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終末世界で俺は  作者: やまてい


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8/8

探し物2

現実味を出すために試行錯誤しながら書いたのですが、合わないところがあるかもしれませんご了承ください


学校の中は、ゾンビたちの唸り声が至る所から響いていた。


鼻を突く腐臭。床に散らばる肉片。壁や床にこびりついた返り血。


正面玄関を見ただけで、思わず身震いするほどの地獄だった。


カリンとエバも、その光景を目の当たりにした瞬間、吐き気をこらえるように口元を押さえていた。


俺たちは教室を一つずつ探すことにした。


「もう日が落ちる。急いで探そう」


二人は無言でうなずく。


教室の中はどこも悲惨だった。


机は倒れ、血痕が飛び散り、食い荒らされた死体が転がっている。


だが、ミナとリオにつながる手がかりは何一つ見つからない。


焦りを感じながら廊下を進んでいると、用務員室を見つけた。


そこだけは比較的きれいなままで、ドアも頑丈そうだった。


「二人はここで待機してくれ。鍵をかけて、絶対に開けるな。眠くなったら寝ててもいい」


そう言うと、カリンが不安そうに口を開いた。


「一人じゃ危険だよ……」


「暗くなってきた。二人を守りながら探索する余裕はない」


少し強い口調になってしまった。


カリンはむっとした表情を浮かべたが、それ以上は何も言わなかった。


「俺が戻ったら、三回、少し間を空けて一回、それから二回ノックする。合図が違ったら絶対に開けるな」


二人は真剣な表情でうなずき、部屋の鍵を閉めた。


俺は一度深呼吸をし、煙草に火をつける。


紫煙を吐き出して気持ちを落ち着かせると、一人で探索を再開した。


何部屋か回ったが、目ぼしいものはない。


見つかったのは、避難してきた人が落としたらしい懐中電灯、乾電池、防災用の保存食くらいだった。


腹も減ってきた。


拾った保存食をかじりながら廊下を歩いていると、二階へ続く階段が目に入った。


俺は警戒しながら階段を上がり、二階の探索を始める。


教室を一つずつのぞいて回ったが、どこも一階と変わらない。


目ぼしいものは何もない。


だが、職員室、保健室、理科室だけは違っていた。


まず職員室。


避難が突然だったのだろう。机の上には飲みかけのインスタントコーヒーや書類が散乱したままになっていた。


俺は棚にあったインスタントコーヒーを見つけ、適当なマグカップに粉を入れる。ペットボトルの水を注ぎ、火も使わずにかき混ぜた。


味なんてひどいものだったが、それでも久しぶりのコーヒーは妙にうまかった。


煙草に火をつけ、一服する。


職員室で煙草を吸うなんて、昭和の教師にでもなった気分だ。


こんな世界じゃなければ、真っ先に怒鳴られていただろう。


少しだけ笑みがこぼれた。


保健室では、救急箱の中にガーゼや包帯、消毒液が残されていた。


俺は使えそうなものだけをリュックへ詰め込む。


最後に理科室へ入る。


棚にはアルコールランプやビーカーが整然と並んでいた。


アルコールランプは後々役に立ちそうだったが、今は荷物になる。


「帰りに回収すればいいか」


そう独り言を漏らし、俺は理科室を後にした。


二階の捜索を終えると三階へ向かった


三階へ続く階段を上っていると、窓の向こうに月が見えた。


雲一つない夜空に浮かぶ満月は、この終わった世界には似つかわしくないほどきれいだった。


そういえば、最近は空を見上げることなんてなかったな。


生き延びることばかり考えて、周りを見る余裕なんてなかった。


ほんの数秒だけ立ち止まり、俺はその月を眺めた。


「こんな世界になっても、月だけは変わらないんだな」


小さくつぶやき、煙草をもみ消すと、俺は三階の探索へと足を踏み出した。


階段を一段ずつ上がりながら耳を澄ます。


静かだった。


一階や二階のような唸り声は聞こえない。


三階は他の階に比べて荒らされた形跡が少なかった。


避難民はここまで逃げ切れなかったのか、それとも別の場所へ誘導されたのか。


教室を順番に見て回るが、どこも机や椅子が整然と並んだままだ。


目ぼしい物資も、生存者の姿もない。


三階の探索を終えた俺は、そのまま屋上へ上がった。


腕時計に目をやると、時刻はもう二十一時になろうとしている。


屋上から裏の駐車場を見渡したが、動く影はない。


車も人影もなく、静まり返っていた。


「……ここには何もなさそうだな」


俺はそうつぶやくと、屋上を後にした。


残るは校舎に隣接する体育館だけだ。


階段を駆け下り、一階へ戻る。


その頃には、どこからともなく低いうなり声がまた耳に届き始めていた。


唸り声が次第に大きくなっていく。


音は体育館の方から聞こえる。


俺は物陰からそっと中をのぞいた。


思わず息をのむ。


体育館には、およそ百体はいるであろうゾンビがひしめき合っていた。


「……やばいな」


本能が告げる。


あれは相手にしちゃいけない。


俺は音を立てないよう静かに後退した。


その瞬間だった。


床を這っていたゾンビが、俺の足首をつかんだ。


「っ!」


反射的に振り払った拍子に、大きな物音が廊下に響いた。


体育館の唸り声が、一瞬止まる。


次の瞬間――


百を超える血走った目が、一斉にこちらを向いた。


背筋を冷たい汗が流れる。


逃げても追いつかれる。


そう悟った俺は、半ばやけになって叫んだ。


「どこからでも来い! 近づく奴から肉片にしてやる!!」


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