詩と歌の音―7―
「はいよー、タッチ交代!
歌音ちゃん、診察の時間ですよー」
「体温等、異常ありません。状態も落ち着いています」
絵本を数冊広げて小さな声で紗江子と話す歌音に、恭一郎は晴れ晴れとした声をかけた。
呼び出しのあった患者に付いて二時間は経っている。詩音はもう仕事へ行ってしまったようだ。
紗江子からカルテを受け取り、報告に軽く頷きながら歌音の前に腰掛ける。
「調子はどう?」
「良い…と、思います…」
「うんうん。いきなりで吃驚したけど、大分回復してくれて良かった。
あ、それ、可愛いねぇ」
「あ…はい…」
三日月のネックレスを指して笑う恭一郎に、歌音も照れくさそうな微笑を返した。
ただ浮かんでいるだけではない、感情を伴ったそれにつられて恭一郎も微笑む。
「詩音に貰ったの?」
「はい…。
四年、くらい前に…一度だけ、欲しいって言った事があって…」
特に高価なものではなかったが、露天商で売っていたものだから、同じものを見つけるのは苦労しただろう。
詩音は歌音にとって太陽のような存在で、歌音は自分を月のようなものだと思っている。だから、三日月に寄り添う小さな太陽が象られた珍しい形のこれに惹かれた。
「優しいね、詩音は」
「はい…」
「詩音の事、好き?」
「え…」
「詩音は、君の事好きだよ。
妹っていう簡単な括りじゃ整理できないくらい、真剣に君の事を愛してる」
かあっと、歌音の白い頬が赤くなる。
慌てて周囲を見渡すが、室内には恭一郎と自分以外の人影はない。
突然言い当てられた常識外れの感情と関係に、歌音はうろうろと視線を彷徨わせた。
「詩音にも言ったけど、俺は君達の関係を異常だとは思わない。
人間が勝手に作った法律と、植えつけられた道徳観念に感情まで奪われる筋合いは無いでしょ?」
俺は味方だ、という意味合いを強く含めた口調で言った。
歌音はぎゅうと手を握り締め、うろうろと視線を彷徨わせながら俯いている。
かなりの沈黙の後、微かに震える唇を漸く開いた。
「…でも、世間は、許してくれません…。
私が、どんなに、シノを愛しても…結婚なんて、出来ないし」
「女の子だねぇ、歌音は」
「…え?」
「いやね、憧れてるのかなぁと思ってさ。ウェディングドレスとか。
じゃなくても、結婚は確かに一番手っ取り早い独占の形だしね。
何かあったらまず配偶者に連絡行くし、時間だって他の誰よりも長く共有していられる。
でもね、一枚の紙とそれに纏わりつく法律と、君達の世界って、そんなに狭いもの?」
恭一郎は穏やかな目をしている。そこに嘘はない。
けれど、その目に言いようのない焦燥を感じ、歌音は薄く唇を開いたまま言葉を呑んだ。
こんなシュミレーションはしていない。
ただ問いかけに答え、正常であるふりをしていれば良いものだと思っていたのに。
私達の世界はどんなものだった…?
言葉を呑んだまま自問してみる。
終わりの見えない白黒の、灰色にも見えるだだっ広いステージを歩き続けてきた。
その途中で景色や季節を覚え、感情を拾い集め、手に入れたものをパッチワークのように継ぎ足して継ぎ足して、歌音と詩音が出来上がった。
そこには法律も道徳も倫理もなく、ただ二人のルールのみが存在している。
『手を離さない』
それが、二人のルールだ。
繋いだまま、絶対に離さない。母胎にいた頃からずっと寄り添っていた。
世の中に引き摺り出される時、触れていた身体と手が離れ――だから、もう二度と離さない。
私達の世界には、二人だけだ。
二人だけのはずだった。
「歌音?」
「好き…好きです、好きなの!駄目って解ってる!
お母さんは私達を気味悪いって言った!
お父さんになった人も気味悪いって言った!!
お前達は零人に似すぎてるから気持ち悪いって!でも私はシノが大好きなの!
シノが誰かに奪られたら…っ、私、だから!パパがっ、カノはシノで、シノはカノで、二人はパパだって…っ」
「歌音?歌音!」
膨大な記憶と感情の群が、決壊して押し寄せてくる。
その波に飲み込まれ、歌音は立ち上がって頭を抱えた。
これは、怖いのだろうか。髪と指の向こうに見えるパパは、優しい顔で笑っている。
「歌音!!」
支離滅裂に叫ぶ歌音の手を取り、恭一郎は怒声にも似た声で呼び掛けた。
歌音は縋る対象を求め、怯え竦んだような目を向ける。
「パパは私達を愛してたの…?
ママへの復讐に使っただけなの!?
詩音は私を愛してくれてるの?!私がっ、こんなに、愛してるのに……っ。
シノが、いないと、私は歌音じゃなくなるのに…っ」
白衣の胸倉を掴み、歌音は泣き叫んだ。
恐怖ではなく、不安だ。絶望に近い不安を感じ、歌音は泣きじゃくりながら恭一郎に縋りついた。
誰かに助けてもらいたい。詩音に、大丈夫だと微笑って言ってもらいたい。
結婚が、世の中を渡る上での合理的で合法的な手段である事も知っている。
だから、兄妹であるこの血が憎いのだ。そっくりな顔も、仕草も、片割れの思考が判る能力も。
世渡りが上手で道具を巧みに扱う詩音の心を、この手から誰かに奪われたら。
誰のものでもない自分だけの、たった一つのものを。
確かに、暮野零人の日記をそのまま双子に見せるわけにはいかないだろう。
二人が完全に落ち着くのは、一年後か十年後か、もしかしたら一生見せずに終わるかもしれない。
重度の鬱病にかかっていたと思われる暮野零人の日記は、確かに家族への愛情が溢れていた。
けれどその途中から、特に妻の不倫を知ってからは愛憎が入り乱れ、今の歌音のように支離滅裂で、日本人夫婦に引き取られるまでの孤児時代のトラウマや孤独感が目立ち始めるようになった。
『詩音と歌音は僕の生き写しだから、圭子は二人を見る度に怖ろしくて堪らなくなるだろう』
そんな一文が占めるようにもなっていた。
元々躁鬱の激しい性格が感情のせめぎあいに耐え切れず、自殺という道を選んだのだろう。
喉と身体を痙攣させて咽ぶ歌音の背を落ち着けるように軽く叩きながら、恭一郎は軽く息を吐いた。
感情も記憶も、その殆どが歌音の元へ還って来た。
依存し合って生きてきたのだろう二人が、その関係を変えられるかと問われれば。
その可能性は限りなくゼロに近い。
「し・の・ん〜!!」
「うわっ、しゃ、社長…今日はまた物凄い恰好ですね…」
「まあね。今朝見た夢がキャンディとピクニックに出掛けるって夢だったから。
どう?全身キャンディワールド風ファッションで決めてみたの。っておいコラ」
バシッという音が聞こえてきそうなウィンクに軽く笑いつつ、撮影用の衣装に着替えた詩音は溜息を吐いた途端、口淋しく咥えていた煙草をバシンと叩き落とされる。
「二年早いっつーの。あんたまだ止めてなかったの?
知名度あるって、好い加減自覚なさい」
「ふあーい」
「全く。で?部屋決めたの?卒業前に出るんでしょ、あの家」
「大体は決まってます。
ただほら、未成年だから親の了承とか得なきゃいけないでしょ。それが面倒でっていうか嫌で」
「あら、保証人だったらアタシなってあげるわよ?」
「マジっすか?やっりー」
「そのかわりぃ」
バシバシバシと瞬いて、ジェーンはにんまりと笑う。
何か企んでいると分かり易過ぎるほど顔に出して笑まれ、詩音はおず、と身を引いた。
「歌音、復帰させてよぉ〜」
「……だから、まだ退院の目処も経ってませんってば」
「うぅん解ってるわよぉ!でも退院したら一緒に住むんでしょ?
あんな家に置いとけるわけないし。
それにぃ、歌音が復帰しても良いって言ってくれたらで良いから」
「はあ…まあ、あいつがやりたいってんなら、良いですけど、別に…」
常軌を逸しているジェーンだけが、二人の家庭の内情と関係を知っている。
男でもなく女でもないと言い張る彼は、二人の強力な味方だ。
幼い頃から面倒を見てもらっていたため、歌音が自分以外で唯一懐いている相手でもある。
「はーい、シオン君、行けるー?」
「あ、今行きますー!」
「ま、軽く考えといてネ、詩音」
「はいはい言っときます。ていうか見舞い来て下さいよ。
カノ、大分回復したから。社長来たら喜びますよ!」
手を振ってセットへ走って行く詩音に、ジェーンは「イヤ〜ン」と気持ちの悪い声を上げて身体をくねらせた。
周囲の人間があまりの気味悪さにスススと遠ざかったが、彼は何の反応も見せず、巨体に似合わぬ軽やかなスキップでスタジオを後にした。
日本人離れした双子の噂話が持ち上がったのは、十二年も前の事だ。
身体に不釣合いな大きなランドセルを背負って、いつも手を繋いで登下校しているらしい。
先見の目というよりは本能的な何かを感じ取ったジェーンは、「噂ですよ?!」と制止する秘書を無視して現場へ急行した。
目撃情報の多い箇所を一週間張り込み続けて、一度警察に通報された事もある。
が、双子を目の当たりにしたジェーンは、諦めないで良かったとガッツポーズを取った。
くりくりと大きくそっくりな瞳は灰色で、髪はさらさら直毛の薄い茶髪。白い肌もさる事ながら、幼いながらに二人の顔立ちは完成された綺麗なものだった。
そっくり同じに綺麗な顔が二つあるのだから、ちょっとした畏怖めいたものも感じたが。
母親も父親も二人には似ておらず、あろう事か自分の子供だというのに大した興味も無いようだった。
それから少しして、彼らの置かれた状況を知ったのだが。
事情を知ってから数日後、幼い歌音は首から垂らした巾着袋を大事そうに開き、実父の写真を見せてくれた。
あの時の嬉しそうで幸せそうな顔と言ったら、十二年経った今でも忘れられない。
優雅な仕草でワイングラスを傾け、当時の歌音の笑顔を思い出したジェーンはふと微笑った。
歌音が入院してしまってから、詩音は極端に仕事を減らしている。
専属モデルをしている雑誌二社と、あとはどうしても断り切れなかった依頼主の仕事のみ。
それ以外は高校生らしいバイトを二つ掛け持ち、空いている時間には妹の病院へ。
よく身体を壊さなかったものだ。
「お、お待たせしました…っていうか、ほんと目立ちますよその恰好」
「あらぁ、意外に早かったのね。恭ちゃん」
「まあ、ウチは暇なエリアですからね。
で、今日はどうしたんです?あ、生一つ」
隠れ家風のバー、『狸の居眠り』の一席に訪れた待ち人に、ジェーンはひらひらと手を振った。
ド派手なピンクロリータで身を包む彼に、恭一郎は度肝を抜かれながらも座る。
感情を手離した歌音を恭一郎に紹介したのは、双子の両親ではなくジェーンだ。
「経過をあんたの口から聞きたくてね。
大分戻ったって事は、詩音から聞いたわ」
「ええ、経過は良好ですよ。一昨日からね。
でも何分、ゆっくり取り戻すつもりだった記憶を急激に思い出しちゃったもんだから、多少錯乱気味ではありますけど…」
「あの子、本当に大丈夫なの?」
「歌音は…、彼女自身が思っているより、我々が思っているよりもずっと強い子ですよ。
個人的に心配なのは、どっちかっていうと詩音の方で」
「そうねぇ…小さい頃から固執してたから。
それに男だから、余計に重いし一途だし…依存度も強いんでしょうねぇ」
ふーっと紫煙を吐き出し、ワイングラスを傾ける。
運ばれてきた生ビールに口をつけ、恭一郎はうんうんと頷いた。
「恭ちゃんは病気の一環としてみてるの?」
「何をです?」
「とぼけちゃって。知ってるんでしょ?あの子達の、関係。
詩音から聞いたんだから」
ふふ、と妖艶に微笑うジェーンに気圧されながら、恭一郎は「何だよー」と唇を尖らせた。
四年かかって漸く、ほんの僅かなものでも信頼関係を築けたと思っていたのに、ジェーンには包み隠さず報告しているのかと思うと何となく淋しくなる。きっと自分を取り戻した歌音の懐きようも相当なものだろう。
見舞いには絶対来るな…という怪電波を発しながら、恭一郎は頷いた。
「聞きましたよ。想い合ってる事も、身体の関係がある事も」
「で?医者としてどう思うの?」
「難しいところですよね。人間の感情ってもんは。
個人が当然だと思ってたらそれは異常じゃなくて正常なんだし。
医者じゃない意見だったら、俺は別に良いんじゃないかと思ってますしね。
医者としてって言われたら…まあ、互いに依存し合ってるから、どっちかがいなくなった時にヤバイんじゃないかなぁ…と、思ってはいます」
「何よ。相変わらずハッキリしない男ねぇ…」
「う…じゃ、じゃあ山梨さんはどう思うんです?
二人が小さい頃から親同然に面倒見てたんでしょ?」
「そうねぇ…」
ふう、と溜息と共に紫煙を吐き出し、ジェーンは目を伏せた。長い付け睫が間接照明に照らされて濃い陰を落としている。
呟いて以降、黙々としている彼に、恭一郎はやきもきしながらビールを飲んだ。
「アタシは、普通に恋愛してきたんだと思うわよ。
詩音が歌音に恋してますビームを向け始めたのは八歳くらいかしら。歌音はその二年後くらい。
元々ただのお兄ちゃんにしてはかなり過保護だったし、甘やかしてたとは思うけど…その位から詩音の目は完全に兄って感じのものじゃなかったわね」
短くなった煙草を灰皿に押しつけて潰す。
会った当初から仲の良い兄妹だった。どうやら不審人物として学校に触れが回っていたらしい自分から歌音を守ろうと、果敢にも飛び蹴りを食らわしたような子供だ。
きっと自我が芽生えた頃から、歌音が可愛くて仕方なかったのだろう。
「詩音から直接、歌音を好きになっちゃったって聞いたのは、十三歳くらいかしらね。
セックスしたって、いきなり告白されたのよアタシ。
どうしてしたの?って訊いたら、何て言ったと思う?」
「へ?さ、さあ…」
「淋しくって堪らなかった、って言ったのよ。
それと、歌音と他人だって漸く判って嬉しかったって」
「他人?」
「そ。他人。同じ顔で同じ体型でおんなじような名前で。
二人揃って時々判らなくなるんだそうよ。どっちがどっちなんだろうって。
僕は詩音?それとも歌音?私は歌音?それとも詩音?
セックスをして初めて判ったそうよ。遺伝子は同じだけど、詩音と歌音は別人。それが解って、淋しくなくなった。やっぱり僕の世界には歌音しかいないけど、それで十分だ…ってね」
物思いに耽るジェーンの溜息を聞きながら、恭一郎はむぅっと黙り込む。
仮定を一つ思いつき、煙草に火をつけるジェーンに目をやった。
「あの二人、小さい頃同じ恰好をしてたりしてました?」
「みたいね。施設に預けられた頃は髪型も服も同じだったみたいだから。
混乱を防ぐために歌音が髪を伸ばすようになったって詩音が言ってたわ」
「子供特有の悪戯をしたり…とか」
「例えば?」
大人とコミュニケーションを取れるようになった子供は、必ずといって良いほど悪戯という遊びを覚える。
自分に瓜二つの外見を持つ兄弟がいたとしたら何をしただろうと考え、
「わざと服を入れ替えたりとか、傍目にどっちがどっちか判んなくなるような悪戯」
そう言うと、ジェーンはパチパチと瞬いた後ニッと目を細めた。
「さすがね。その遊び、かなりハマってたみたいよ」
「…やっぱねぇ。俺でもやっちゃいますよ、多分」
「それがどうかしたの?」
子供が考えたただの悪戯、遊びだ。
普通の、極一般的な家庭環境だったなら、それで済んだだろう。
「自己暗示ですよ。彼らにとって心を許せるのは片割れだけだったでしょう?
無意識に自分は歌音だ詩音だって思い込みながら変装して、大人をからかっていたはずです。
子供のただの遊びが、心の中では暗示になってしまっていて、成長しても時々自分が何者なのか判らなくなる。恐らくそういう状態でしょう。
それに恋心が重なって、他人であれば良いのにという願望が生まれる。
だから二人は別人という言葉ではなく、他人という言葉を使ったんです」
恭一郎の説明に、ジェーンは「ああ…」と納得した面持ちで何度も小さく頷いた。
普段ヘラヘラしているために医者である事を疑ってしまうが、話を聞いただけで納得できる推理を言ってのけるとは。
「確かに、他人って言葉はおかしいわね。別人ならわかるけど」
「そうです。血を分けた兄妹で他人という言葉は、本来ならおかしいはずです。
でも彼らの場合、そこに許されない感情があったから、その言葉に固執したんでしょう」
そっくり同じ顔で、違いは髪を結っているかズボンを履いているか、それだけ。
いつも手を繋いでいて、申し合わせたように不意に目を合わせて笑い合う。
二人が子供服のモデルを始めた頃、歌音の相手役が熱を出し、急遽詩音が女の子用の服を着る事になった。
『あのね、私達を見分けられたのはね』
『パパだけだったんだよ。ママは間違えたのに』
『パパは私達が騙してもね』
『パパは騙されなかったんだよ』
歌音と同じような髪形のウィッグをつけ色違いの服を着たその姿は、撮影現場のスタッフ全員を混乱に陥らせるほど全く同じで、「ああーっ、どっちがカノトちゃんだっけ?!」と慌てふためくメイクスタッフに、二人はそう言った。
よく似た声で、まるで打ち合わせでもしたかのようにスラスラと。
撮影が無事終わり、双子を着替えさせようとジェーンが近づくと、二人はスタジオの隅で向かい合って座り込み、腕を伸ばしてぴたりと手の平を合わせていた。
鏡の中の世界、もしくは絵の中の幻想。
二人は同じ瞳でじっと見つめ合い、やはり申し合わせたように同時に唇を開いた。
『歌音…?』
『詩音…?』
魅入られたように、食い入るように、じっと互いの眼を見つめ――ぽつりと、囁いた。
服は色違いだったのに。
よく見れば地毛とウィッグの見分けなどつくのに。
その時、ジェーンはどちらがどちらだったのか、全く判らなかった。
「山梨さん?」
頬杖をつくジェーンは、テーブルに視線を落としたまま暫く呼び掛けに答えなかった。
煙草のロゴまでジワジワと燃え始め、恭一郎は慌ててジェーンの腕を揺する。
振動にはっと目を開け、ジェーンは「ホホホ」と笑顔を取り繕いながら煙草を消した。
『ねえ、どっちがどっち?』
悪戯に引っかかる大人をからかって遊ぶ。
どっちがどっちか、本当に判っていなかったのは、自分達だと知らないままに。




