第三十一器 持たざる者
轟音と共に砂煙が立ち上ぼり、夜詩は砂煙から飛び出す。
「一人一人確実に潰さないとまずいな」
夜詩は素早く動き黒髪の女の背後に回り、鎌を出し振り下ろすが途中で動かなくなる。
「ぐっ!見えない壁でもあるのか」
「あなたの刃は私には届かない」
女が円を描くように腕を回すと夜詩の体が後ろの木に引っ張られ貼り付く。
「なんだ!?
これは…糸?」
「私の糸はどんな物も切り裂く」
女が手を後ろに引くと、夜詩に巻き付いた糸が徐々に体と木にめり込む。
「ぐあっ!」
「ちっ!春風の独り占めかよ!」
「悪いわね。
でもこの男が私を狙ったから仕方ないわ」
「夏陽、誰が殺った所で同じ事だ」
「あ?秋緋、お前はあんまり殺してねぇくせに偉そうに言ってんじゃねぇ!」
その時、男が空から降りてくる。
「何を揉めてる?」
「冬白聞いてくれよ!
秋緋が偉そうにしやがるんだぜ?」
「またかそんな事か。
春風、さっさと…!?」
冬白が夜詩を見た時、真っ赤な鎧を纏った夜詩に驚く。
「春風!」
春風は冬白の声で夜詩を見て、慌てて糸を引くも簡単に千切られてしまう。
「油断は禁物だ」
夜詩は春風へ突進するが、夏陽が割って入り、口から炎が吹き出し阻まれる。
「くっ!」
「今度は俺の番だ!」
夏陽は夜詩へ近付くと小さな黒い玉を口に含み、再び炎を吐く。
「(能力じゃない…どうしてこんな…)」
炎を盾で防ぎながら夏陽へ向かう夜詩の背後に秋緋が現れ、拳に着けた機械から煙が吹き出し凄まじい速さで夜詩の背中に拳が直撃する。
「がはっ!(今のはまるで人が作ったような機械…まさか)」
「秋緋!俺の番だって言っただろ!」
「確殺が我々の信条」
「ちっ」
「お前達…能力者じゃないのか!?」
「確かに春風、夏陽、秋緋は能力者じゃない。
だが、能力者を倒せるのは何も能力者だけとは限らない」
冬白は両手を広げると腕を翼に変え、空高く舞い上がり夜詩へと急降下し吹き飛ばす。
「我等、闇牙は最強だ」
鎧は砕け夜詩は意識が朦朧としていた。




