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幻想の器  作者: 夢物語
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第五十四器 王の絶対の力

「この状態で器装きそうを使われたか」



「今までエナとは比べ物にならないわ…」



夜詩よしお兄ちゃん…」



「ここで逃げる訳にはいかない…はあぁぁぁぁ!」



エナを高めキングリーへ向かっていく夜詩よし



「…頭が高い」



槍を軽くキングリー振り下ろすと夜詩よしを中心に地面が窪んでいく。



「ぐ…体が…」



「貴様には苦しみながらの死を与えよう」



地面に倒れこむ夜詩よしにゆっくり近付くキングリー。



「ぐぐ…」



「己の愚行を悔いるがいい」



馬が前足を高く上げ、夜詩よしの背中を踏みつけると地面が砕ける。



「がっ…」



夜詩よし!」



「お兄ちゃん!」



「くっ! (エナの回復が遅い…器装きそう擬きを使った代償か)」



「まだだ」



背を向け馬が後ろ足で蹴り上げ、空を駆けながら猛スピードで何度も体当たりをし地面に夜詩よしを踏み落とす。



「殺してしまったか?」



「ぁ…ぁぁ…」



「愚民にしてはしぶといようだな。

今度は心を砕くとしようか」



夜詩よしに近付き槍で突くが盾で防がれるキングリー。



「先程もそれで仲間を守っていたな。

だが」



素早く突きを放ちキングリーは盾を破壊する。



「もう一度、我が攻撃を防いでみるがいい」



再びキングリーが突きを放つとそのまま夜詩よしの肩に突き刺さる。



「ぐあっ!」



「何してる!? 盾を出せ!」



「無駄だ。

盾を出さなかったのではない、出せなかったのだ」



「どういう事だ?」



「我が槍は打ち破った能力を封じる。

正確には我の許可なく力を振るえぬという事だ」



「じゃあ盾を破壊されたから」



「王の命は絶対である!」



「盾が…無くても…」



右手に爪を装着し振り上げる夜詩よし



「…どうした?」



「そんな!?」



爪は馬の首に直撃するも、かすり傷すらついていなかった。



「我が愛馬を嘗めたようだな」



槍で夜詩よしの右手を貫き爪を破壊するキングリー。



「ぐあっ!

…確かにこの槍は厄介だ。

だが、槍を封じれば!」



痛みに耐えながら槍を掴み、左手にガントレットを装着し強力な一撃を放つ夜詩よし



「直撃した!」



「これなら封じられず攻撃できるわ!」



「お兄ちゃん頑張って!」



「もう一発!」



「まだ分かっていないようだな」



キングリーの兜が顔を覆いダメージを与えられていなかった。



「そんな…」



「封じずとも貴様の攻撃など我には届かぬ。

我は貴様の心を砕くと言ったのだ。

圧倒的な力の差を理解させ、更に自分の能力が使えなくなる絶望をな!」



もう一本の槍を作り出し、夜詩よしの左手を貫くキングリー。



「ぐあぁぁぁぁ!」



「憐れよ」



槍を引き抜きキングリーは馬で夜詩よしを蹴り飛ばす。



「ぐはっ」



「貴様が今までどれ程の者を相手にしてきたか知らぬが、我は能力者イディルを統べる者…絶対の王なり!」



「(次元が違い過ぎる…光帝が戦うなと言った理由を今、理解出来るとは。

逃げるしかない…この状況でどすれば)」



「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」



両手から血を流しながら立ち上がる夜詩よし



「ほう、まだ折れぬか。

それとも何か秘策でもあるのか?」



「(あいつに残ってる能力は血を媒介にした物と呪装じゅそう…まさか!?)」



夜詩よしは黒いエナを纏い始める。



呪装じゅそうか。

愚かの何物でもない」



「はぁ…はぁ…(意識が…飛びそうだ…でも呪装じゅそうじゃ勝てない。

あの時の黒い感覚…心が飲まれていく…これじゃダメだ。

力だけ…力だけを引き出す…仲間を失いたくない…)」



先程よりも濃いエナで包まれ夜詩よしの姿が見えなくなっていく。



「時間の無駄だ。

死を与えよう!」



両手を後ろに引き、素早く前に出し槍を投げるキングリー。



夜詩よし!」



エナの塊に槍が入った瞬間、火花と共に槍が空へ弾かれる。



「何をした?」



呪装じゅそう…いや、何かが違う」



「お前を倒して兵器を破壊する!」



黒いエナが吹き飛ぶと両手に鎌を持ち、左半分だけ髪が白く左目だけ赤く輝き白衣を纏った夜詩よしの姿があった。


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