表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末世界で俺は  作者: やまてい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/7

番外編 家

現実味を出すために試行錯誤しながら書いたのですが、合わないところがあるかもしれませんご了承ください


世界が終わる十五日前。


その日、俺は珍しく朝早く起きて、両親と朝食を囲んでいた。


何気なくテレビを眺めていると、ニュースキャスターが深刻そうな表情で原稿を読み上げていた。


「昨夜未明、成田空港で入国した男が突然乗客に噛みつき、傷害を負わせました。男はその後、取り押さえようとした警察官にも噛みつき、公務執行妨害および傷害の疑いで現行犯逮捕されています。噛まれた警察官は病院へ搬送されました。警察は、容疑者が何らかの薬物を使用していた可能性も含め、詳しく調べています。」


俺は「変な事件もあるもんだ」くらいにしか思わず、ニュースを聞き流していた。


だが、親父は箸を止めてテレビを見つめながら言った。


「日本も物騒になったもんだな。」


母さんも心配そうに俺を見る。


「あんた、東京へ行ってもこういう事件に巻き込まれそうになったら、すぐ逃げるのよ。」


俺は黙ってうなずいた。


すると親父が笑いながら言う。


「こいつにそんな度胸あるわけないだろ。」


「……ひどいな。」


思わず口を尖らせたが、反論できなかった。


自分でも、たぶんその通りだと思っていたからだ。


あの時は、誰も知らなかった。


それが世界の終わりの始まりだったことを。



そして終末世界一日目、タツヒデの実家にて


## 番外編 終末世界一日目 タツヒデの実家にて


私は仕事を終え、家へ帰ってきた。


その日は仕事が早く終わり、まだ十四時ごろだったと思う。


暇だったのでラジオをつけ、煙草をふかしながら仕事道具の手入れをしたり、次の仕事で使う材木を整理したりしていた。


するとラジオから臨時ニュースが流れてきた。


「先日、成田空港で傷害事件を起こした男に噛まれ入院していた警察官が、病院内で暴れ、複数の患者に噛みつきました。噛まれた患者も同様の症状を示しており、現在病院は封鎖されています。」


最初は何かの冗談かと思った。


だが、アナウンサーの震えた声だけが妙に耳へ残った。


少し嫌な予感はしたが、その時はまだ他人事だった。


その日の夜。


妻と床に就こうとしていた時、一本の電話が鳴った。


タツヒデだった。


「親父、東京がやばい。すぐニュースを見てくれ。」


それだけ言うと、電話の向こうから慌ただしい物音が聞こえた。


私は急いでテレビをつけた。


そこに映っていたのは、東京上空からの映像だった。


街中を埋め尽くす暴徒。


それを食い止めようとする自衛隊。


炎上する車。


響き渡る銃声。


思わず窓の外を見る。


いつもなら静かな夜道なのに、車が何台も列を作っていた。


「親父。」


電話の向こうでタツヒデが言った。


「やばくなったら道路を大型車で塞いで立てこもれ。それと食料と水をできるだけ買っておいてくれ。」


そう言い残し、電話は切れた。


私たちはその後もしばらくニュースに見入っていた。


気づけば、そのまま眠ってしまっていた。


翌朝。


仕事どころではないと思い、妻と近所のスーパーへ向かった。


店内は人であふれ返っていた。


食料、水、乾電池。


棚はみるみる空になっていく。


中には商品を奪い合い、怒鳴り合っている者までいた。


私たちは必要最低限の物資だけを確保し、急いで家へ戻った。


妻も会社から「しばらく休業する」と連絡があったらしい。


もう元の生活には戻れない。


そう悟った。


私はすぐ友人や仕事仲間へ連絡を入れ、人を集めた。


集まった者たちと協力し、道路には放置されていた大型トラックを横倒しにして封鎖する。


細い抜け道には、仕事で使う木材を利用して何重にも柵を組んだ。


猫一匹通れないほど頑丈なバリケードだった。


作業を続けていると、タツヒデの友人たちがやって来た。


どうやら息子が「親父のところへ行け」と連絡していたらしい。


彼らも作業を手伝ってくれたおかげで、夕方には集落を囲む防衛線が完成した。


人数を数える。


ざっと50人。


私の友人。


仕事仲間。


近所の住民。


そしてタツヒデの友人たち。


守るには十分な人数だった。


だが、安心はできない。


食料はいずれ尽きる。


その不安は誰もが抱えていた。


それでも、その日は完成した集落を祝い、ささやかな乾杯をした。


「これでしばらくは大丈夫だ。」


誰かがそう言うと、皆が笑った。


その笑顔が、本心からのものだったのか、自分を安心させるためだったのかは分からない。


四日後。


町から電気が消えた。


夜は完全な闇に包まれた。


そして、私たちの町にも奴らが現れ始めた。


窓から様子をうかがう。


ゆっくりと歩く人影。


だが、その姿は人間ではなかった。


顔は血だらけで、皮膚は腐り落ち、獣のような声を上げている。


私は確信した。


もう、この世界は終わったのだと。


それでも私は決めた。


タツヒデと、もう一人の息子が帰ってくるその日まで。


何があっても、この集落を守り抜くと。


ぜひ、ブックマーク、お気に入り登録お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ