第五十七器 それぞれの道
「…ここは」
とある一室のベッドで目を覚ます夜詩。
「目覚めたか」
「レイ…レイが俺を助けてくれたのか」
「いや、確かに運んで来たのは俺だがお前の怪我は治療していない」
「キングリーを殴り飛ばして…それから意識が薄れて…そうだ! キングリーと兵器は!?」
「跡形もなく消えていた。
何か見なかったか?」
「羽根…白い羽根を見た気がする」
「羽根…か。
とにかく今は体を休めろ。
傷が癒えたとは言っても疲労は蓄積されているからな」
「刀磨達は!?」
「仲間に聞け」
そう言って出ていくレイ。
「夜詩!」
「夜詩お兄ちゃん!」
レイと入れ替わるように游とアリスが部屋に入ってきた。
「刀磨は?」
「ブラッド先生が助けてくれたわ」
「良かった」
「刀磨はまだ完治してないのに修行に行くって言い出すから大変だったんだよ」
「あいつらしいな」
二人が何か聞きたそうに夜詩を見つめる。
「どうした?」
「うん…あのね。
キングリーと戦った時の力って何だったのかなって」
「ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ恐かった」
「そうか。
実は俺にも分からないんだよ。
何をしてでもみんなを守りたいって思ったら、体の中が熱くなってあんな姿に」
「夜詩は夜詩だよね?」
「ああ、俺は俺だよ」
「良かったぁ。
あ、お兄ちゃんお腹空いたでしょ?
何か持ってきてあげる!」
「待ってアリス、私も行くから」
二人は楽しそうに部屋を出ていく。
「あれは本当に俺の力だったのか?
今の俺じゃまだ分からない…もっと力の使い方を覚えないと」
それから一ヶ月が過ぎ、刀磨は退院した。
「刀磨も退院したし、アメリカに戻るか」
「俺は修行に行く」
「言うと思ったわ。
連絡取れるようにしておいてね」
「無理だな」
「ちょっと!」
一人去っていく刀磨。
「じゃあ俺も修行に行くかな」
「私とアリスも修行に行くわ。
もっと強くならないと」
「誰が来ても簡単に倒せるようになってみせるからね!」
「頼もしいな。
二人とも元気で!」
「夜詩もね」
「じゃあね!」
こうして四人はバラバラに旅立っていく。
「旦那、あの四人をあの人に会わせなくていいんですか?」
「まだその段階じゃない。
奴等が動き出すまでにどこまで強くなっているか。
なぜ、半身のあいつを助けたのかも気になるしな」
「天使ですね。
あれって何なんですか?
一匹ずつでもめちゃくちゃ強いのに、束ねてる天使はキングリーよりも強いなんて」
「あれは造り出された生き物だ。
創造の器をそこまで扱えるとは、俺も少し鍛えるか」
「旦那が鍛えたら始祖すら余裕ですよ!」
「どうだろうな。
だが必ず父との願いを叶える…その前に創造の器を完全な物にしなければいけない。
待っていろ…ゼウス」
空を見つめレイとジパーは光りに包まれ姿を消した。




