。


ガラスが砕け、筐体がひしゃげる。


もう一台。


さらにもう一台。


気が付けば十台近く叩き壊していた。


不思議と胸が軽くなっていた。


昔の鬱憤を晴らしているようだった。


車へ戻ると、エバが心配そうに聞いてきた。


「さっきから大きな音がしてたけど、大丈夫だった?」


「ああ。待たせて悪い」


少し笑って続ける。


「これで少しスッキリした」


二人は顔を見合わせ、苦笑いを浮かべた。


俺は車を走らせる。


こんなことをしている場合じゃない。


本当の目的は、ミナとリオを見つけ出し、故郷へ帰ることだ。


それでも――。


こんな寄り道をしながら進む旅も、悪くないと思ってしまう自分がいた。


俺は少しずつ、この終わった世界に染まっている。


ぜひ、ブックマーク、お気に入り登録お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ