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幻想の器  作者: 夢物語
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第二十器 最凶vs最強

ホランドとロックにより、キメラが一掃された頃、刀磨とうまゆう、アリスが避難所に別々に集まってくる。



刀磨とうま!アリス!」



「二人とも無事だったか。夜詩よしは?」



「途中で夜詩よしお兄ちゃんとはぐれちゃって…」



「しぶとさだけは一人前だから大丈夫だろ」



その時、三人の元へホランドとロックが駆けてきた。



「みんな無事か?」



「なんとかね」



「ホランド、避難はどれくらい進んでる?」



「連絡では間もなく終わりそうだ。

敵はあとどれくらいいる?」



「一度、管理中央施設に行ってみない事にはなんとも言えないな」



夜詩よしのやつはどうしたんだよ?」



ロックの言葉に三人は黙る。



「まあ、なんにせよ情報が少ない。

俺も一緒に行こう」



「いや、お前は避難の護衛を頼む。

前線を外れていたブランクもあるしな」



「仕方ないか。お前と組んでた時が懐かしいよ」



「思い出話をしだしたらオヤジだな」



「何だと!?」



「俺達は先を急ぐぞ!」



「ええ!」



「うん!」



ホランドとロックを残し、三人は管理中央施設へと向かう。

一方その頃、傷付いた夜詩よしを治療している男に歩み寄る影があった。



「誰だ?」



「さすが光帝こうてい様。

しかし、敵を治療するのは問題だな」



「貴様、生きていたか」



レイの目の前に現れたのは、死んだはずのミストだった。



「なんとかな。

でも、危なかった危なかった。

体が消化されるように消えていくから、慌ててあいつを喰って能力を使ったら、なんとか抜け出せた。

頭だけだったが、なんとか回復したよ」



「で、何の用だ?」



「ボスの命令に決まってんだろ。

そいつを喰って、あんたを殺せってな!」



「そうか」



「あんたの裏切りはバレてたんだよ!」



「裏切り?俺は端からお前達の仲間になった覚えはない。

利害が一致しただけだ。

だが、既にあいつの目的は変わっていたがな」



「ま、俺は強くなれればいいから、関係ねぇけど。

じゃあ、あんたを喰わせてもらうかな」



次の瞬間、レイの背後に小さなドアが現れ、ミストの手が伸び、指先にある小さな口が大きく開く。



「バカな奴だ」



レイに触れようとした瞬間、光りに包まれミストの手が消え去る。



「怖い怖い。

あんたを喰うなら、殺してからだな!」



ミストは失った手を一瞬で再生し、レイに飛びかかった。



「エターナル・ノヴァ」



レイはミストへ手を伸ばし、光りの玉を掌から打ち出し、ミストの目の前で爆発する。



「やれやれ」



夜詩よしを光りで覆い、地面に倒れるミストの下半身に近付くレイ。



「もう終わりか?」



すると、ミストの下半身は飛び起き、一瞬で上半身を再生させる。



「いやー、びびったびびった!

でも、あんたの力がますます欲しくなってきた」



「一瞬で再生か。

何を喰った?」



「他人の能力を強化させる奴をちょっとつまみ喰いだ」



「他人を喰うしか強くなれないとは、哀れだな」



「黙れ!」



周囲にあった瓦礫を操り、レイの腹を貫くミスト。



「あっさり終わ…」



レイは平然と立ったままミストを見る。



「どうした?これで終わりか?」



「ぐぐぐ…」



大きな瓦礫をレイの頭上に浮かし、ミストが指を鳴らすと、空中に漂う瓦礫がレイを押し潰す。



「まだだ!」



ミストは右手を伸ばし、掌をゆっくり閉じていき、それに連動するように瓦礫が圧縮され、小さくなっていく。



「じゃあな」



ミストの掌が完全に閉じると、瓦礫は野球ボール大の小さな塊になってしまった。



「喰えなかったのは勿体なかったが、こっちはしっかり喰わないとな」



ミストは光りに覆われた夜詩よしに近付くが、途中で足を止める。



「…なんで光帝こうていは死んだのに、こいつは光で守られてる?」



ミストは野球ボール大の瓦礫を見つめ、近付き拾い上げた。



「まさか…」



すると、瓦礫から一筋の光りが漏れ、手の形になりミストの首を掴む。



「ぐっ…あり得ない…」



漏れた光りは、徐々に形を変え、レイへと変化した。



「そんなにびっくりしたか?」



「いくら…能力者イディルでも…肉体が完全に潰れれば…く…元には戻れないはず…まるで…」



「光りその物か?」



ミストは、レイの手を掴み、笑みを浮かべる。



「ますます喰いてぇ」



次の瞬間、ミストの体が赤く輝き、大爆発を起こす。



「自爆か」



「正解」



爆発の瞬間、ミストから離れたレイの背後に、口を大きく開けた、ミストが現れ、レイの肩を噛み千切る。



「いただき!」



「…」



ミストはレイから離れ、右手を掲げ光りの玉を作り出す。



「あーっはっはっは!これで俺は誰にも負けない!」



「滑稽だ…」



レイが腕を横に振ると、ミストの作り出した光りが鎖に形を変えて、ミストの全身に絡まる。



「どうして…俺の光りが…」



「喰った程度で俺の力を扱えると思ったか?」



「くっ…けど、俺を殺すのは不可能だ!

こんな物で動きを封じても同じなんだよ!」



「なら、試してみるか?」



レイが右手に光りの玉を作り出し、ミストの頭上へ光りの玉を浮かばせた。



「くっくっくっ、また爆弾か?

俺が消滅するまで爆破するつもりだろうが、爆発で俺の一部が残れば無意味だぞ」



「誰が爆破すると言った?」



「じゃあ、これはなん」



その時、光りの玉が目も開けられない程の輝きを放つ。



「ホワイトクロック」



光りの玉はゆっくりとミストの体を飲み込み、消滅させていく。



「光り…の…熱…再生…追いつか…」



そして、一瞬だけ更に強く輝くと、光りは消えていき、ミストの姿も無かった。



「再生能力を活かしきれていない結果だ。

さて、もう十分だろ」



レイは夜詩よしを覆っている光りを消し、頬を軽く叩いて夜詩よしを起こす。



「起きろ」



「う、う~ん…あれ…」



「さっさと起きて戦いに行け」



「え?あんた誰だ?」



「管理中央施設にお前の倒す相手がいる。

そいつを倒せば戦いは終わる」



夜詩よしはふらつきながら、頭を押さえて立ち上がる。



「戦い…そうだ!変な奴が現れて、幻龍ファンロン凛々(リンリン)を…」



「そいつはお前が倒した。呪装じゅそうでな」



「俺が?全然記憶にない」



呪装じゅそうは理性を失う。

そんな事より、仲間を助けなくていいのか?

恐らくお前以外は全員向かってるはずだ」



「みんなが!?急がないと」



「待て、一つだけアドバイスをやる。

奴は…」



レイは細かく敵の力と対策を教えた。



「わかった。誰かわからないけど、ありがとう!」



夜詩よしはそう言ってその場を去っていく。



「全くあんなのに望みをかけないといけないとはな」



その時、レイの側に一人の男が現れる。



「いいんですか?旦那はあいつの力を見たいって言ってたのに、あんなヒント与えて実力がわかるんですか?」



「対策を教えた所で、実践出来るかは別問題だ。

それよりどうだった?」



「空の連中は相変わらず動きはないですね。

片割れすら気にしていないみたいです」



「あいつがいつ死のうが、自分の強さは今の状態でも揺るがないと思っているんだろうな。

始祖しそをなめすぎだ」



「あと、キングリーの方が少し騒がしいですね。

特殊な兵器を建設してるみたいで」



「キングリーか。

奴は空の連中を潰す事しか考えていないからな。

世界が荒れ始めるか」



「また何か分かったら連絡します。

あ、そうそう、変な連中が飛び回ってますよ」



「変な連中?」



「はい、白と黒のスーツを着た能力者イディルの集団です。

世界の秩序のために、とか言ってましたが」



「わかった。

ジパー、また何か分かったら頼むぞ」



「了解」



ジパーは一瞬でいなくなってしまった。



「あいつが何処まで成長するかだな。

必ず始祖しそを殺し、全てを終わらせる!」



レイは光りの中に消えていく。

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