第三十三器 合わさる力
夜詩が特訓を始めてから一週間がたった頃。
「はぁ…はぁ…少しは使えるようになったかな。
無意識で出来るようになりたいけど」
その時、傷だらけの重海が現れ倒れた。
「重海さん!」
「神塚…様…奴等が…」
「まさか!待っててください!」
気を失った重海を残し夜詩は寺院へと向かう。
「死ね!」
「ぐはっ!」
秋緋の拳が崇戒を吹き飛ばす。
「崇戒様!」
「余所見してんじゃねぇよ!」
夏陽の炎が方明を襲う。
「ぐっ!どうしてこんな事をする!」
「私達は裏からでなく表でこの国、いや世界を支配する。
あなた達はその為の生け贄よ!」
春風の糸が方明の首に巻き付き締め上げていく。
「うっ…(なんて頑丈な糸だ…このままでは)」
その時、遠くから鎌が回転しながら糸を切り夜詩の手に収まる。
「てめぇ、こないだの死に損ないじゃねぇか」
「ごほっごほっ!神塚様」
「こいつらの相手は俺がします。
方明さんは怪我人を安全な所へ」
「ずいぶん強気じゃない。
さっきみたいにはいかないわよ!」
夜詩の周りを飛び回り糸で囲う春風。
「死になさい!」
春風が糸を強く引くと、夜詩を囲っていた糸が縮まっていく。
「脆い」
鎌を振り下ろし、飛ばした斬撃が糸を切り春風を切り裂いた。
「そん…な」
「春風!?
この野郎!」
「遅い!」
炎を吐こうとした夏陽の口をガントレットをした手で塞ぐ夜詩。
「!!」
炎は外に出られず夏陽の体を焼き尽くす。
「以前の俺なら腕を焼かれていた。
そしてこの威力を!」
夜詩は振り返り様に拳を突き出し、迫っていた秋緋の拳を破壊しなが光りを放つ。
「あとは…」
落下してきた冬白の蹴りを盾で受け止める夜詩。
「少しは出来るようになったみたいだな」
「まだまだこんなもんじゃないけどな!」
盾を蹴り再び空へ舞い上がる冬白。
「空にいられると厄介だな。
降りてきた時に勝負を…!?」
上空で体を回転させた冬白から無数の風の刃が地上に降り注ぐ。
「遠距離でも攻撃出来るのか!?」
「盾で防いだか。
なら消し飛ばしてやる」
更に高く上がると球体を描くように飛び回る冬白。
「何を…」
「大空の怒り!」
冬白の周りには風の球体状に壁が出来、夜詩へと落下する。
「さすがにあれは受け止めれない…なら!」
天へと拳を突き上げ光りを放つも球体の壁にかき消された。
「無駄だ!触れる物全てを切り裂く!
終わりだ」
「(どうすれば…鎌の一撃で…いや、あの程度の威力じゃ弾かれる。
ガントレットの力を高めても…こうなったら一か八かやるしかない)」
ガントレットに波を溜め始める夜詩。
「強力な一撃で抵抗するか。
だが力の流れさえも変えれるこの技は無敵だ!」
「勝つには…切り裂くしかない!」
冬白が間近に来た時、夜詩は腕を振り上げ球体の壁が消え去る。
「バカ…な…」
放たれた一撃は冬白の体と上空の雲さえも引き裂く。
「能力の合成技だ」
夜詩のガントレットの指先には鎌の刃が何本も延びていた。




