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終末世界で俺は  作者: やまてい


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12/16

教訓

現実味を出すために試行錯誤しながら書いたのですが、合わないところがあるかもしれませんご了承ください


一通り校舎を回り、二人に探索の仕方を教えたところで、俺たちはまた十分ほど休憩することにした。


三人で壁にもたれながら休んでいると、カリンがふと思い出したように尋ねてきた。


「そういえば、こうなる前は何してたの?」


「俺か?」


「うん」


俺は少し考えてから答えた。


「まあ、仕事はしてなかったが、狩りの仕方を教わったり、スカウトとかクリアリングとか……」


二人が不思議そうな顔をする。


「まあ、言っても分からないだろうけど。そんな感じだ」


「ふーん……」


二人はそれ以上深く聞くこともなく、揃って頷いた。


まだ、調べていない場所が残っている。


「……休憩終わりだ。もう少し探すぞ」


俺たちは再び立ち上がった。

俺たちは屋上へ上がった。


周囲を見渡してみるが、特に変わったものは見当たらない。


「やっぱり、何もなさそうだな」


「そうね……」


カリンが答えたが、その表情はどこか曇っていた。


「ん?」


カリンはふと、校舎の下にある駐車場へ目を向けていた。


そこには、一台の車が停まっていた。


「……あれ、二人が乗ってた車じゃない?」


「そうかも」とエバが答えた


俺たちは急いで駐車場へ降り、車を確認する。


近くまで行ってよく見てみると、間違いないみたいだ。


二人が乗っていた車だったらしい。


「ってことは……二人はここに一回来ていたっていうことか」


「そうみたい」


「でも、体育館の中にいたゾンビの中には二人はいなかった」


俺は車と校舎を交互に見ながら考える。


「……その前に逃げたんじゃないか?」


「だったら、まだどこかにいる可能性があるってこと?」


「そうなるな」


そのとき、エバが口を開いた。


「一回、体育館も確認しようよ」


「いや、あそこは行かないほうがいい」


俺は即座に答えた。

俺が答えるより先に、二人は体育館へ向かってしまった。


「おい、待てって……」


二人は体育館のドアを開けた。


「……なにこれ」


二人は目の前の光景に言葉を失い、一度顔を見合わせてから俺のほうを見る。


「あなた……これ、一人でやったの?」


俺は嫌そうな顔をしながら答えた。


「まあ、そうなんだけど……そんなことより早く行こう。臭くてたまらない」


二人はそれでも念のため、俺が倒したゾンビの顔を一体ずつ確認していった。


しばらくして、リオが顔を上げる。


「……ほんとにいないみたい」


「まあ、ここに来てたってことは分かったんだ。もしかしたら、まだ近くにいるかもしれない」


「そうね」


俺は体育館を見回した。


「……あ」


「なに?」


「一つ思い出した」


「なに?」


「体育館の倉庫、開けてなかった」


二人が呆れたような顔をする。


「全部見たんじゃなかったの?」


「こいつらと戦ってるうちに、そのことを忘れてた」


「……もう」


二人は少し呆れた顔をしながらも、倉庫の確認を始めた。


俺たちは右端の倉庫から順番に扉を開けていく。


「一つ目……特になし」


次の扉へ向かう。


「二つ目……ダメだ」


そして三つ目の前で、俺は扉を確認した。


「くっそ、内側から鍵が掛かってる」


扉を軽く揺らしてみる。


「まあ木製だし、ぶっ壊すか」


「待っててくれ。車からハンマー持ってくる」


俺は一度体育館を出て、車からハンマーを持って戻ってきた。


「よし扉ごとぶっ壊すか」


ガンッ!


鍵の部分をぶったたいていたらドアより先に鍵が壊れた


俺は扉を開ける。


「一つ目はダメ」


「二つ目も……何もない」


残るのは、あと一つ。


「さあ……三度目の正直だ」


ハンマーを担ぎ、扉を開けた。

扉を開けた瞬間、俺たちは言葉を失った。


そこには、一人の少女がいた。


「……ミナじゃないか!」


俺たちが探していた一人だった。


カリンとエバも驚いたように駆け寄る。


「ミナ!」


「私たち! カリンとエバよ!」


だが、ミナはゆっくりと顔を上げるだけだった。


「……誰?」


その声はか細く、明らかにやつれていた。


「私たちだよ!」


「……水……水を……」


俺はすぐに持っていた水を差し出した。


「ゆっくり飲め」


「……ありがとう」


ミナは震える手で水を受け取り、少しずつ口に含んだ。


「とりあえず、用務員室で休ませよう」


俺はミナを背負い、体育館から用務員室まで運んだ。


用務員室に着くと、ミナに少しだけ食べ物を食べさせ、水も少しずつ飲ませた。


やがてミナは力尽きたように目を閉じ、そのまま眠ってしまった。


「……あとは頼む」


俺は二人に看病を任せ、車へ向かった。


車に戻ると、煙草に火をつける。


煙を吐きながら、さっきのミナの姿を思い出す。


「……間に合ってよかったな」


一本吸い終えると、俺は用務員室へ戻った。


それから一時間ほど経った頃――


「……ん」


ミナがゆっくりと目を開けた。

「ミナ!」


「カリン……! 無事だったの?」


ミナは少し泣き腫らした目で、二人を見つめた。


「ええ」


「エバも!」


「無事でよかった……」


三人は互いの無事を確かめ合い、しばらくの間、安堵の表情を浮かべていた。


やがてミナが俺のほうを見る。


「……この人は?」


「タツヒデさんよ。私たちを助けてくれたの。そのあと、ミナたちを探すのにも協力してもらってる」


そう紹介され、俺は少し照れ臭くなった。


一応、挨拶くらいしておこうと思った。


「……どうも」


それだけ言うと、俺は少し離れた場所に腰を下ろした。


それから俺たちは、これまで何があったのかを話し合った。


一通り話を聞き終えると、ミナが口を開いた。


「そう……大変だったわね」


続けてカリンが尋ねる。


「そっちはどうしてたの?」


「私たちはここに着いたあと、避難指示に従って体育館で待機してたの。でも、自衛隊が押し負けたあと、ここにもあいつらの群れが来て……」


「それで?」


「体育館にあいつらがなだれ込んできて、私とリオは倉庫に隠れたの」


ミナは一度言葉を止めた。


「でも、あいつらがずっと体育館から動かなくて……。窓から出ようともしたんだけど……」


「構造的に倉庫は少し埋まってるから、外には出られなかったってことか」


「そうよ」


ミナは頷いた。


「それで、一日くらい経ったあと……リオが、外の様子を見るために倉庫から出たの」


「一人で?」


「うん。できるだけ音を立てないようにしてた。でも……見つかっちゃった」


「それで、倉庫に戻れなくなったのか」


「そう。それでもリオは、外側から窓まで回ってきたの。私も窓から手を伸ばして、引き上げようとした」


ミナの声が少し震える。


「でも……あと少しってところで、誰かにさらわれたの」


「……誰かだって?」


俺は思わず聞き返した。


「うん。姿は見てない。でも、リオが何か話してて……そのあと、大きな声で叫んでた」


「叫んでた?」


「その直後に、車の音が聞こえて……そのまま遠ざかっていったの」


俺は黙り込んだ。


なぜ、そいつはリオを連れ去った?


何の目的で?


俺には、それがどうしても理解できなかった。


「避難してなかった別の生存者グループが、まだ近くにいたってことか……」


俺が呟くと、エバが答えた。


「私たちがその人たちと遭遇しなかったのは、幸いだったのかもね」


「……一回、殺されかけたけどね」


エバが冗談交じりに言う。


「その話はしないで」


カリンがすぐに遮った。


その表情には、思い出したくないという気持ちがはっきりと出ていた。


部屋の中に、重い沈黙が落ちた。


……リオを連れ去った連中。


そして、俺が殺したあのやせこけた二人、


もしかすると、この二つは――同じ連中なのかもしれない。


あの日から、急激にこの世界の勢力図のようなものができ始めているのかもしれない。


俺は頭の中で、これまでの出来事を整理していく。


ゾンビだけじゃない。


避難場所を確保している生存者。


武装して動いている連中。


そして、リオを連れ去った奴ら。


これからは、そういう連中の存在も考えて動くしかない。


だが――


真実《リベレーション》を知らない以上、何とも言えんな。


「まあ、なんだ」


俺は考えるのをやめ、二人を見る。


「とりあえず今日はここで休もう。一日休めば、ミナも少しは動けるようになるだろ」


「うん」


ミナは小さく頷いた。


「早くリオも見つけて、グループのみんなと一緒になりたいし」とカリンが


「そうだな」


そのとき、ミナがふと俺を見る。


「ん? タツヒデさんって、私たちがアイドルだってこと知ってるの?」


「そうよ。私たちの復刻ライブも見に来てくれたんだって」


「へぇ……」


俺はまた少し照れ臭くなった。


するとミナが、なかなか答えにくい質問をぶつけてきた。


「じゃあ、私たちの中では誰が推しだったの?」


「……いや、ただのファンの一人だよ」


俺は少し考えてから、


「ディープスロートとでも名乗っておこう」


と、意味の分からない冗談を口にした。


当然、二人には通じなかった。


「……」


「……」


気まずい沈黙が流れる。


「……まあ、とにかく」


エバが微妙な空気を誤魔化すように口を挟んだ。


「明日、日が昇ってから動きましょう」


「そうだな」


俺は恥ずかしくなり、立ち上がった。


「俺は少し食べ物を調達してくる」


そう言って用務員室を後にした。


車に乗り込み、近くのホームセンターへ向かう。


店内からガスコンロと鍋、それにカップ麺をいくつか調達した。


荷物を車に積み込む。


「……ふぅ」


俺はその場に座り込み、煙草を取り出した。


火をつけ、煙を吐く。


「明日からまた忙しくなりそうだ」と愚痴をこぼしながら俺は一本を吸い終えた。









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