9.先輩
ジリリリリリリリ!
耳元で轟音が鳴り響く。
(朝か…)
着替えを済ませ、食堂に向かう。
「ええっと…たしか、『移動 食堂!』」
パッ
唱えた瞬間、見たことのない部屋にワープした。
(おぉ…マジで便利だなこれ!)
ここの給仕は全て心笑が担ってるようで、キッチンでずっと手を動かしている。
「あ!連くん!おはようございますっ!もう少しでできるので、座って待っていてくださいね〜」
食堂は大きな部屋の真ん中に、大きめの長方形の机が置いてある。20人くらい座れそうだ。
連は、ご飯を貰い、角の席に座った。
しばらくすると、明香が眠そうに部屋に入ってきた。
「みんなおはよう…」
明香は連の隣に座ると
「ご飯食べたら修行だから、修行部屋に行ってね…」
といいながらご飯を食べ始めた
「頼むから…今回はちゃんと手加減してくれよ?」
「今回からの修行のことだけど、前回君の力のことを天狐さんに伝えたら修行のしかたを変更するってさ。」
「…どんな感じになるんだ?やばいやつじゃないよな?」
明香は少し首をひねったあと
「今回から連は私じゃなくて他のメンバーのもともまわって修行をつけてもらうっていう方法になったから…やばいやつかどうかは人によるね。」
「元々、明香だけが教えてくれるはずだったんだろ?なんで急にそんな…」
「連は気づいてなかったみたいだけど、前回私の攻撃食らって瀕死になってたじゃん?そのとき私の攻撃を防御しようとしてたときに、なんか盾みたいのができてたんだよね。」
「盾?」
「うん、多分連の能力だろうね。私の〔黒い鳥〕みたいな。わかりやすく能力って呼んでたけど。本来は縁特有の能力のことを『妖術』っていうんだよ。というわけで―」
「ウチの出番だな!」
明香が説明を終えるのを見計らってたように、横から千歌が飛び込んできた。
「よぉ後輩〜今日は私がかわいがってやるからな!楽しみにしとけ!」
千歌が連の隣に座り、ニヤニヤしながら連に話しかけた。
(…両隣に女の子とか、さすがに恥ずかしいっての…)
連がそんなことを考えていると
「おい〜話聞いてんのか?それとも照れてる?」
千歌が連の顔を覗き込んで言った
「てっ、照れてねぇよ!てかお前顔近いんだよ!」
連が少し顔を赤くして目を背ける。すると千歌が連の顔をガッとつかんで
「お前…?千歌せ ん ぱ いだよね?」
と連に言ってきた。顔はほほ笑んでいるが、目が笑っていない。
「…わかったよ…千歌…先輩。」
千歌は連の顔から手を離すと
「それでよし!飯食ったらすぐ修行な!私ご飯食べるから、先に部屋いっといて〜」
と、心笑のところにご飯を取りに行った。
「ふぅ…なぁ明香。あいつっていつもあんな感じのか?」
「まぁいつも通りだね。たいていあんな感じ。」
今からあれと修行か…と思うと、連はため息を吐かずにはいられなかった。




