第四十八器 怪物
夜詩と分断されたアリスは城の外に出ていた。
「あれが兵器…まるで塔みたい。
もう少し中を進まないと」
近くの入り口から再び城へ戻るアリス。
「みんな大丈夫だよね…」
長い廊下を通りアリスは広い部屋へとたどり着く。
「何もない部屋。
出口は…」
「あら、可愛いお客さん」
「誰!?」
アリスが部屋を見渡しても人の姿は無かった。
「そんなに怯えなくてもいいわよ」
背後に気配を感じ咄嗟に移動するアリス。
「(気が付かなかった!?)」
アリスがいた場所には筋骨隆々の男が立っていた。
「私はジレーザ。
あなたが侵入者?」
「そうだよ!
どうしてそんな話し方なの?」
「そういう事は聞いちゃダメなのよ。
でもこんな小さな子が侵入者だったのね。
女子供に興味ないんだけど…大人しく帰ってくれない?」
「兵器を破壊したら帰ってあげる」
「あれを破壊? ダメよそんな事しちゃ。
仕方ないわね…じゃあ、優しく潰してあげる」
床が砕ける程に強く踏み込んだジレーザはアリスへ殴りかかる。
「速い!?」
後方へ飛んでかわすも床に叩き付けたジレーザの拳圧で吹き飛ばされるアリス。
「へぇ~、おチビちゃんなかなかやるじゃない!」
「うっ(波を高めただけの拳であれだけの威力が出るなんて…)」
「おチビちゃんのお名前は?」
「アリス」
「名前も可愛いわね!
あまり傷付けずに殺して人形にしようかしら。
となると心臓を潰すのが一番ね!」
右拳を引き一気にアリスへ近付くと立てた人差し指で突きを放つジレーザ。
「(間に合わない!?)」
アリスはジレーザの突きに合わせ弾くように体を横へ跳ばすも、あまりの速さに壁に叩きつけられる。
「がはっ!」
「あら、外れちゃった。
考えは良かったけど、私の攻撃が強すぎて体が間に合わなかったみたいね」
「ぐっ…(人差し指の突きだけで壁が砕けてる。
この人の波の量は尋常じゃない)」
「次は避けちゃだめよ。
一瞬で終わるから」
アリスを見下ろし人差し指を立て腕を引くジレーザ。
「(今だ!)」
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!」
次の瞬間、ジレーザはアリスの凄まじい声に耳を押さえ叫ぶ。
「まだまだ!」
「いやぁぁぁぁぁ!」
アリスの声にのたうち回り動かなくなるジレーザ。
「これで…!?」
ゆっくり立ち上がるジレーザに再び声をぶつけるアリス。
「それがあなたの能力。
まだ耳鳴りがするわ」
「効いてない!? どうして…」
「もう効かないわよ。
だって私…鉄人間だから!」
一瞬で全身が鉄に変化するジレーザ。
「鉄人間!?」
「骨の髄まで鉄に出来るの。
だからあなたの能力は通じない。
そして…」
ジレーザは一瞬でアリスの前に移動し、腹を殴りそのまま壁に殴り付ける。
「っ!」
「ムカついたから壊すことにしたわ」
大量に血を吐き意識が飛びそうなアリスの頭をジレーザは掴み持ち上げ笑みを浮かべていた。




