第二十六器 再出発
「…」
夜詩はベッドの上で目を覚ます。
「目が覚めたかい?」
「あなたは!?」
驚く夜詩の目の前に立っていたのは死んだはずのブラッドだった。
「幽霊じゃないよ。
君達は同じ反応で面白いね。
私はハートネスに操られて自殺させられたんだが、飲んだ薬が仮死薬だったみたいでね。
全てハートネスの計画だ」
「ハートネスの計画?」
「私を社会から消しフィラル専属の医師として働かせたかったみたいだ。
裏社会でこの能力を使わせるのが条件で契約した」
「でもフィラルを潰そうとしていたのに…」
「さあ?
真実は闇の中…ただ、彼は迷いがあったのかもしれないね」
「迷い…そうだみんな…うっ」
「まだ寝ていた方がいい。
君は死にかけていたからね。
仲間は無事だよ」
「良かった。
そういえば俺ハートネスの剣が胸に刺さって…ハートネスは?」
「死んだよ。
覚えてないのかい?」
夜詩は必死に考えるも思い出せない。
「レイって人が力を貸してくれたみたいだね」
「レイ?」
「光帝って呼ばれてる人だそうだよ。
刀磨君は彼が助けたのが気に入らないみたいだったけど。
君はもう少し眠った方がいい」
「わかりました」
それから数日後、動けるようになった夜詩を見舞いに游とアリスが来ていた。
「元気になって良かった」
「夜詩お兄ちゃん死んじゃったと思ったんだよ!」
「心配かけてごめん。
でもよく生きてたな」
「ブラッド先生によると剣で外傷はなかったそうよ。
体内にハートネスの波が流れ込んで一時的に身体機能が低下したって」
「でも、もう安定したから問題ないって!
良かったね!」
「ああ!
そういえば刀磨は?」
「修行してくるってどっかに行っちゃったわ。
まだ街の修復もしないといけないのに!
あ、そうそうフィラルはザルガンを代表にして存続するわ」
「大丈夫なのか?」
「まあ操られてただけだし、彼もフィラルの事は真剣に考えてるから」
「そうか。
ハートネスの遺体は?」
「裏切り者だけど今までの功績と人望は厚かったから地下の墓場に…」
「そうか」
夜詩は立ち上がり病室を出ようとする。
「ちょっと何処いくの?」
「ハートネスの所へ」
「そう…」
夜詩は地下の墓場へと進む。
「ハートネス…」
ハートネスの墓の前に立ち拳を握り締める夜詩。
「あんたが何を考え迷い苦しんでたかは知らない。
だが許すことは出来ない…だからあんたの業は俺が背負ってやる。
それがあんたを止めた俺の役目だ」
夜詩は墓に拳を突き去っていく。




