第五十三器 王の怒り
「確かに凄まじい波だ。
だが、それだけで勝てると思うなよ」
刀で斬りかかる刀磨。
「疲弊した状態で挑むか。
少し遊んでやろう」
剣が床から現れ、素早い刀磨の斬撃を笑みを浮かべながら受け止めていくキングリー。
「刃先に波を集中させ少量で最大の効果を出している。
なかなかの強さ…だが、そんな小手先のものでは我には敵わぬ」
受け身だったキングリーが刀磨を攻め始める。
「くっ! (速い上に一撃一撃が重い…今の波の量じゃたいした攻撃は出来ない…)」
「防戦だけではつまらんぞ?」
その時、刀磨の刀が叩き折られた。
「しまっ!?」
「半殺しにしておくか」
剣を振り下ろす瞬間、横へと弾かれるキングリー。
「私も戦える!」
「…兵器の糧にと思ったが面倒だ。
全員死ね」
剣を掲げキングリーは無数の剣を上空に集める。
「王の騎士隊」
無数の剣は上空を旋回し刀磨達へと向かっていく。
「まるで蛇だな…夜詩は俺が担ぐから城の中へ逃げろ!」
「わかった! アリス!」
三人は急いで城の中へ駆ける。
「この城は我そのものだ 」
キングリーが軽く手を上に挙げると入口が塞がってしまう。
「くっ…破壊する!」
刀磨が刀を作り出すも粉々に砕け散る。
「刀磨、あなた波が!」
「ちっ」
「私がやる!」
息を大きく吸い声をぶつけるアリス。
「無駄だ」
「ゲホッゲホッ」
「アリス!」
血を吐きアリスは座り込む。
「ごめん…なさい…」
「お前たちの波では壁に傷一つつけれぬ」
無数の剣が刀磨達に迫る。
「なら剣をなんとかすれば!」
目の前に水の渦を作る游。
「(今の状態じゃこれが限界…止まって!)」
しかし、剣は勢いは弱まる事なく刀磨達を襲い埃が舞う。
「実際に戦ってみて期待外れだったが、やはり奴の片割れという事か」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
巨大な盾で剣を防ぐ夜詩の姿があった。
「遅いぞ」
「わ、悪い。
みんな大丈夫か?」
「何とかね」
「夜詩お兄ちゃんは大丈夫なの?」
「まだ戦える。
みんなは休んでいてくれ」
盾を投げ捨て鋭い爪のガントレットをする夜詩。
「先程の戦いでお前は我が鎧にすら傷を付けれなかったのをわすれたか?」
「確かに効かなかったな…じゃあ、そのまま立っててくれよ」
軽く跳び夜詩は右手を振り下ろし、五つの光りの刃がキングリーへ向かっていく。
「!?」
咄嗟にかわすも鎧に軽く傷が付き、少し険しい表情を浮かべるキングリー。
「さっきはお前を倒すのが目的じゃなかったからな。
だけど今はお前を倒す必要がある!」
「愚民が王の鎧に傷を付けただと?
…許されぬ大罪!!」
鎧が輝き傷が無くなるとキングリーは更に波を高める。
「なんだ!?」
「我は絶対なる王!
たとえ虫であろうと歯向かうものには全力で排除する!
王の絶対なる覇道」
城が崩れ始め周囲に砂埃が舞う。
「ゴホッゴホッ…みんな大丈夫か?」
「何とかな」
「私もアリスも大丈夫」
「何なんだ?」
城があった場所はただの平地に変わっていた。
「見せてやろう…これが我が器装だ!」
金色に輝く馬に股がり二人の女性が抱き合うように刃を持つ槍を手にしたキングリーがいた。




