第二十五器 決着
「しぶといな…だが今さら君に何が出来る?」
「鮮血の脈動」
一瞬にしてガントレット以外夜詩の全身を赤い鎧が覆う。
「二種類の力を同時に発動出来るのか。
しかし、君のそのガントレットは相手の攻撃を吸収しそれを力に変え放つ物。
私の力は相手の波を吸収する物だから無意味じゃないかな?」
「無意味じゃないさ。
片翼の嘆き!」
ガントレットが輝き肩の噴射口から波の光りが翼を象り構える夜詩。
「いつそれだけの攻撃を…いや、自分自身の波を使っているのか」
「夜詩…それじゃ…お前の体が…持たない」
「分かってる刀磨。
でも俺は色んな人の想いを踏みにじったこいつを倒す!」
夜詩は地面を強く蹴りハートネスへ突き進む。
「来い!全部吸い尽くしてやる!」
ハートネスは触手を一つにまとめ夜詩へと伸ばす。
「やっぱりな」
触手が触れる寸前に体を回転させてかわし、更にスピードを上げてハートネスへ夜詩は襲い掛かる。
「これならどうだ?」
触手が途中で枝分かれして襲い掛かり、ギリギリかわしながら進むもいくつかの触手に触れてしまい鎧が剥がれ落ち始めた夜詩。
「くっ!まだ行ける!」
「なるほど、自分に触手を触れさせない為に鎧を纏ったか。
確かにそれなら鎧の波しか吸収されない。
じゃあこれならどうする?」
触手が一枚の壁になって夜詩の目の前に現れる。
「かわせないなら…砕く!」
夜詩の右手が触手の壁を粉々に打ち砕いた。
「吸収より早く破壊したか。
ここまで持つかな?」
何枚も壁を作り出し笑みを浮かべるハートネス。
「諦めるか!」
壁を破壊しながら進むが夜詩の肩から出ている波の翼が徐々に小さくなり、突き進むスピードも落ち始める。
「波は無限ではない。
君の負けだ」
完全に波の翼が消え体を覆っていた鎧も砕け散り片膝を突く夜詩。
「…後少し…動け…動け!」
「なかなか楽しめた。
さようなら」
触手が伸び後少しの所で夜詩は何かに背中を押され肩から光りの翼が蘇る。
「何が?」
「夜詩お兄ちゃん…頑張れーー!」
夜詩の背後からアリスの声が響きガントレットへとぶつかった。
「アリスの声の力を吸収したのか」
「(もう声が出ない…)」
迫り来る触手を砕き前に進むも再び翼が消えてしまう。
「悪足掻きだな」
ハートネスが再び触手を伸ばし始めると衝撃と共に水飛沫がガントレットにぶつかりまた翼が蘇る。
「游!」
「走って!」
「うおぉぉぉ!」
触手を破壊し翼が消えても夜詩は走り続けハートネスの前にたどり着く。
「ここまで来るとは…だがもう力はないはずだ!」
「あいつがこんな所でへばるはずがないんだよ」
「風刀・景翠!」
夜詩の背後にいる刀磨を見つけ驚くハートネス。
「まだそんな力が!?」
刀磨の風の刃が直撃しガントレットは輝きを放ちながらハートネスへと伸びていく。
「終わりだーーー!」
夜詩の拳がハートネスに触れ強い光りが周囲に広がる。
「やっ…」
その瞬間、夜詩の胸を黒い剣が貫く。
「ここまで来るとは見事だよ。
しかし、残念だったね」
ハートネスの体にヒビが入り砕けると笑みを浮かべたハートネスが現れた。
「なん…で…」
「触手は防御にでもなるんだよ」
「ま…だ…」
夜詩の拳は弱々しくハートネスを何度も殴る。
「夜詩…くそっ!」
「そんな…」
「お兄…ちゃ…ん…」
「これが実力の差だ」
「(負けられない…負けられないのに…)うわぁぁぁぁぁぁ!」
最後の力を振り絞り拳を叩き付ける瞬間、ガントレットに輝きが戻りハートネスの体を打ち抜く。
「がはっ!
な…なぜ…力を貸した…レイ…」
力を失いハートネスと夜詩は地面に倒れた。




