第五章「負け戦」
ドリアンは地を蹴り、左手にある高い岩へと跳んだ。二度の動作で頂上に立っていた。峡谷の底から十メートル上だった。
峡谷の風はそこではより強く吹きつけ、まるで彼を引き戻そうとするかのように胸を押した。指先が岩の縁をつかみ、その一瞬後に体が均衡を見つけた。石は掌の下で冷たかったが、完全にではなかった。夜の太陽が決して届かない中心部には、まだ髄を残す骨のように、深い熱が残っていた。
「うーん……」ドリアンは立ち上る土埃の山を見つめていた。あの砂埃の幕の向こうに何がいるかは、よくわかっていた。エヴォルトリス・アルファが、そこで待っている。おそらくは。
「馬鹿げた力だな」と彼は呟き、爆発の際に岩の破片の衝撃を受けた右前腕のプレートを調整した。「もっとも、当然か。何しろあれは怪物で、あの巨体もただの見かけ倒しではないはずだからな」
「だが、あれをこれほど恐ろしいものにしているのは」——彼は少し目を細めた。まるで生物を魔法の障壁のように取り囲む砂埃の向こうを見通せるかのように——「あの非現実的な速さだ。あの大きさの動物には本来あり得ないはずのものだ。どうやらあいつはルールのその部分だけ飛ばしたようだな」
岩の破片が当たったプレートは、縁が曲がっていた。ドリアンは親指の腹で変形した角をなぞった。金属は内側に湾曲し、肌にほとんど触れそうな小さな舌のような形を作っていた。
彼は腕を曲げた。スーツのサーボモーターが短く精密な音で応じた。次にそこへ一撃を受ければ、痛むだろう。それはわかっていた。すでに筋肉層にあざができ始めており、スーツがそれを圧迫するたびに、手首を動かすたびに疼きを贈ってくれたからだ。
「クラッグ」——肩の稼働部が回転する音がした。「クラッグ」——肘のそれが伸びる音。その音は夜の中でもう一つの鼓動のようで、岩々の唸りに重なる第二の周波数だった。
ドリアンは手袋の中で指を曲げ、マイクロプレートの即座の反応を感じた。すべてが応答していた。すべてが機能していた。
今のところは。
「まあ」と彼は言った。その笑いは感情のない、乾いた鼻息だけだった。「所詮は怪物だ。その力も速さも、他の普通の生物と比較にはならなくて当然だな」
「だがそれにしても」——砂埃の障壁の内側で奇妙な動きがあった——「これはやりすぎだ」
ドリアンは冷たい空気を感じた。文字通りにではない。峡谷の気温は安定しており、じっとりと重いままだった。
だが彼は、オメガが何か言おうとしているのを察していた。AIは黙ったままだった。その沈黙はどんな言葉よりも雄弁だった——「あの狂人と、これ以上議論も口論もするつもりはありません」。ドリアンはその空白の中に、まるで声に出して言われたかのようにはっきりとそれを聞き取った。彼は肩をすくめた。その仕草は前腕に痛みを走らせた。
◇ ◇ ◇
エヴォルトリスはまだ砂埃の雲から出てきていなかった。だが、その目はあの殺意の光を放ち続けていた。瞬きもせず、闇の中に固定された二つの点。ドリアンはその目をじっと見つめ、一瞬、その生物が単なる網膜よりも深いどこかから彼を見つめ返しているように感じた。それは、以前にも殺したことがあり、迷う獲物がどう見えるかを正確に知っている何かの眼差しだった。
もしかすると、それは待ち、見極めているのかもしれなかった。知性のある捕食者がそうするように。ドリアンの緑の瞳はあたりを走査し、そこにあってはならない影を探した。
呼吸はゆっくりと、制御されていた。
鼻から吸い、口から吐く。体が暴走しようとするとき脈拍を低く保つために教え込まれたリズムだった。だが体は完全には言うことを聞かなかった。手が震えていた。恐怖からではない。蓄積したアドレナリンが、布に染み込む水のように四肢に浸透していたからだった。
「つまりお前たちは、遊びたいってことか、ええ?」と彼は言い始めた。唇の端に笑みがのぞいた。
それは、ヘリオン・アストラの教官たちが危険なことの前触れだと見分けることを学んだあの笑みだった。子供の頃、巨大な蜂の巣に石を投げつける前に浮かべていたのと同じ笑みだった。
それは、完全に消えたことは一度もなかった。
「それなら、お前たちの遊びに付き合うしかないな」と彼は呟いた。笑みがさらに広がった。「結局、俺はもうお前たちに引きずり込まれちまったんだから」
「そんな誘いを断るのは、俺としてはとんだ無作法ってものだろう」と彼は、宇宙に聞かせるように声を張り上げた。「そんな馬鹿げた罪を犯したら、自分自身を許せないだろうな」
『まあ、そこまで馬鹿げてはいないか』と彼は後になって思った。「馬鹿げた」という言葉が頭の中で跳ね返り、あざの隣に落ち着いた。『命を大事にすることは馬鹿げたことじゃない』と彼は自分に言い聞かせた。『自分を危険に晒すことが、そうなんだ』。彼は唾を飲み込んだ。喉がひりついていた。まるで気づかぬうちに叫び続けていたかのように。
彼は短く息を吸った。下では、砂埃の雲が動いた。ほんの少しだけ。灰色のヴェールから一本の鉤爪が現れ、地面に突き刺さり、再び消えるのに十分なだけ。
「だが、まあいい。どうせもうここまで来ちまったんだ。だからこそ、あいつらと遊んでやらないとな。気を悪くさせないように。俺たちを無礼な、行儀知らずな連中だと思わせないためにもな」
「『あいつらと遊ぶ』とはどういう意味ですか、ご主人様?」とオメガが口を挟んだ。
ドリアンの心の中でのその声には、新しい鋭さがあった。切りつけるようなものではなく、詰問するような——アイロンをかけたばかりの制服の染みを指差すような響きだった。ドリアンは、AIがすでに彼が踏み越えようとしている一線を見抜いていることを悟った。
「もちろん、俺の拳と足のことに決まってるだろ」——ドリアンは、檻の中の獣のように逃げ道を探した。言葉は思っていたより早く口から出た。
「他に何のことだと思ったんだ? お前のことを言ってると思ったのか。いやいや、俺だってお前をこの馬鹿騒ぎに巻き込むほどイカれちゃいない。俺を何だと思ってるんだ、ええ? オメガ」
ドリアンはそこまで徹底して、右手を胸に当て、眉をひそめてまで、自分の意図が疑われていたようなものとは全く違うのだと示そうとした。
AIの沈黙は、しかめ面のようなものだった。それは瞬き一つ分しか続かなかったが、ドリアンはその重みを骨の中に感じた——「私のことを馬鹿だと思っているんですね」。彼はそれを理解し、その道をこれ以上進まないことにした。頬の内側を噛んだ。
戦いの中には、始まる前にすでに負けているものもある。
◇ ◇ ◇
砂埃の雲が晴れ始め、エヴォルトリスの輪郭がゆっくりと姿を現した。まず、赤熱した金属の棒のように輝く背中の棘。次に、ひび割れた地面にしっかりと立つ、頑丈な四本の脚。最後に、腐食性の液体の糸を垂らした、半開きの顎を持つ頭。
その体には目立った損傷は見当たらなかった。傷一つない。鱗一枚たりとも位置がずれていない。ドリアンは信じられずに瞬きをした。生物が衝突した岩は、彼の頭ほどの大きさの破片へと砕け散っていた。
だがエヴォルトリスは……エヴォルトリスは無傷だった。
その背中の棘は以前よりも強い輝きを放っていた。まるでその衝撃が、内部に眠っていた何か——痛みによって消えるのではなく、むしろ起動する防御機構——を目覚めさせたかのようだった。ほとんど超低周波の低い音が、その体から発せられていた。ドリアンはそれを胸骨で感じた。まるで第二の呼吸のように。
「ハハハ」——その笑いは歪んで出てきた。信じられなさに砕かれていた。「お前は本当に理不尽だな。これは……これは反則だろう」
その目はドリアンに固定され、生物は再び咆哮した。その咆哮には違う響きがあった。攻撃する捕食者の唸りではなく、むしろ苛立ちに近い何か、あるいは獲物が思っていたほど容易くないと悟った認識に近い何かだった。
その音は峡谷の壁に反響し、何秒もかけて消えていき、岩から岩へと跳ね返りながら、疲れた木霊へと変わっていった。
怪物はためらいなく壁を登り始めた。バターに刃を突き立てるように、岩に鉤爪を突き立てていった。その音は絶え間ない摩擦音で、巨大な黒板を爪で引っかくような響きだった。血も凍るような速さで登っていった。鉤爪の一つ一つが石に深い痕を残し——四本の平行な溝が、登るごとに一つずつ重なって完璧に刻まれていった。ドリアンは、その鉤爪が突き刺さる先を目で追った。まっすぐ、彼の方へ。
「おお」と彼は呟いた。唇に浮かんだ笑みは違う種類のものだった。より危険で、より鋭い、まだ抜かれていない刃のような笑みだった。「つまり俺に時間をくれないってことか、ええ? ずいぶん独占欲が強いな。あるいは独占欲が強い男か。まあ、お前の性別なんて神様しか知らないだろうがな。だが、そこまで支配されるのは好きじゃないんだ」
「だから、俺を追いかけてくるなよ! いやらしい生き物め!」
エヴォルトリスはドリアンの文句を完全に無視して登り続けた。その顎は予期しながら開閉を繰り返し、噛みつきの練習をしていた。すでに五メートル。四メートル。鉤爪の音がより近くなっていた。
「ジェジェジェ!」——ドリアンは笑った。それはただ一つのことを意味する笑いだった。彼は今にも何か常軌を逸したこと、彼にしか思いつけない愚かなことをしようとしていた。彼の目は闇の中で輝いた。緑がより強くなり、まるで地衣類の光がそこに反射しているかのようだった。
「ご主人様」——オメガの声は警告に満ちた囁きだった。それは叫びではなかった。もっと悪いものだった。頭蓋の付け根への圧力、まるで見えない親指が椎骨を押しているかのようだった。「本気で言っているのではありませんよね? 本当にそんな馬鹿げたことをするつもりですか? あなたは子供ではありません。いえ、子供ではあります。ですが、あなたの年頃の他の子供のように振る舞うべきではありません」
「だが、それがものすごい見物になるってことは否定できないだろ」とドリアンは答えた。その口調には、彼と議論することを不可能にする何かがあった。確信。見世物も、危険も、めまいも、それだけの価値があるという信念だった。
「……まあ、好きにしてください。もう止められないことはわかっています」
その沈黙の中に、ドリアンはオメガの敗北を感じた。AIは諦めたわけではなかった。ただ身を引いたのだ。まるで、相手が自分でつまずくように椅子を引くように。それでも、ドリアンは笑った。
そして、虚空へと歩み出した。




