第三十七器 目的
夜詩達は森の中に姿を現す。
「あ、あれ?」
「どうして森に…」
「俺の能力だ。
俺は見た場所へと瞬間移動出来るんだ。
この特別製のゴーグルを使えば50㎞先まで一瞬でいける」
「そうなのか…どうしてあんたは俺達を助けたんだ?一体何者なんだ?」
「俺はジパー、ある人の指示で助けた。
もうそろそろ…来たっ!」
ジパーが空を指差すと一筋の光りが夜詩達の元へ落ちてくる。
「っ…あんたは確か…」
「光帝!?」
「え?この人が光帝…あんたには三度も助けられたな」
「忘れ物だ」
レイは光りの中から傷付いた刀磨を引っ張り出す。
「刀磨!?」
「ひどい怪我…まさか光帝、あなたが」
「勘違いするな。
それにその呼ばれ方は好きじゃない」
「傷の手当てをしないと…」
「下がってろ」
レイは刀磨とアリスへ掌を向け集めた光りで二人を覆う。
「しばらくすれば傷も癒えるはずだ」
「光帝…レイ、あなたはどうして私達を助けるの?」
「お前達にはまだ死なれては困るからな。
二人の傷が癒えたら話してやる」
そう言って空へと消えていくレイ。
「ま、レイの旦那の言う通りに待ってるんだな」
近くの木に寄り掛かり目を閉じるジパー。
「俺達も少し休もう」
「ええ」
それから二時間が過ぎると、二人を覆っていた光りが徐々に消えていく。
「うっ…ここは…」
「…あれ?どうしてこんな所に…」
「アリス!刀磨!」
二人に抱き付く夜詩。
「気持ち悪いくっつくな!」
「夜詩お兄ちゃん、それに二人もどうして?」
「あなたを助けに来たのよ」
「助けに…そうだ!メドヴェーゼを潰しに来たんだ!
行かないと!」
「ダメだアリス!死にかけてたんだぞ!」
「それでも…パパとママを奪ったあいつらを許す訳にはいかない!」
アリスの体から黒い波が溢れだす。
「これって!?」
「呪装だな」
「呪装!?
落ち着けアリス!うっ!」
アリスを必死に止めるも簡単に払い除けられる夜詩。
「邪魔しないで!」
「アリス!」
夜詩はアリスを抱き締める。
「アリスが復讐したい気持ちは分かる!
でも、その力は使っちゃダメなんだよ!
自分自身が壊れちゃうんだ!」
「知ってる…けど、この力を使わないと勝てない!
復讐できるならなんだって構わない!」
「なら俺達を頼れよ!
アリスの敵は俺達の敵だ!
仲間だろ?」
「…」
「アリス、私達にも手伝わせて。
一人より四人なら負けない!」
「俺はグロームって奴に貸しがあるからな。
お前が拒んでも行き先は同じだ」
「みんな…ごめん…なさい…ごめんなさい!」
「いいんだ。
仲間の為なら命をかけるなんて当たり前だ」
黒い波は消え、夜詩の胸で泣き叫ぶアリス。
「さて、これからどうするかだが…俺を運んできたのは誰だ?」
「俺だ」
木の陰からレイが姿を現す。
「光帝!?どうして貴様が!」
「お前をここまで連れて来てくれたんだよ。
傷も癒してくれたしな」
「くっ!何が目的だ?」
「お前達にはある物を破壊してもらいたい」
「ある物を破壊だと?」
「キングリーが建造している波を砲弾にした超巨大砲だ」
「波を砲弾にした超巨大砲?」
レイの言葉に夜詩達は驚きを隠せなかった。




